医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘～い愛の物語

73話 入院前夜（莉子サイド）＊

明日からの入院の準備は出来た。
春ちゃんが病院で着る寝間着ならパジャマは無理だって言って、ネットで全部前開きになったネグリジェタイプのかわいいのを２着買ってくれた。あとピンク色の花柄の浴衣もある。これは手術の日に着る予定。
婦人科の手術をする人は、全部前開きでいないと駄目だって春ちゃんが言っていた。ふ～ん。

ネグリジェがかわいすぎて見た人がみんな欲情したらどうしようって春ちゃんが言った。
二人で大笑いした！！もう～全くー。

バスタオルを６枚も持って行く。１日に３枚ずつ使うんだってさ。そうだったっけなあ？覚えていないよ。
前に手術したのは小学生の頃だったもん。そういえば、この前イレウスで入院した時もいっぱいあったなあ。
あれは春ちゃんが全部用意してくれたんだなあ～って思った。本当にありがとう。春ちゃん大好き！

あ～あ、なんだか春ちゃんにくっつきたくてしょうがないんだもん。なんでだかわかんないんだけど。
でも今日は病院の仕事で留守。ただし、明日からは数日は休めるようにしているんだって。うれしい。

ああ......なんだか胸が変。キューっとする。

とりあえずお昼ご飯をしっかり食べるように言われているから、食べよう。
今日のお昼は何かなあ？　冷蔵庫を覗く。そうだ、グラタンだった。春ちゃんのグラタンはおいしいんだよねえ～。
エビがいっぱい入っているよ。これを電子レンジで温めてから、トースターで表面の焼き目を付けると良いよって言っていた。うわ～おいしそう！　食べようっと。

夕方6時頃、春ちゃんが帰ってきた。ただいま～が聞こえたから走って行って飛びついた！そしたら抱きしめてくれて、胸に顔をすりすりとさせてくれる。
「寂しかったの？」と聞かれて、うん、と頷く。頭を撫でてよしよしとしてくれた。ふふふ。

こうやって春ちゃんとくっつけるのも今夜までだよ、寂しくないわけがないよ......と心の中で思った。

今夜はパスタを作ってくれるんだって。オムレツが乗ったナポリタン。これが大好きなのよ。
だってケチャップが好きだから、オムレツとかケチャップだらけにして食べるんだ。
春ちゃん、怒んないから好き。へへへ。いつもニコニコして見ている。

そういえばね、絵画部の裕司君と詩音ちゃんが春ちゃんに抱きしめられたいって言ってたよ！と言うと、

固まった！！　あははは。一緒に笑う。受けた？？

春ちゃんのことがみんな大好きなんだね。部長なんかいつも感心しているもん。で、みんな私のことがうらやましいんだって。どうする？

春ちゃんは、ふふふと笑いながら台所に行って料理を始めた。ねえ、聞いてる？？
そんなきれいな顔で黒いエプロンを付けると、プロみたいでカッコよすぎて見とれちゃうよ。
こんな春ちゃんをみんなに見せたいような？見せたくないような？なんだか自分でもよくわからなくなる。

そろそろ指輪を付けて学校に行こうかなあ？？　まだ迷っている。でもそうすると、学校に届けないといけないもんね。籍も入れないといけない。ということは、春ちゃんも病院に届け出を出さないといけないわけだ。

この前、大学病院の産婦人科に行った時に、春ちゃんが私の手を繋いで病院内を歩いてくれたんだけど、翌日にはもうナースの人に聞かれたんだって！恋人ですか？って。
妹ですと言ったら、それっきり静かになったそうよ。春ちゃんが笑っていたよ。

そうよねえ、お兄ちゃんみたいにイケメンで格好いい人は絶対注目を浴びるもんね。
はあー、まだまだ妹のままの方が静かだね。

まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、今夜は絶対一緒にお風呂に入って一緒に寝ようね。私のお願いはそれだけだから。もう生理まで秒読みなんだよ。私、焦ってるからね。