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41話 婦人科再診・宣告
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莉子の容態が持ち直した。喘息は治まり、生理痛も5日目とあって、大分楽になってきているようだ。
俺にとっては本当に気の抜けない怒涛の日々だった。
莉子に、気絶した時のことを覚えているか?と聞いたら、
「う~ん、息が苦しかったことは覚えているし、お腹も痛くて辛かったけど、あの時は記憶がだんだん遠くなってしまって、何にも覚えていない」のだそうだ。
そうか、俺がジタバタしたことはわからないか。まあ、いいだろう。格好悪いしな。(笑)
ところで、今日は大学病院の再診の日だ。キャンセルすべきかどうか迷ったが、
今回のような酷い痛みは初めてだったから、早く治療を始めなればと痛感した。
もう躊躇している暇はない。
今日は前回の検査結果も出ているはずだし、今回は初めて膣からのプローブを入れての超音波検査と内診をする予定だから、立ち合いは絶対に外せなかった。
本当は今日のために急いで結婚をしたんだよとは言えない。(笑)
しかし莉子には、今回は結婚した他の女性と同じような方法で検査や診察があるよとは言っておいた。
だから頑張ってねとも言ったんだけど、伝わっているかな?う~ん、ちょっと聞きにくい。
ここは莉子を信じるってことでいいことにしよう。
ただ、今回も俺が検査や診察に立ち会わせてもらえて、産婦人科医の川瀬には本当に世話になりっぱなしだ。
もちろんあの喘息発作が重なって大変だった日のことは、事前に伝えておいた。
夕方に莉子と大学病院のロビーで待ち合わせた。もちろん俺は白衣をバッグに入れて持参していた。
いよいよ莉子の順番になった。
俺は前と同じように白衣を着て、スタッフ用通路から回って、川瀬の後ろに立っていた。
「莉子ちゃん、今回の生理は大変だったんだって?? 痛みで気絶したって聞いたよ。しかも喘息の発作も重なって、北原はオロオロしたらしいよ、(笑)
「ええ??」と照れ臭そうに頬笑んだ。
おいおい!頼むよ。ばらさないでくれ。もうトラウマなんだから。俺は居心地が悪い。苦笑
「そうだ、北原と結婚したんだねえ。おめでとう!!良かったね」
「はい、ありがとうございます」
「今日はこの前の検査の結果が全部揃っているんだけど、追加で調べたいことがあるんだ。
やはり正確な診断はこの前のように、直腸から超音波で診断するよりも、より近い場所の膣にプローブという、超音波の器具を入れる方がはるかに良い診断ができるんだよ。それと、結婚したということで、内診も大事だから、やらせてもらっても大丈夫かな??」
「はい、分かりました」と莉子が承知する。
ふうーと内心、息をついた俺。
その後は無事に何とか内診も出来、超音波も膣から出来た。ほっとした!!。
その超音波画像を川瀬と一緒に確認した。これで全部の結果が出たわけだ。
そこで川瀬が俺に言った。
「やはり俺としては、左の卵巣が5センチくらいに腫れているから、あきらめてもらって、摘出手術を進めるよ。
ガン化も心配だからね。それに今は開腹しなくても、腹腔鏡手術で大分楽にできるようになっているから、
莉子ちゃんと相談してみて欲しいんだ。それを莉子ちゃんに話してもいいかな?」
「ああ、俺は川瀬の診断を信頼しているよ。莉子にも説明してやってもらえないか?」
そこで再度、莉子が呼ばれて診察室に入ってきた。
川瀬は丁寧に超音波診断やMRIや血液検査などの検査結果を説明してくれた。
「それから、内診の結果なんだけど、子宮のまわりの癒着がすごく強いね。多分、あれだとおなかを中から押された時、内診自体が痛かっただろうと思うし、腹痛だけではなくて、腰痛や排便痛もあったでしょう?もっと進むと、夫婦生活にも支障が出てきます。
それと、今回の生理では下腹だけでなく、おなかの各所も同時に痛んだと聞いているよ。今まで辛かったね。頑張ったと思うよ。でもこれからはなるべく楽に過ごせるように、薬で積極的に治療をしていきましょう」
「で、この画像を見て欲しいんだけど、左の卵巣が普通の人に比べてすごく大きくなっていて腫れています。
これはいつ捻転するかわからないから、できるだけ早く取った方が良いと思います。
