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第20話 ニーナさんを撫でまくる

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 街を出てやってきたのは僕達が初めて出会ったイムの森。湖畔の傍にある木陰で僕たちはのんびりとしていた。
 胡坐をかいた僕の膝にニーナさんが頭を乗せて横になっている。
 頭を撫でてあげると彼女はやはりビクビクと艶めかしい反応を見せてくれた。

「ふあっ、ふああ……ユウトしゃ……っ、ああ……」

 頭を撫でれば呼吸を荒くし、顎を擦れば可愛らしく鳴き声をあげる。
 耳元で囁いたらくねくねと染み一つない綺麗な体をくねらせて甘えてくる。
 焦らすように手を離せばニーナさんは媚びを売るように瞳を切ない涙で潤ませた。

「ほんとにいい天気ですね。湿度も丁度良くてお昼寝しちゃいそうです」

 返事を返そうとするニーナさんに合わせて喉元を撫でてあげた。我慢できなかったのか甲高い喘ぎを発して恥ずかしそうにニーナさんは顔を伏せた。
 そんな表情も美しいと感じた。
 木々の隙間から差し込む陽光がニーナさんの銀糸のような髪の毛を反射して幻想的な光景を作りだす。
 まるでそれは1つの芸術品のよう。
 卑屈すぎる絶世の美少女が必死に僕に媚びてトロトロに甘えてくるその様は僕の理性をちょっとずつ削いでいく。
 僕も興が乗ったのか、ニーナさんの弱点を重点的に撫で回した。ニーナさんが押し殺した喘ぎ声を出し足先をピンと伸ばした。
 で、この辺で思ったんだけどさ。 

 これセクハラじゃね?

 ごめんニーナさんが可愛すぎて調子に乗りすぎたかもしれない。
 思えば彼女を元気付けようとしてたまではいいんだけど、ニーナさんの反応がよすぎてやり過ぎてしまったように思う。特にニーナさんの家での膝枕あたりから。
 一度冷静になってしまえば後は早い。
 罪悪感が沸いた。ニーナさんの頭から手を退かす。
 するとニーナさんは「え?」って顔で僕を見てくる。うるうると涙目になって、もうしてくれないの? みたいな。
 ペットがもっと撫でてほしいと飼い主にすり寄るみたいに。切なそうに華奢な腰をもじもじさせている。
 駄目だ。これは抗えない。
 もう一度手を伸ばした。

「ハァ、ハァ、ふぅぅ……! ぁ、んっ!?」

 冷静に考えてみたけどさ。
 膝枕して頭撫でてるだけなんだよね。
 うん、僕は悪くない。
 ニーナさんも喜んでるみたいだし、少しくらいはいいはず。喜んでるというか、むしろ悦んでるみたいな。
 思えばアトランタでは女の子とのラブコメとかなかったからなー……
 僕も完全に飢えているわけだ。
 とはいえ本来の目的を忘れてはいけない。
 ニーナさんには卑屈改善の一環として今回のデートを目一杯楽しんでもらうと決めているのだ。

「何かしてほしいことないですか?」

 するとニーナさんは言う。

「もっと、もっと撫でてくらひゃい……頭、ぽわぽわって、しちゃうんでしゅ……」

 ハァハァと吐息を漏らす。呂律の回ってない口調で控えめなお願いをするニーナさん。
 本当にこんなことでいいんだろうか。本人は尋常じゃないくらい幸せそうだけども。
 うーん、僕の理性持つだろうか。





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