神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸

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勇者召喚

第30話 日記

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 ○月×日 朝

 悠斗様がパセリを残していた。
 どうやら悠斗様はパセリの苦みが苦手らしい。
 可愛い。


 ○月×日 昼

 悠斗様のお部屋を掃除しに行ったら悠斗様がお昼寝をしていた。
 気持ち良さそうだった。
 一緒に添い寝したかったけど我慢した。


 ○月×日 夜

 また悠斗様がパセリを残していました。
 そんなに苦手なんでしょうか? 


 ○月▽日 朝

 今日は悠斗様が素振りをしていた。
 いつものように優しそうな顔じゃなくて、とても真剣な顔。
 格好良かった。

 
 ○月▽日 昼

 悠斗様が―――



「………」

 私はそこでリリアさんの日記を閉じた。
 偶然見つけたものですけど……これ以上勝手に読むのも悪いですしね。
 
「リリアさん……佐山さんのことだけしか書いてないんですね……」

 甘ったるくて砂糖でも吐きそうですよ、ほんとに。
 どれだけ好きだったんですか。
 私はあの時何もすることが出来なかった。
 魔導スキルは魔法を覚えていないと意味がない。
 だから姫木さんに守ってもらって……気付けば気を失って。
 その間に色々あったらしい。
 目を覚ましたのは全てが終わってからだった。
 窓から中庭を見る。
 姫木さんと佐山さんが話しているのが窓越しに分かった。

「佐山さんが、ちょっとだけ羨ましいです」

 これだけ好いてくれる女の子がいるなんて。
 やっぱり佐山さんはラノベの主人公みたいな人だなと、改めて思った。
 実はスキル9個も持ってるし。
 
「こんなに甘々なラブコメはラノベの中だけで十分ですよ……」

 ねえ、リリアさん。
 あなたは偽物だと、そう思っていたらしいですね。
 自分の感情は偽りだと……
 最後の告白も嘘だったのだと。
 なら、なんで―――

「なんで、こんなに幸せそうなんですかね……」

 嘘だったのなら、その感情が勘違いだったというのなら。
 なんであんなに楽しそうだったんですかね。

「……本物ですよ、リリアさん」

 最初は違っていたのかもしれない。
 私にはそれを証明できない。 
 肯定できないし否定もできない。
 だけど、それでも。
 誰が何と言ってその気持ちを否定しようとも―――



―――――――――――――――


 ○月◇日

 今日はいつもより多く悠斗様とお話しができた。
 胸が温かくなる。
 やっぱり私は悠斗様が大好きなんだなと思った。
 悠斗様といつまでも一緒にこんな日々を過ごせたらいいな。
 明日も、次の日も、そのまた次の日も。
 ずっと、ずっと……

 ―――いつまでも。


―――――――――――――――


 私にはそれが愛だったのだと。
 本物だったのだと……そう思います。



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