取ったらすぐ組織検査をします。恐らくチョコレート嚢腫(のうしゅ)の可能性が大きいんだけど、まれにがんの場合もあるから、早く取った方が良いと判断しました。
片方だけだから、妊娠は問題ないんだけど、もともと子宮内膜症の人は妊娠の可能率が50%くらいです。
どうしても妊娠しにくいという問題があります。だけど、片方があれば、絶対ではないけど、十分に妊娠ができる可能性はあります。
手術して卵巣を摘出する場合は、開腹手術じゃなくて、腹腔鏡下手術といって、お腹に穴をあけて、そこから細い棒のような器具を使って卵巣を取ります。ついでにその周りの見える限りの癒着も取ろうという手術になります。
入院期間は約1週間で、術後の痛みなども開腹手術に比べるとはるかに楽ですよ。
今回はその手術をするかしないかの返事が欲しいんです。
どうしますか? 今すぐの返事じゃなくてもいいですよ。現在の状況を説明したのでゆっくり考えてもらってもいいです。ただ手術しない場合は、相当リスクを抱えているようなものだとは思ってください。
あと、内膜症自体はどんどん投薬治療を開始しましょう。これで結構楽になってくると思いますよ。
莉子ちゃんは、手術についてどう思いますか?」
俺はじっと莉子を見つめていた。
「ええっと....ううん...と、手術はまだよくわかりません。少し時間をいただけますか?よく考えてみたいと思います。投薬治療の方はすぐにでもお願いしたいです」
「はい分かりました。じゃあ、決心がついたら、手術の予約を取りますので、お兄さんからでもいいので、なるべく早くお返事を下さいね」
その後は投薬の治療についての説明があり、俺達は川瀬に心からお礼を言って、
会計して薬局で薬をもらって終わった。
帰りは一緒に病院を出て、お互いに無口にはなったけど、手だけは繋いで帰った。
俺は莉子自身が決めるまでは、余計なことは言わないつもりだ。
聞かれても川瀬と同じ意見なので、今以上は莉子にプレッシャーはかけたくなかった。
もちろん莉子に聞かれたら自分の意見を言うけれどね。
18歳の女の子が片方の卵巣を取りなさいと言われれば、結婚したとはいえ、これからのことについては不安がいっぱいあると思う。俺にできることは、ただ抱きしめることくらいだ。
俺にとっては本当に気の抜けない怒涛の日々だった。
莉子に、気絶した時のことを覚えているか?と聞いたら、
「う~ん、息が苦しかったことは覚えているし、お腹も痛くて辛かったけど、あの時は記憶がだんだん遠くなってしまって、何にも覚えていない」のだそうだ。
そうか、俺がジタバタしたことはわからないか。まあ、いいだろう。格好悪いしな。(笑)
ところで、今日は大学病院の再診の日だ。キャンセルすべきかどうか迷ったが、
今回のような酷い痛みは初めてだったから、早く治療を始めなればと痛感した。
もう躊躇している暇はない。
今日は前回の検査結果も出ているはずだし、今回は初めて膣からのプローブを入れての超音波検査と内診をする予定だから、立ち合いは絶対に外せなかった。
本当は今日のために急いで結婚をしたんだよとは言えない。(笑)
しかし莉子には、今回は結婚した他の女性と同じような方法で検査や診察があるよとは言っておいた。
だから頑張ってねとも言ったんだけど、伝わっているかな?う~ん、ちょっと聞きにくい。
ここは莉子を信じるってことでいいことにしよう。
ただ、今回も俺が検査や診察に立ち会わせてもらえて、産婦人科医の川瀬には本当に世話になりっぱなしだ。
もちろんあの喘息発作が重なって大変だった日のことは、事前に伝えておいた。
夕方に莉子と大学病院のロビーで待ち合わせた。もちろん俺は白衣をバッグに入れて持参していた。
いよいよ莉子の順番になった。
俺は前と同じように白衣を着て、スタッフ用通路から回って、川瀬の後ろに立っていた。
「莉子ちゃん、今回の生理は大変だったんだって?? 痛みで気絶したって聞いたよ。しかも喘息の発作も重なって、北原はオロオロしたらしいよ、(笑)
「ええ??」と照れ臭そうに頬笑んだ。
おいおい!頼むよ。ばらさないでくれ。もうトラウマなんだから。俺は居心地が悪い。苦笑
「そうだ、北原と結婚したんだねえ。おめでとう!!良かったね」
「はい、ありがとうございます」
