医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

99話 大学・4（守り人・夏君）

　あれから莉子は信じられないくらい体力が戻ってきて安定してきた。今の感じだと少なくとも喘息の発作は出ないと思う。やはりよく食べられるようになって、元気と気力が出て来た。

　赤ちゃんが欲しいってそんなに活力を出すんだなあ。もう執念だよね。18歳の莉子がなあ～、それにしてもやる気満々だから、叶わなかった時が恐ろしいよ。
あと、生理痛だな。予定だとそろそろ来る頃なんだよ。どうしよう......毎回俺の方が悩むよ。
まあ、妊娠していれば生理は来ないわけだが、そんなに甘いもんじゃないよな。
あれっ？しまった！肝心の俺が検査していないじゃないか。まずい。すぐ精子を検査しないと駄目だ。何年も経ってから、実は俺の方が原因だったなんて、莉子をどれだけ傷つけるかわからない。

うちの大学病院ではまずいから、ネットで調べてみた。
なくもなかったが、いろいろ考えた結果、俺も32歳のいい歳だから、専門医を訪れてちゃんと検査をしてほしいと思った。万が一治療が必要なら、よけいに専門医がいいよね。早速予約していこう。ネット診療を1日休みにしておけばいいことだ。

　莉子に話しておいた方がいいかなあ？いや、それは追いつめるな。病院へは一人で行くから、OKの結果が出たら、必要な時に話そうと思う。もし治療が必要なら、すぐにも莉子に話すべきだと思う。二人で頑張らないといけない問題だからね。

　それにしても試験の範囲がわかったなら、週末にでも小川先生に話しておいた方がいいなあ。
今週、どれくらい莉子が大学に行けるのかによるな。だから様子をみよう。

今日のネット診療は終わった。莉子も帰って来る頃だから夕飯の仕度をしよう。
そう思って台所に立ったら、すぐ電話が来た。莉子の携帯からなんだけど、出たのは浅田君だった。

ああ、こんにちは。ごめんね。もしかして莉子が今お世話になっているのかなあ？

「初めまして、浅田ですが、実は、莉子ちゃんが腹痛で苦しいみたいで、マンションの下まで送ってきたんですけど、今在宅でしたら迎えに降りて来ていただけますか？」

ああ、分かりました。すぐ行きます。待っていてください。

大急ぎで下に降りると、セダンの立派な車が停まっていた。車のそばにいたのは長身のイケメン君だった。
莉子から話を聞いていたからすぐわかった。確かに髪を後ろで1つに結んでいた。

莉子は後ろの座席で横になって、ハアハア言っていた。ああ～残念だね、多分生理痛だ。
浅田君、すまないが、俺は莉子を運ぶから、君は莉子の荷物を持ってうちまで誘導してくれないか？
これが家のカードキーだ。

俺は莉子を抱えたまま、フロントの管理人に、急病人がでたので、30分ほどマンション前に車を停めることを伝えた。
そのまま家の玄関前に来ると、ドアを開けてくれた。君も一緒に入ってきてね。悪いんだけど、莉子の靴を脱がせてくれますか？　で、そこのWベッドの掛け布団を剥いで欲しいな。おかげで、そこへそっと莉子を寝かせられた。