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【外伝】ねねと秀吉~暗号資産講座
【ねね秀】会社員はつらいよ
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サトシ・ナカモトの謎について、語りつくした秀吉とねね夫婦は、ベッドに入った。あっというまに夜は明ける。
朝起きて、身支度をして、ネクタイを締める。
電話営業は増えたもの、自宅でのテレワークは許されない織田証券では、いつも通り満員電車に乗って出社しなければならない。
「あーあ、こんな時代遅れのやりかたで、天下布武なんてできるのかよ。ライバルの証券会社は、テレワークの導入で社員が働きやすくなったっていうのに…」
朝から顔が冴えない秀吉に、ねねはポンと肩を叩いた。
「あなた、朝から愚痴を言わないの。あなたが織田証券で働いている目的を忘れたの?その達
成のために、今は耐えなきゃ」
「そうだな。ありがとう、ねね」秀吉にとって、ねねは背中を押してくれる存在だった。子宝には恵まれなかったが彼女の笑顔さえあれば十分だ、と思っていた。
「ねね、会社に行ってくるよ。たしか今日は日中、実家に帰るんだよな?」
「ええ。杉原家に帰るわ。あなたが返ってくるまでには、戻ってくるからね」
「おっけー。今日も仕事頑張ってくるよ!」
そう言って、秀吉は会社に向かった。
*
1日の仕事が終わり、「ただいま」とドアを開けた秀吉に、「今日は早かったわね、あなた」と、にこにこしているねね。
「ああ、今日は部下に任せてきた。早くねねに会いたかったし…」
「もう、あなたったら~」と、ねねは秀吉の肩を叩く。「いって!」腕力が強い妻。
「それでね、あなた。今日、実家に帰ったときに、おかんがビットコイン以外のコインについて教えてくれたのよ!」
「それはよかったね!昨日は結局ビットコインしか話せなかったからなあ。
ビットコインは仮想通貨のなかでもっとも時価総額が大きく基軸になっているが、あるとコインの中にも注目されているものが多いからな」
「アルトコインってあれよね?Alternative Coin、代替のコインっていうのよね?」
「そうだね。ビットコイン以外の仮想通貨はアルトコインと言われる。ほとんどはビットコインを基に開発されているから、根本的な仕組みはビットコインと同じだけどね」
「アルトコインってたくさん種類があるのよね?おかん、色々教えてくれたんだけど、その名称は忘れてたの。だから、私、おかんにアルトコインの名称を思い出させてあげたい!」
「ねね、君、いつからお母さんをおかんと呼ぶようになったんだ?」秀吉は首を傾げる。
「あれ、いつからかしら…」ねねは不敵な笑みを浮かべる。
「それとね、お願いがあるの。この話をしてるときだけは、大阪弁で話してほしい…私もそうするから…」
「え、大阪弁、もしや君は…」秀吉は全てを察した。
「じゃあ、仕切り直しね」ねねは、パンと手を叩いて、「つくてんてんてん」と、出囃子の音を声で表現した。
朝起きて、身支度をして、ネクタイを締める。
電話営業は増えたもの、自宅でのテレワークは許されない織田証券では、いつも通り満員電車に乗って出社しなければならない。
「あーあ、こんな時代遅れのやりかたで、天下布武なんてできるのかよ。ライバルの証券会社は、テレワークの導入で社員が働きやすくなったっていうのに…」
朝から顔が冴えない秀吉に、ねねはポンと肩を叩いた。
「あなた、朝から愚痴を言わないの。あなたが織田証券で働いている目的を忘れたの?その達
成のために、今は耐えなきゃ」
「そうだな。ありがとう、ねね」秀吉にとって、ねねは背中を押してくれる存在だった。子宝には恵まれなかったが彼女の笑顔さえあれば十分だ、と思っていた。
「ねね、会社に行ってくるよ。たしか今日は日中、実家に帰るんだよな?」
「ええ。杉原家に帰るわ。あなたが返ってくるまでには、戻ってくるからね」
「おっけー。今日も仕事頑張ってくるよ!」
そう言って、秀吉は会社に向かった。
*
1日の仕事が終わり、「ただいま」とドアを開けた秀吉に、「今日は早かったわね、あなた」と、にこにこしているねね。
「ああ、今日は部下に任せてきた。早くねねに会いたかったし…」
「もう、あなたったら~」と、ねねは秀吉の肩を叩く。「いって!」腕力が強い妻。
「それでね、あなた。今日、実家に帰ったときに、おかんがビットコイン以外のコインについて教えてくれたのよ!」
「それはよかったね!昨日は結局ビットコインしか話せなかったからなあ。
ビットコインは仮想通貨のなかでもっとも時価総額が大きく基軸になっているが、あるとコインの中にも注目されているものが多いからな」
「アルトコインってあれよね?Alternative Coin、代替のコインっていうのよね?」
「そうだね。ビットコイン以外の仮想通貨はアルトコインと言われる。ほとんどはビットコインを基に開発されているから、根本的な仕組みはビットコインと同じだけどね」
「アルトコインってたくさん種類があるのよね?おかん、色々教えてくれたんだけど、その名称は忘れてたの。だから、私、おかんにアルトコインの名称を思い出させてあげたい!」
「ねね、君、いつからお母さんをおかんと呼ぶようになったんだ?」秀吉は首を傾げる。
「あれ、いつからかしら…」ねねは不敵な笑みを浮かべる。
「それとね、お願いがあるの。この話をしてるときだけは、大阪弁で話してほしい…私もそうするから…」
「え、大阪弁、もしや君は…」秀吉は全てを察した。
「じゃあ、仕切り直しね」ねねは、パンと手を叩いて、「つくてんてんてん」と、出囃子の音を声で表現した。
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