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Ⅵ章

7話 メールはむずいよ。恋愛談義徒然

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恋愛。
それは青春真っ只中の高校一年生にとって、とてもとても重要な事項です。

物語の主人公のとっしー。
そう、ぼくは、二度も浅倉さんに振られたにもかかわらずまだ諦めていなかったのです。

勇気と無謀を履き違えているのか?

もちろん、1人で恋愛を進める度胸はありません。

相談する相手は、俺たちバグジー親衛隊の、ボブときゃぷてん。

彼らの無謀な「今、告白しろ!」で、二度振られたにもかかわらず、ぼくは恋愛については彼らに聞くしかありませんでした。

「てかさ、浅倉さんに軽く連絡したいんやけど、どう会話を始めればいいかわからんのや」

クラスでは緊張して話せないぼくですが、浅倉さんと仲良くならなければという思いは日増しに強くなっていきます。
とりあえず、何か会話しなくてはいけないと思い、真っ赤なガラケーを開きます…

「どんな感じで連絡するつもりなん?」

「3つ候補がある。

1.久しぶり!来週の学校行事、楽しみやな^ ^
2.アドベンチャーワールド楽しかった?
3.最近どう??

これのどれがいいと思う?」

ボブときゃぷてんは、この質問を聞いて、目をくりくりさせています。

「これは生粋の無理プロウですわ。日々の連絡が一番難しいから、メールでキモい事言ってしまったら相当な減点に繋がるで。」

「え?」

「これはポテンシャルの話としてや」
このメールを送ったらキモいかな?と考える感覚がズレているんや」

「どうずれてるんや!?教えてくれ!?」

「じゃあ今から、逆に質問するで。

とっしーのメールの案3つ。

1.来週の学校行事、楽しみやな^ ^
2.アドベンチャーワールド楽しかった?
3.最近どう??

この中から送ってしまうと、確実に振られる内容はどれ?」

「1、か?」
ぼくはひねりだすように答えました。

ボブはすっぱりと。

「はい。違います。答えは、全部です。」

「え?!全部?」

「そう。1も断トツきつい。
楽しみやな!と言われても、そうやな、としか返しようがない。

けど2.3もなかなかのもんや。
だいたいアドベンチャーワールドってなんやねん?」

「浅倉さんがクラスメイトと、この前アドベンチャーワールドに行ってきたと話してたんや。
それを聞いたから話題にしようかと」

「ひえ!
それは怖い!
こっそり盗み聞きしたようなものやん!

「確かに俺が特に好きでもない女子から、このライン来たら携帯投げるわ」
きゃぷてんもボブに同調します。

「まじか」落胆しているぼくに、ボブは言葉を続けます。

「相手の立場になってやな、好きでもない異性からこういうライン来たらどうか?この目線をもたなあかんのやで」

「でもよ。俺は、この3つのメールの案がキモい事を分かってなかったんや」

「そこはもう経験やな。自分の頭に、このメールを女の子に送れば、気持ち悪いと思われる、と認識していく練習をするしかない。
テニスだって、練習するやろ?
女の子とのメールも練習が必要なんや!」

「ほうほう」

さらにきゃぷてんが付け加えます。
「まあ、とっしーが佐藤健ならどのメールを送っても、女子は惚れるからなあ。
メールの内容だけじゃなくて、大事なのは考え方と女の子に対しての立ち振る舞いやと思うで。
99人にどんびかれても1人に好かれたらそれでいいねん。
もっと自信持っていけよ!」

「ただなこれからお前がいけるかどうかはお前の努力による。
従って何もしないければただの無理プロウや。
メールの文面も、デートの誘いも。
もがき苦しみながら`イケ`をもぎ取って欲しい」

「わかった!」
ぼくは勇気がみなぎっていました。

そして、1~3ではない新たなメール文面を考えたのです。



「そういや来週から連休やな!
浅倉さんは。どっか旅行とか行くん?」



「これ、どう!?!」
ぼくは意気揚々と、ボブときゃぷてんに尋ねます。

「めっちゃええやん!」
「せやな!イェイ!」

そして、ぼくらはハイタッチを交わします。

「よし、とっしー、このメールを送るんや!」

「おっけ!」


送信ボタンをポチ!


........

30分後。

浅倉さんことあさっぴーからは一向にメールが返ってきません。

すると、ボブときゃぷてんは、いつも通り手のひらをくるっと、こんな言葉を。

「なんでこんなメール送ったん?2回振った相手に連休の予定は教えたくないよな」
「せやせや、とっしーなにしてるん?自爆か?」

スーパーマーケットのベンチにて、火山が噴火しました。

「お、お前らが送れって言ったんやろうがーーー!!!」



他力本願寺。
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