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44話 手術決心

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夕べ、莉子に話したことで、よくわかってくれたようだ。
今朝、大学の出掛けに「手術を受けるから川瀬先生に伝えて欲しい」と言われた。

大学の冬休みに入ったらすぐ手術できるように頼んでおこう。

よく決心してくれたと思う。少なくとも放置して、卵巣の捻転で倒れて緊急手術なんてことは避けられるんだ。
そうなると、開腹手術をしないといけなくなるから、莉子の身体がどれだけダメージを受けることかと思うと本当に恐ろしい。卵巣の組織検査の結果もすごく気になる。ガンの可能性もあるからだ。

俺の知人の奥さんが、買物をしている時にいきなり倒れて救急車で搬送されたそうだ。原因は卵巣の捻転だった。
だから、手術の日まで莉子にはなんとか無事でいてほしいと思う。事前に分かっただけでも良かった。

莉子は当分体力をつけておくのが課題だな。
元々身体が弱いのをコントロールしながら生活しているから、バランスを崩さないように、
そして疲れすぎないようにしないとな。

とすると、子作りはどうなるんだ? 俺はやる気満々だ。大学は二の次。少しでも可能性のあるうちに
チャレンジした方がいい。生理が止まれば莉子は痛みがなくなって万々歳なんだから。
もちろん手術が終わって、体力が回復したらの話だけどね。

でも俺が疲れさせてしまうなら?......ああ、それはあるなあ~、つらいな。拷問だ。
莉子を見るとかわいすぎて理性が崩壊するんだ。ふっ。俺は健康な男なんだ。

とりあえず、川瀬が処方してくれた薬剤でコントロールしていくから、その結果を見守りたい。

それと、いつも気になるのは莉子のおなかの動きがすごく弱いことだ。
痛み止めの座薬も腸の動きを弱くしている原因にもなっている。これは俺の仕事だ。
おなかをもっとあたためてやろう。
そうだ、貼るカイロだけじゃなくて、今度はメンタ湿布もしてやろう。ハッカの香りも良いしね。

あと、食事がコンスタントに食べられないことがあるし、おそらく内膜症による腸の癒着が原因だろうと思うけど、便が腸を通過する時に瞬間的に激痛があるようだ。内膜症の排便痛があるというのはこういうことだろうと思う。
それで便を出すのを我慢するみたいなんだよな。

入院生活を経験した人ならわかると思うが、人間って食べて出す!本当にこれの繰り返しなんだ。
健康な人なら、当たり前すぎて忘れていると思うけど、病気になると、それが一喜一憂する大問題なんだ。
この繰り返しで人は生きているんだなあということを実感する。

ところで、今日の莉子は機嫌よく大学に行った。なんでだ?? 

近々、大学の学園祭があるらしいんだけど、そこで絵画部もみんな絵を出品するんだって。
莉子が言うには、俺の肖像画を書くそうだ。

ええ? 抽象的に書いた~と言って、変な顔に書かないでくれよな。
ほかのメンバーは、旅行先や近場の気に入った風景や抽象画を描くらしいんだけど、

莉子の場合は、あまり出掛けられないからと、家でもできる俺の肖像画を描くことにしたそうだ。
いや~実に楽しみだ。学園祭にももちろん行くつもりだ。

もちろんうちの両親も見に行くそうなので、楽しみにしているようだ。

俺はにやけてしまいそうで、モデルが務まるかどうか心配だなあ~と莉子に言ったら、

「大丈夫!写真を撮ってから書くから!」だって。

なんだよ......。
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