異世界で総菜屋始めます

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第一章

ルヴァンの秘密①

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眠い目を擦り、何時もより早く目を覚ました。

今日はお昼過ぎにケビンさんのお宅にお邪魔する予定だ。
そのまま畑に向かって作業をすればお腹が空くのは目に見えている。
そうなればオヤツのお弁当は必須だ!

朝ごはんは簡単に、
食パンを軽く焼いてからケチャップを塗って、刻んだハムに玉葱、ピーマン、最後にチーズを乗せてもう一度トースターでチーズが蕩けるまで焼けば、なんちゃってピザトーストの完成だ。

あとはコンソメの素と微塵切りの玉葱を水から煮込んで、玉葱が柔らかくなったら塩胡椒で味を整えて手抜きオニオンスープ!

うん。完璧なる手抜き料理。

ルヴァンが起きてくるまでピザトーストは最後の仕上げをせずに置いておけば、とろーりチーズのパンが食べられる。

あとはお昼の仕込とオヤツのお弁当の準備!

お昼は…あれにしよう!

そしたら下準備はお弁当だけだ!
今日は食べやすさ重視で行こう。

大根の葉を洗い微塵切りにして、塩で揉んででた水分は捨てる。
そしたらもう少し塩を足して刻んだ大葉と胡麻、熱々のご飯と和えれば大根の葉の混ぜ込みご飯の完成!
大葉と胡麻がアクセントになって美味しいんだよね。
もう少し濃い味が好きなら麺つゆをご飯に一垂らししてあえるのも有りだ!

あとはシャケを焼いて皮と小骨まで綺麗に取ってほぐして、皮はカリカリになるまでもう一度焼いたら微塵切りにして、ほぐしたシャケと混ぜたら昨日作ったマヨネーズと醤油を少し垂らして合えて白いご飯の真ん中に乗せて握る。
シャケマヨがいい風味を出してこれもツナマヨに負けないくらい美味しい!

嗚呼、お弁当じゃなくて今食べたい。
ピザトーストも待ってるけどルヴァンもまだ起きてきてないし…

「ゴックン…」

一口サイズの小さいの作っちゃえ!

大根の葉のシャキシャキ感と大葉と胡麻の風味、そしてこのいい塩梅が白米の甘さを引き出して…幸せ。
こうなったらシャケマヨも、生唾を飲み込んで口に含めばもうこれだけを何個でも食べれそう。

やっぱり、これは総菜屋の米料理にするのは決定だ!
おにぎりなら昼でも夜でも食べれるもんね!

人数も多いからと重箱に詰めていけば一段はおにぎりでいっぱいになる。作りすぎ?
ま、余っても私が食べればいいんだから問題ない。

金平牛蒡を二段目に詰めれば半分以上がガラ空きだ。

うーんコロッケ?けど茶色一色になっちゃう。

冷蔵庫を開ければ卵が目に入る。

定番の卵焼き…かな。

ボウルに卵を割って入れてザックリと溶きすぎないように注意して混ぜれば砂糖と、ひとつまみの塩を入れて熱したフライパンに油を伸ばして卵をスクランブルにする様にして、火が通ってきたら菜箸を止めて織り込んではじに寄せて卵を足して、を繰り返して厚みが出たら完成!

綺麗に焼けた!

焼き上がった卵焼きを切って端の部分は味見っ!

「熱っ、けど甘うま!」

出汁巻も好きだけど甘い卵焼きは色も綺麗だしホントにお弁当向きだよね。

後は、アスパラを洗って大体三等分に切ったら3本位のアスパラをベーコンで巻いて、楊枝でとめて加熱したフライパンで焼いていく。
この時ベーコンから油が出るから油は引かないで作るとアスパラがくたっとせずにベーコンも少しカリッと仕上がるからお弁当向きだ!
反対の面も焼いて完成!

熱々を食べるならバターを使っても美味しい。

卵焼きとベーコンのアスパラ巻きは粗熱を取ってから詰めれば完成!

