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V章 世界を変える気持ち「漠然」
16話 白熱!手押し相撲~バナジュー~(3)
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ぼくら三人は作戦会議を行います。
「織田はバナジューの飲みすぎで腹にダメージが来てる。」
「せやな。ってことは、…な感じで戦おう」
「よし!」
しかし、結果は同じでした。
覚醒した織田の手押し相撲には誰も勝つことができなかったのです。
「しぇあ!」再び声を上げる織田。
悔しそうな顔で120円を財布から取り出しバナジューを買う敗者。
ガゴン!
吐き出されるバナジュー!
しかし、このとき!
彼はもうバナジューを飲みませんでした。
ぼくらは疑問を投げかけます。
「どういうこと?飲まんの?」
「もう飲めん。」
「じゃあ、俺らにくれよ。」
「絶対無理!!これはおれのや。」
織田はそう言って、バナジューを地面に置きました。
そして、織田は「来いよ。諦めるんか?かかってこいよ。」
そう言ってぼくらを挑発したのです。
来いよ。と言われて挑まないほど腰抜けではありません。
ボブ、きゃぷてん、ぼくのさんにんは、代わるがわる織田に押し相撲の勝負を挑んだのです。
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
―――――――――――――――――
もう、何連敗したでしょうか。
織田はすべての試合に勝ち続けました。
ぼくらがバナジューは、地面に山のように積まれています。
そして、「これが本当に最後や!」そう言って、挑んだボブでさえ、またも敗北を喫したのです。
「つらいわ。バナジューに何円つっこむねん。」文句をいいながらも、ボタンを押そうとしたボブの目に信じられない光景が飛び込んできました。
売り切れの赤い文字…
そう。バナジューが売り切れているのです。
ぼくらは、この自動販売機の中に込められたすべてのバナジューを買い占めてしまったのです。
地面に並べられたバナジューがそれを物語っています。
織田は、「まあ、今回はもうバナジューいらんわ」と言って、地面に置かれたバナジューを抱え込みました。
そして、「あ、鞄にいれるか。」といって、エナメル鞄にバナジューを詰め込んでいきます。
その姿はまるで、業者の人でした。
―――――――――――――――――
そのとき、他校の高校生たちがぼくらに話しかけてきました。
風格から察するに、どうやら上級生のようです。
「君ら、今日練習試合をしたテニス部の子らやんな?」
「あ、はい。」力なく答えるぼくたち。
「さっきから、なんで押し相撲をしてるん?」
「えっと。体幹を鍛えるためです。
「え?はっはっは~。君らおもろいな。
そんなんで体幹鍛えられるん?」
「…」
他校の上級生からの嘲笑に、誰もが言葉を失いました。
織田は、この言葉が相当ショックだったのでしょう。
力を失い、エナメル鞄を地面に落としてしまいます。
すると、鞄の中に詰められていた大量のバナジューがこぼれてきたのです。
上級生たちはそのバナジューに群がります。
「え?バナナジュースなんでこんなにもってるん?
こんなにいらんやろ?
ちょっともらってくな?ええやろ??」。
織田は拳を握りしめてワナワナと震えていましたが、何も言い返せませんでした。
もちろん、ぼくときゃぷてんとボブも、ただただ黙って俯いていました。
内輪では盛り上がるぼくたちですが、他校相手にはめっぽう弱いのです…
かくして、織田の勝利の証、そして、ぼくらが奢ったバナジューは、こうして他校の上級生にかっさらわれたのです。
―――――――――――――――――
1時間後、ぼくらはカラオケボックスで、槇原敬之のあの名曲を歌っていました。
「もうバナジューを奢るなんて、言わないよ、絶対~」
「織田はバナジューの飲みすぎで腹にダメージが来てる。」
「せやな。ってことは、…な感じで戦おう」
「よし!」
しかし、結果は同じでした。
覚醒した織田の手押し相撲には誰も勝つことができなかったのです。
「しぇあ!」再び声を上げる織田。
悔しそうな顔で120円を財布から取り出しバナジューを買う敗者。
ガゴン!
吐き出されるバナジュー!
しかし、このとき!
彼はもうバナジューを飲みませんでした。
ぼくらは疑問を投げかけます。
「どういうこと?飲まんの?」
「もう飲めん。」
「じゃあ、俺らにくれよ。」
「絶対無理!!これはおれのや。」
織田はそう言って、バナジューを地面に置きました。
そして、織田は「来いよ。諦めるんか?かかってこいよ。」
そう言ってぼくらを挑発したのです。
来いよ。と言われて挑まないほど腰抜けではありません。
ボブ、きゃぷてん、ぼくのさんにんは、代わるがわる織田に押し相撲の勝負を挑んだのです。
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
「しぇ~あ!」
―――――――――――――――――
もう、何連敗したでしょうか。
織田はすべての試合に勝ち続けました。
ぼくらがバナジューは、地面に山のように積まれています。
そして、「これが本当に最後や!」そう言って、挑んだボブでさえ、またも敗北を喫したのです。
「つらいわ。バナジューに何円つっこむねん。」文句をいいながらも、ボタンを押そうとしたボブの目に信じられない光景が飛び込んできました。
売り切れの赤い文字…
そう。バナジューが売り切れているのです。
ぼくらは、この自動販売機の中に込められたすべてのバナジューを買い占めてしまったのです。
地面に並べられたバナジューがそれを物語っています。
織田は、「まあ、今回はもうバナジューいらんわ」と言って、地面に置かれたバナジューを抱え込みました。
そして、「あ、鞄にいれるか。」といって、エナメル鞄にバナジューを詰め込んでいきます。
その姿はまるで、業者の人でした。
―――――――――――――――――
そのとき、他校の高校生たちがぼくらに話しかけてきました。
風格から察するに、どうやら上級生のようです。
「君ら、今日練習試合をしたテニス部の子らやんな?」
「あ、はい。」力なく答えるぼくたち。
「さっきから、なんで押し相撲をしてるん?」
「えっと。体幹を鍛えるためです。
「え?はっはっは~。君らおもろいな。
そんなんで体幹鍛えられるん?」
「…」
他校の上級生からの嘲笑に、誰もが言葉を失いました。
織田は、この言葉が相当ショックだったのでしょう。
力を失い、エナメル鞄を地面に落としてしまいます。
すると、鞄の中に詰められていた大量のバナジューがこぼれてきたのです。
上級生たちはそのバナジューに群がります。
「え?バナナジュースなんでこんなにもってるん?
こんなにいらんやろ?
ちょっともらってくな?ええやろ??」。
織田は拳を握りしめてワナワナと震えていましたが、何も言い返せませんでした。
もちろん、ぼくときゃぷてんとボブも、ただただ黙って俯いていました。
内輪では盛り上がるぼくたちですが、他校相手にはめっぽう弱いのです…
かくして、織田の勝利の証、そして、ぼくらが奢ったバナジューは、こうして他校の上級生にかっさらわれたのです。
―――――――――――――――――
1時間後、ぼくらはカラオケボックスで、槇原敬之のあの名曲を歌っていました。
「もうバナジューを奢るなんて、言わないよ、絶対~」
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