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喜多ばぐじ・逆境を笑いに変える道楽作家

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【番外編】新入社員ガモタンの珍道中

【乳牛Ⅲ】夏草や兵どもが夢の跡

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【一難去って、また一興】

マットに沈んだ乳牛を一瞥し、アカネはうっすらと涙を浮かべながら吐き捨てます。

「むきになんないでよ!!もおこどもなんやから…」

「お前も子どもやろが」ぼくは、即座に言い返しました。


すると、アカネは、
「うわーん、ぐっすんひっぐ、ひどいよぉ」
と、号泣し始めたのです。

「お前や。ひどいのは、お前や」
ぼくはアカネに対して反論します。

しかし、アカネの号泣に気づいたジムトレーナーのお姉さんは、ぼくに近づいて言いました。

「あ~、お前やらかしてもうたな。
アカネを泣かしたらあかんやないか。
ちょっと、ジムから出ていけよ。
そのへんブラついてこい」

ぼくは納得できませんでした。
アカネと乳牛に、自分のポケモンたちを、何十回と轢かれて瀕死にさせられ、現実世界でゲロピッピまで吐いてしまった。

それなのに、その悔しさを晴らして勝利すれば、悪者扱いされるのです。

不可解な思いが狼煙のようにモヤモヤと上昇していきました。


そのときに、改めて気づきました。この世界とは、不条理なものです。

納得できないことがあってこそ、人生なのです。


あんなに強かったアカネちゃんも、負けてしまえば女の子です。
急に号泣するというメンヘラっぷりも、女の涙は武器なのです。

そして、乳牛はそれを知っていたのかもしれません。

自らの主、アカネちゃんが、本当はか弱い女の子だということを。

だから乳牛は、ありとあらゆる技を駆使して、挑戦者たちを叩き潰してきたのでしょう。

それを考えると、あの乳牛のことが愛おしくなりました。
乳牛は愛するアカネを守りたかっただけなのです。

大人になってから、乳牛の種族値を見ると、「なんや雑魚やん?」と思ってしまうでしょう。

しかし、アカネへの思いが、乳牛の強さを種族値以上に引き出していたと思うと、納得ができます。

これぞ、「アイノチカラ」


ストーリーを進めて、アサギシティ付近の草むらで出会ったミルタンク(乳牛)を捕まえたとしても、自分の手持ちポケモンになると弱いと感じるものです。

それは、自分の「アイノチカラ」が弱いからなのかもしれません…


―――――――――――――――――――

【後日談-必勝法-】

ライアーゲームの秋山は言いました。
「このゲームには、必勝法がある。」

そう、あの頃はイシツブテしか思い浮かびませんでしたが、対アカネ戦には他にも秘策があるのです。

・マダツボミの塔で捕まえたゴースで「のろい」を使う

・ポッポですなかけを撒いた後に、チコリータリフレクター→毒の粉→なきごえ。

・交換で入手できるメロメロ対策のメスのワンリキー(きんにく)を使う。


これらの情報を知っていれば、あんなに苦戦することはなかったのかもしれません。

「情弱乙」と叱られそうです。


 しかし、幼き日の私たちには真っ向勝負で勝つ方が大きな喜びを得られると思うのです。

だからあの頃は、情弱万歳、なのです。


―――――――――――――――――――

【夏草や兵どもが夢の跡 松尾芭蕉を思ふ】

草むらで必死にマグマラシのレベル上げに励み、つながりのどうくつまで戻り、イシツブテを捕まえる。
あの時間こそ、人生においてかけがえのないことに気づかせてくれた時間だったのです。

成功に近道はありません。

試行錯誤と地道な努力が大事なのです。

人生には、決して、逃げてはいけない時がある。

それをアカネちゃんと乳牛は教えてくれたのです。

アカネちゃんと乳牛だけではありません。

ピカチュウ版で、タケシに挑むとき、

イシツブテといえば、みんな大好きタケシさんですね。
しかし彼は金銀版において、オムスターやカブトプスやら、貴重な化石ポケモンを使っていました
研究所から盗んだわけではないと思いますが、心配ですね。

ヒトカゲを選んで、カスミのスターミーに挑むとき、

ヌマクローを選んで、ジュプトルに挑むとき、

ポケモンの世界では、絶体絶命の時でも勝って前に進まないとならないときがあるのです。

実社会も同じです。
どんなときでも、ネバーギブアップ!



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