けどオヤツなのだからスイーツも欲しい。

やっぱり甘いのかな?それともしょっぱいの?

悩む、これはおおいに悩む。

こちらの世界に来てからスイーツはもちろんオヤツまでなるべく自炊しようとしたら中々食べれない。
それにオヤツは大抵のものがしっかり量を計らなくてはいけないという大雑把な私には辛いものだ。

パン耳ラスクだったり焼きメレンゲはザックリ感でなんとかなるけど大抵のものはそうはいかない。

勿論取り寄せしてもいいんだけど何だか罪悪感に苛まれてそうも行かない、だからしっかりと考えたい。

うん。やっぱ軽量面倒くさいからしょっぱいのにしよー!

サツマイモとジャガイモをしっかり洗って、根などは包丁でしっかり取ってから水気を切る。
そしたら半分に切ってスライサーで薄くしていって、熱した油で素揚げ。

芋が反って浮き上がってきて、こんがりとしたらバッドに上げて塩をまぶして油を切ったらポテトチップスの出来上がり!

今袋に入れるとしんなりしちゃうから家を出るまでしっかり乾燥させなきゃ。

けど出来たては今だけ!!

口に放り込めば芋の甘みと塩の加減がいい仕事をしてバクバク食べれそう。

バリバリ、モゴモゴ

「サラ嬢…」

ゆっくり後ろをむけばルヴァンがほっぺをパンパンに膨らませて剥れ面で此方を見ている。

うん。ほっぺがパンパンでも剥れ面でもルヴァンは可愛いなぁ、何て言っていい雰囲気ではなく

「サラ嬢一人で食べてズルいです。サラ嬢なんて…サラ嬢なんて…食いしん坊ーーー!」

今にも駆け出しそうなルヴァンを捕まえて腕の中に閉じ込めれば、味の調整や確認に必要な事だと必死に説明した。
卵焼きの反対端の部分をルヴァンにも食べさせればそれはそれは、あっと言う間に機嫌は収まって最後の一押し

「今日の朝ごはんはピザトーストとオニオンスープだよ」

「早く食べましょう!」

うん。もうニッコニコだ最早魔法の言葉だね。

最終仕上げにトーストとスープをしっかり温めて席に着けば既に両手を合わせて待っているルヴァンが愛おしい。

もうずっとモフモフしてられる。

余りにも待たせるとせっかくのトロットロのチーズが固まってしまうので

「「頂きます」」

と食べ始めればいい具合ににチーズが伸びてトロットロ、モッチモチ。

コーンとか乗せても良かったな。何て考えながらもこれから色々やってみれば良いよね、と軽く気持ちを切り替えた。

食事を楽しみながら話に花を咲かせればルヴァンが、そう言えばと続け驚く事実が告げられた。

「私、このままの姿だとサラ嬢の手伝いが出来ないので、アンジェリカ様の提案で元の姿に戻らせていただくことになりました!」

「そう、元の姿に戻るの」

「はい!そしたらお料理のお手伝いも出来ますよ!」

「へぇー」

へぇー?元の姿…

元の姿とな?!

「え?今のモコモコは仮の姿なの?!」

「はい、そうです!」

「本当の姿ってどんな…」

「食事が終わったらお見せしますね。」

開いた口が塞がらない位に衝撃を受けている。
それと同時に胸がチリっとした気がした。
もしもこれが少女漫画のヒロインならばきっとお前なんてモブに降格だ!と怒られるレベルで酷い顔をしているに違いない。

きっと芸術的な迄にひどい顔をしている。

そっと顎に手を添えて口を閉じれば、もしかしたら楽しい会話の途中から白昼夢を見ていたかも知れない可能性に辿り着いた。
うん。そうだ、そうに違いない。取り敢えずご飯食べよう。

残り僅かとなった朝食を飲み込めば妙な緊張感を覚えた。






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