「今日はこの前の検査の結果が全部揃っているんだけど、追加で調べたいことがあるんだ。
やはり正確な診断はこの前のように、直腸から超音波で診断するよりも、より近い場所の膣にプローブという、超音波の器具を入れる方がはるかに良い診断ができるんだよ。それと、結婚したということで、内診も大事だから、やらせてもらっても大丈夫かな??」
「はい、分かりました」と莉子が承知する。
ふうーと内心、息をついた俺。
その後は無事に何とか内診も出来、超音波も膣から出来た。ほっとした!!。
その超音波画像を川瀬と一緒に確認した。これで全部の結果が出たわけだ。
そこで川瀬が俺に言った。
「やはり俺としては、左の卵巣が5センチくらいに腫れているから、あきらめてもらって、摘出手術を進めるよ。
ガン化も心配だからね。それに今は開腹しなくても、腹腔鏡手術で大分楽にできるようになっているから、
莉子ちゃんと相談してみて欲しいんだ。それを莉子ちゃんに話してもいいかな?」
「ああ、俺は川瀬の診断を信頼しているよ。莉子にも説明してやってもらえないか?」
そこで再度、莉子が呼ばれて診察室に入ってきた。
川瀬は丁寧に超音波診断やMRIや血液検査などの検査結果を説明してくれた。
「それから、内診の結果なんだけど、子宮のまわりの癒着がすごく強いね。多分、あれだとおなかを中から押された時、内診自体が痛かっただろうと思うし、腹痛だけではなくて、腰痛や排便痛もあったでしょう?もっと進むと、夫婦生活にも支障が出てきます。
それと、今回の生理では下腹だけでなく、おなかの各所も同時に痛んだと聞いているよ。今まで辛かったね。頑張ったと思うよ。でもこれからはなるべく楽に過ごせるように、薬で積極的に治療をしていきましょう」
「で、この画像を見て欲しいんだけど、左の卵巣が普通の人に比べてすごく大きくなっていて腫れています。
これはいつ捻転するかわからないから、できるだけ早く取った方が良いと思います。
取ったらすぐ組織検査をします。恐らくチョコレート嚢腫(のうしゅ)の可能性が大きいんだけど、まれにがんの場合もあるから、早く取った方が良いと判断しました。
片方だけだから、妊娠は問題ないんだけど、もともと子宮内膜症の人は妊娠の可能率が50%くらいです。
どうしても妊娠しにくいという問題があります。だけど、片方があれば、絶対ではないけど、十分に妊娠ができる可能性はあります。
手術して卵巣を摘出する場合は、開腹手術じゃなくて、腹腔鏡下手術といって、お腹に穴をあけて、そこから細い棒のような器具を使って卵巣を取ります。ついでにその周りの見える限りの癒着も取ろうという手術になります。
入院期間は約1週間で、術後の痛みなども開腹手術に比べるとはるかに楽ですよ。
今回はその手術をするかしないかの返事が欲しいんです。
どうしますか? 今すぐの返事じゃなくてもいいですよ。現在の状況を説明したのでゆっくり考えてもらってもいいです。ただ手術しない場合は、相当リスクを抱えているようなものだとは思ってください。
あと、内膜症自体はどんどん投薬治療を開始しましょう。これで結構楽になってくると思いますよ。
莉子ちゃんは、手術についてどう思いますか?」
俺はじっと莉子を見つめていた。
「ええっと....ううん...と、手術はまだよくわかりません。少し時間をいただけますか?よく考えてみたいと思います。投薬治療の方はすぐにでもお願いしたいです」
「はい分かりました。じゃあ、決心がついたら、手術の予約を取りますので、お兄さんからでもいいので、なるべく早くお返事を下さいね」
その後は投薬の治療についての説明があり、俺達は川瀬に心からお礼を言って、
会計して薬局で薬をもらって終わった。
帰りは一緒に病院を出て、お互いに無口にはなったけど、手だけは繋いで帰った。
俺は莉子自身が決めるまでは、余計なことは言わないつもりだ。
聞かれても川瀬と同じ意見なので、今以上は莉子にプレッシャーはかけたくなかった。
もちろん莉子に聞かれたら自分の意見を言うけれどね。
18歳の女の子が片方の卵巣を取りなさいと言われれば、結婚したとはいえ、これからのことについては不安がいっぱいあると思う。俺にできることは、ただ抱きしめることくらいだ。
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