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20話 婦人科受診

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大学病院のロビーで莉子と待ち合わせをした。
今日は大学の診療日だったが、事情を話して何とかやりくりをして抜け出してきた。
白衣だけはカバンに入れて莉子を捜した。

莉子はちょっと虚ろな表情で、端っこのベンチにぽつんと座っていた。
「莉子、お待たせ」と声をかける。

ちょっとホッとしたような表情でそばに来た。
受付にはすでに話を通して、手続きも済ませておいた。
婦人科は2階だから一緒に行こう。こんな場所なんだけど、俺は莉子の手を繋いだ。
婦人科の受付はカウンターや壁がピンクで明るい印象だった。

莉子、もうそろそろ順番が来るから、呼ばれたら診察室に入ってね。
俺は白衣を来て、先に裏から回って川瀬のそばにいるからね。
「うん」莉子はちょっと緊張したまま、手をぎゅっと握りしめていた。

俺は白衣を来て、スタッフ用の通路から川瀬の診察室のすぐ後ろに控えた。
患者さんの終わったタイミングで、川瀬によろしくと声をかけておいた。

「北原 莉子さん」とアナウンスがあった。俺の方がドキドキしてるな。
「北原、ここにいていいよ」と言ってくれた。
莉子が入ってくると、俺はニコッとしてみせた。

「君が莉子ちゃんかい? 莉子ちゃんの話は大学時代からいっぱい聞かされてるよ(笑)
莉子ちゃん命だもんね」と川瀬が言うと、莉子がくすっと笑った。

「おいおい、頼むよ」なんでここでバラすかなあ?? 汗……。
「莉子ちゃんは生理痛がひどいんだね?ちょっと詳しく聞かせてね」

それから莉子はいろいろな質問に答え、川瀬は症状をパソコンに入力していく。
今日はいくつか検査があるけど、眠っている間に終わる検査もあるからね。大丈夫だよ。

先にお腹だけ触らせてね。痛いこところがあったら教えて下さい。
その時に一緒にお腹のエコーも撮るよ。
俺も一緒に映し出された画像を見た。

それから血液検査をして、そのまま鎮静を掛けられた。

その後は、心配していた経腟用プローブをお尻から入れて、直腸からの超音波画像を
一緒に見せてもらった。

「う~ん。やっぱり右の卵巣が腫れてるよなあ~」
あとは、MRIの画像も見てから判断しよう。

その間、莉子は鎮静から覚めるまでベッドで横になっていた。
その後は予約しておいてくれたMRIの検査も無事に出来た。

検査結果は次回と言うことで、川瀬にお礼を言って、莉子と帰ることにした。
血液検査の結果も必要だから、また来ることになる。

ああ、もう次回は子宮内膜症を莉子に知られるし、卵巣の異変も知ることになるな。
莉子もそろそろ自分の状態を知るのは、良い時期かもしれない。

もう川瀬の判断に任せよう。餅屋なんだから。
ただ、父には報告をしておかないといけないな。

「莉子、夕飯は何を食べたい? どっかで食べて帰ろうか??」
「ううん、いいよ、なんだか疲れたから寝たい」
「うん、じゃあ、帰ろうな」

駅前の店舗でたこ焼きのいい匂いがして、買うことにした。
莉子も食べたいんだって。(笑)

じゃあ、帰ろうねと莉子の手を繋いだ。

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