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第二章
夏の祭りの屋台メニュー①
しおりを挟む結局は商売人。
首都ハウフロート以外からも多くの人が集まる機会に、お店の宣伝をしない手はない。
という事で、8対2、否、6対4位で悩んだが出店することにした。
勿論私とルヴァンの二人で回るはずもないので、リンランやロビンさん、ピーターくんとメイプルちゃんも手伝ってくれることになった。
アイザックさんとケインさんも助力を名乗り上げてくれたが、設営やら何やらで駆り出されて忙しそうだったので今回は遠慮しておいた。
そして、定休日の今日。
キッチンスペースにはお手伝いをしてくれる四人は勿論、トルーとダダンも来ていた。
「今日はフェスタのメニュー相談会なんだけど、どうして二人が…?」
今回は二人を呼んだ記憶はない。
勿論メニューが決まり次第販売の流れについてお手伝いしてくれる面々とは作業のシュミレーションしようと思って呼んでいたのだから来ていて何も驚かない。
だけど二人は違う。
「サラちゃんのお陰でお店も大盛況ですし、僕達も出店をお手伝いしようかな、と。いつか自分で出店するときの参考にしたいし。」
大したことないと言わんばかりにさらっと要件を話すダダンと、チラチラとリンランの様子を伺いながら
「なんだ…その、皆んなで協力した方が内容も良いものになるし、お客を楽しませられるだろ。」
とかなんとか言いながらリンランに良いところを見せるのに必死なトルー。
ジト目で見つめれば
「な、なんだよ!!」
と少し慌てだし、思わず笑えばつられるように皆んなも笑いだした。
なんだか心地いいな。
少しずつ。
少しずつだけどお祭りで汗かきながら頑張るのも良いかもしれないと思い始めた。
「よし、そうと決まればメニュー考えよう!」
と言えばどこかワクワクした様子の面々から“何作る?何作る?”と言う心の声が聞こえた気もするけど、見なかったことにしたいと思う。
メニューの一つはもう決まっている。
近々焼きそばパンを発売しようと考えていたのでその宣伝を兼ねて焼きそばを出そうと思っている。
何より、お祭りの中で香るソースの匂いはテンションが上がる。
ただし、問題がある。
今日はそれを解決する為の集まりといっても過言ではない。
この世界に来てから麺料理と言う麺料理を一切見かけたことがないのだ。
そもそも、一期一会では珍しい料理ばかりを提供しているが、大半はこの世界でも手に入るものである。
そもそも日本でも麺を好きな人は多かったが、苦手と言う人もいた。
色々考えながらも人参と玉ねぎを切っていき、ルヴァンにはキャベツを食べやすいサイズにちぎって貰う。
個人的主観ではあるが、キャベツは手でちぎった方が味が馴染むから好きだ。
その様子を見ていたロビンさんが手伝いを申し出てくれて豚肉を切ってもらうことにした。
「お肉はこのくらいの大きさでお願いします。」
「わかりました。」
少しだけ大きさの見本を切れば、流石は主婦で、ロビンさんはあっという間にお肉を切ってしまった。
なんとも心強い。
いっそ…
なんて考えたところで、鉄板がいい具合にに温まった。
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