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1話 莉子の朝の診察・1
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寝起きでぼんやりしたままカーテンを開けると、日差しがまぶしい。
今日は久しぶりに部屋の掃除でもするかな。
この駅近の2LDKのマンションは、独り住まいには贅沢だったが、
父が医師国家試験の合格祝いと研修時代が大変だろうということで、
購入してくれたものだ。
いつか父が動けなくなったら、病弱な義妹の莉子の面倒を見て欲しいという、
意味合いがあるということは充分に分っていた。
そもそも俺が医者を目指したのは、父が内科医院を開業していて、
地域の患者さんに慕われているのを見ながら育ったからだ。
だから父を目指して頑張って医大に入った。
10年前に、父が今の継母と再婚してやってきたのが、
当時まだ8歳の瞳が大きなかわいい莉子だった。
その時、俺は22歳の医大4年生。
14歳も年下の妹が急にできたのだ。普通に戸惑うよな。(苦笑)
しばらくして、小さい頃から病弱だった莉子の健康を守るために、
多忙だった父は、俺に莉子の看護や治療を記録してほしいと言った。
臨床の勉強になるはずだし、継母も安心するだろうし、
急変時の診断目安になって助かるからと頼まれたのだった。
もちろん病状が出た時には父に診てもらい、一緒に治療の勉強もさせてもらった。
つまり、もう足掛け10年はやっている。
ただ、国家試験前後や研修期間や引っ越しなどで、間が抜けることもあったが、
自分が莉子の一番の理解者だという自負がある。
とりあえず莉子の部屋に様子を見に行く。これが毎朝の習慣だ。
莉子は大学入学と共に通学に便利だからと、俺のマンションに引っ越してきた。
今は普通に大学へは通っているものの、持病がいろいろあるので油断はできない。
「莉子、朝だよ。そろそろ起きろよ」と耳元でそっと呼びかける。
まだ眠っている莉子の額に手を当てる。
熱はなさそうだが、パジャマの胸のボタンを少し外してわきの下に体温計を挟む。
くすぐったいようでちょっと嫌がるから、ずれないように片手で押さえておく。
ピピピの音で体温計を外してみると、36度4分。よし、いいぞ!
次は血圧を測る。毎朝のことだから流れ作業のように進める。
今日は久しぶりに部屋の掃除でもするかな。
この駅近の2LDKのマンションは、独り住まいには贅沢だったが、
父が医師国家試験の合格祝いと研修時代が大変だろうということで、
購入してくれたものだ。
いつか父が動けなくなったら、病弱な義妹の莉子の面倒を見て欲しいという、
意味合いがあるということは充分に分っていた。
そもそも俺が医者を目指したのは、父が内科医院を開業していて、
地域の患者さんに慕われているのを見ながら育ったからだ。
だから父を目指して頑張って医大に入った。
10年前に、父が今の継母と再婚してやってきたのが、
当時まだ8歳の瞳が大きなかわいい莉子だった。
その時、俺は22歳の医大4年生。
14歳も年下の妹が急にできたのだ。普通に戸惑うよな。(苦笑)
しばらくして、小さい頃から病弱だった莉子の健康を守るために、
多忙だった父は、俺に莉子の看護や治療を記録してほしいと言った。
臨床の勉強になるはずだし、継母も安心するだろうし、
急変時の診断目安になって助かるからと頼まれたのだった。
もちろん病状が出た時には父に診てもらい、一緒に治療の勉強もさせてもらった。
つまり、もう足掛け10年はやっている。
ただ、国家試験前後や研修期間や引っ越しなどで、間が抜けることもあったが、
自分が莉子の一番の理解者だという自負がある。
とりあえず莉子の部屋に様子を見に行く。これが毎朝の習慣だ。
莉子は大学入学と共に通学に便利だからと、俺のマンションに引っ越してきた。
今は普通に大学へは通っているものの、持病がいろいろあるので油断はできない。
「莉子、朝だよ。そろそろ起きろよ」と耳元でそっと呼びかける。
まだ眠っている莉子の額に手を当てる。
熱はなさそうだが、パジャマの胸のボタンを少し外してわきの下に体温計を挟む。
くすぐったいようでちょっと嫌がるから、ずれないように片手で押さえておく。
ピピピの音で体温計を外してみると、36度4分。よし、いいぞ!
次は血圧を測る。毎朝のことだから流れ作業のように進める。
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