医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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19話 生理痛・6 莉子の決意 

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産婦人科医の川瀬から連絡が来た。
明日の金曜日の17時に予約が取れたそうだ。

あれから莉子の生理は何とか終わっていたんだけど、
身体がすごく弱ってしまったので、以前の体力に戻るにはまだ一週間はかかりそうだ。

大学も今週いっぱいは休ませる。
でも結構休んだから、来週からは行かせるしかない。

今から明日の大学病院の婦人科で受診することを、莉子に話さないといけない。

夕飯が終って、俺はソファで横になって考え事をしていた。

「莉子、こっちにおいで。大事な話があるから」
俺は莉子をラッコのように上に乗せて抱きしめた。

「莉子、大事な話があるから聞いて。
今回の生理は今までで一番辛かっただろう?
もう痛み止めだけでは対処できなくなっているんだよ。

医大の同期で川瀬君ってのがいるんだけど、今うちの大学病院で産婦人科医をしているんだ。
莉子の状態をよく話してあるし、明日の17時に診察の予約も取ってくれた。

気が進まないかもしれないけど、これは俺からの医者としての頼みだ。

今の状態では診察や治療を否定する余地がないことは、莉子もわかっているだろう?
身体が一番正直なんだよ。

放っておいたら、次の生理は今回よりももっとつらいものになると思う。
だからと言って、生理の間中、ずっと痛み止めの注射を打ち続けるということも出来ないんだよ。
少しでも楽になれるように俺も考えていくから、一緒に病院に行こう!」

「内診もしなくて済むように頼んであるから心配しないで大丈夫だ。
それと俺も診察には同席するから、安心して。痛いことはしないからね。
あと、検査の時は鎮静剤を打ってもらえることになっているから、眠っている間に終わるよ」

俺の胸に頬を寄せている莉子の目からポロポロと涙が流れていた。
しばし、黙って泣かせることにした。その代わりにぎゅーっと抱きしめた。

病気はいつも孤独だ。慰めの言葉なんか意味がない。

誰にも痛みを分かち合うことはできないってことを、考えればわかりそうなことでも、
意外と自分の身に起きない限りわからないものだ。

ただただ一人で痛みや苦しさに耐えるしかないんだ。
多くの患者を診たり、莉子の小さい頃からを見ていてもそれを実感する。

「また心配が増えちゃったね。でも俺がいるから、苦しみを和らげることはできるからね」

「うん、お兄ちゃんと一緒に病院に行くから心配しないで」と莉子がいう。

「おっ、莉子、大人になったな?」と二人でくすっと笑う。
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