異世界で総菜屋始めます

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第一章

女子会は和洋折衷で②

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束の間のティータイムを楽しんだ後はリンランとエプロンを着けて、手を洗って、手元の食材を見ながらメニューを考え始めた。

既にいくつかの食品は取り寄せしてあるので、今日はリンランもいるし家にある材料で間に合いそうだ。

「リンランは辛い物食べれる?」

と聞けば"辛い物?"と首を傾げられた。

この世界の料理は殆どが塩での味付けなんだから、塩辛いしょっぱいはあっても元より辛いという概念は無いのかもしれない。

あまりに辛い物は辞めといたほうが良さそうだな。

「リンラン、胡瓜の棘を塩で取ってもらってもいい?」

「え?胡瓜ってそのまま以外にも食べ方あるの~?」

あ、そうでした。この世界では料理はシンプルイズベストだということを忘れておりました。

「こうやって胡瓜の表面を塩で撫でるように洗っていくの、そうすると表面のトゲトゲが取れて口当たりが良くなるの、少しくたっとなるけどそれは問題ないから大丈夫だよ」

「そうなのね~やってみるわ!」

やる気に満ちた表情で此方を見ているリンランは楽しそうに作業をしていてなんだか微笑ましい。
その上、可愛い子のエプロン姿はご褒美だよ!

ニヤニヤとしながら、頑張るリンランに習って作業を始める。

洗ってヘタを取り、縦六当分に切った茄子をフライパンでさっと揚げ焼にして、一度バッドに移し、貰い物の豚肉を叩いてミンチにし始めた頃に"できた!"と嬉しそうな声が聞こえた。

リンランは几帳面な性格のようで、私の言葉通り全ての胡瓜が少しくたっとするまで揉み続けてくれたらしい。

「ありがとう。そしたらヘタを切り落としてこの袋に入れて、麺棒で軽く胡瓜を叩いてもらってもいい?割れ目が入るくらいで大丈夫だから」

「わかったわ~」

ヘタを落とした後、袋に入れて胡瓜を叩くリンランは凄く楽しそうで、ストレスとか溜まってるのかなと少し心配になった。

できたてのミンチを油をひかずにジュージューと炒め、お肉がホロホロして来たところで酒、味噌、味醂、砂糖と少量の醤油を加えて炒めていき混ざりきったところで器に取り出した。

味噌の焼ける匂いと肉の脂が混ざっていい匂い。

仕上げに入る前にリンランを見れば、作業自体は終わった様子なのに匂いにつられたのか此方をじーっと見ている。

「食べ「うん」る?」

と聞けば半ば被せ気味で返事が返ってきた。

確かにこの匂いは食指が動くよね。
甘塩っぱい肉味噌最高!

スプーンで掬って差し出せば口に含んだリンランから"ふわぁ~~"と可愛らしい声が上がった。
お気に召したようで何よりだ。けどこれで完成ではない。

「まだ完成してないから進めちゃおうか」

と笑えば少し恥ずかしそうに頬を染めていて、嗚呼本当に可愛いんだからとキュンキュンしたのは秘密だ。

叩いた胡瓜を食べやすいサイズに手で割いてもらっている間に、先程、肉味噌を作ったフライパンに微塵切りにしたニンニクと摩り下ろした生姜、胡麻油、豆板醤を入れて炒めたら中華スープの顆粒ダシを溶いた水で伸ばしていって…

煮立つ前に肉味噌投入!

ここで味を見つつ、更に味噌と少量の醤油で味を調えて揚げ焼きした茄子を投入!

はぁー、もう!単体でもご飯が進む肉味噌と夏野菜の茄子をいっしょに炒めて仕舞えば、食欲無いなんて言えないくらいご飯進んじゃうよね。

沸々と煮立ってきたところで一度火を止めて、水溶き片栗粉を回し入れてまた一気に強火にして混ぜる!

とろみがついたら麻婆茄子の出来上がりー!!

久しぶりの中華…今度は山椒とか使って本格的なものを作るのも良いかも知れない。

半分は麻婆豆腐にしても良かったかもしれない、と思ったけど後の祭りだ。

そのうちリベンジしようと決めたところにまた視線を感じて、そちらを見れば初めて見る料理に釘付けのようだった。

そりゃー肉味噌であれだけ喜んでくれたのに、更に手を加えたから気になるよね。
何だか私が料理してる時のルヴァンみたい。

ついつい小さな扉に目が行ったけど長くなりそうだったもんなーーと手元に視線を戻しリンランに味見をしてもらった。

「熱いから気をつけてね」

「うん。ふーふーっ…はふ、はふ、!!おひひ~~~」

「良かった、さっ、あったかいうちに食べられるように残りもぱぱーっと作っちゃおう!」

と声をかければ余程早く食べたいのか"次は何する"と張り切っている。

割いた胡瓜に醤油少量と胡麻油、胡麻を入れて最後に和風だしを振ってあえてもらった。

叩き胡瓜は味付けで簡単に味変出来るから優秀な上、食欲ない時にも塩分と水分を一緒に取れるから良いんだよね、ただ胡瓜に栄養は殆どないらしいからこれだけじゃダメらしいんだけど…


とりあえず、あとは主食ともう一品。


トマトを輪切りにしてモッツァレラチーズとバジルを交互に乗せていき、オリーブ油を回し掛けて塩、胡椒を振ったら簡単カプレーゼの出来上がり。


お皿に盛り付けたものを運んでもらっている間に、クッペを切ってバターとニンニクと胡椒で簡単ガーリックトーストを作って温めているうちに、ブルスケッタを作らなくては、と思うといつもよりも早く動けている気がする。

トマトと胡瓜は賽の目に切って、バジルペーストと少量のお酢、塩、胡椒とオリーブオイルで混ぜちゃえば完成だ!
そこに今日はシソを細く切ったものを混ぜてほんのり和風!

全てのガーリックトーストが焼き終わる前に何とか作り終えた。



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