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第二章
友情のホットドッグ④
しおりを挟むそして、翌日。
時はやってきた。
定休日という事もあり、昼過ぎにトルーの所へ向かう。
その前に、ダダンの所へよると、お願いしていたパンを形成する所だったので、急遽、昨日作ったカスタードクリームを包んで拳のような形になるように作って見せて、同じように作って焼いてもらった。
ダダンはと言うと、中に入れたクリームの正体が気になっているようだったけど、これは後でのお楽しみだ。
そうこうしているうちに時計は3時を指している。
「そろそろ、トルーの所に行こう。」
と出来上がったばかりのクリームパンと手を加えていないローストビーフを持って外に出れば、タイミングよく声をかけられた。
「サラ、お待たせ~。」
声の主は私の友であり、トルーの想い人のリンランである。
「ごめんね、急に呼び出して…。」
と手を合わせて謝れば
「美味しいものを食べれるって聞いてるし問題ないわよ~。」
とフォローしてくれる。
本当に可愛さに磨きがかかっている。
トルーに追い帰されない為と言うのもあるけど、リンランの気持ちがわかれば、二人のわだかまりも消えるだろうという安直な考えではあるが、話ができないで終わる事はないという事だ。
因みに、リンランには今回の事は何も言わず、トルーとダダンのお店、そして一期一会の新作料理の試食と称して声をかけている。
「さ、トルーの所に行こう。」
とグイグイとリンランの背中を押せば、クスクス笑いながらも付き合ってくれる。
「「こんにちは~。」」
と二人でトルーのお店に入ればそれはいい笑顔で
「いらっしゃい!」
と返事が返ってきて、リンランの後ろの私と目が合った途端に苦い顔をされた。
そして更に続けてルヴァンとダダンが入ってくると少し驚いた顔をしていた。
何も知らないリンランが
「新作の試食に呼んでくれてありがと~。」
とトルーにニコニコと笑顔で伝えれば“えっ?”っと驚いた顔をしたのち、目をそらした私を見て少し引き攣った笑顔で
「いや、来てくれてありがとう。奥にどうぞ。」
と返していた。
どんな反応されようと、取り付く島がないよりはマシだもんね。
と自分を納得させながらリンランを筆頭に奥のスペースに進んでいき、皆がそのスペースに収まったのを確認して、思い切って話を始めた。
「えー、そうしたら三店舗の新メニュー予定の料理の試食会を始めようと思います。」
何を言ってるんだどいう顔で眉間に僅かにしわを寄せるトルー、楽しみ顔のリンラン、訳知り顔のルヴァンに、少し戸惑った様子のダダン。
四者四様の反応を無視して、はじめにクリームパンを取り出す。
「ダダンのパン屋さんからはこのクリームパン!」
先程まで一緒に作ってはいたが、まさか自分のお店の新商品だとは思っていなかったダダンは“えっ!”と声を上げたが、何も聞かなかったことにして話を続ける。
「このパンの中にはカスタードクリームと言う甘いクリームが入っていて、甘いおやつパンなの。
百聞は一見にしかずって言うし食べてみて。」
と言えば
“百聞?”と聞き馴染みのない言葉に首を傾げていた面々も“何回も聞くより一度見た方が早いって意味だよ”と言えば“なるほど”とそれぞれがテーブルに出されたクリームパンに手を伸ばした。
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