シロトラ。

黒谷

文字の大きさ
上 下
17 / 19

16:赤い悪意。

しおりを挟む

 ぞくりと背筋に冷たいものが駆け上がる。
「……お、おおお、オスカー頭首……!」
「ロウ?」
「あ、ああ、アドルフ、オスカー……!」
 赤い悪魔を視界にとらえたロウが、刹那。
 生まれたての子鹿のように、震えはじめた。
 目の焦点があっていない。
 そんなに有名な人物なのだろうか。
 だが魔王とかいう悪魔の中で、そんな名前はきいたことがないし、まあわたしも詳しくないのでわからない。
「ロウ! ロウ!」
 ロウにはわたしの声も、届いていないみたいだった。
 ずっと呆然と、赤髪の悪魔をみつめている。
「せっかく天沼矛を『強奪』させたというのに、この天沼矛は使い物にならなくてね。……そこの小僧が、わざわざ『具現化』など使ったために」
「ひっ……!」
 赤い瞳にみつめられたロウは、すくみ上がる。
 その悪魔の手には、わたしの大切な。
 大切な首飾りが、握られていた。
 具現化、というのが何かはわからないが、一つ、わかることがある。
 それは、その悪魔のものではないということだ。
 悪魔が持つに、ふさわしいものではないということだ。
「――それ、返却願います。さもなくば貴方を切り裂くことになりますよ」
 わたしはロウの一歩前に出て、悪魔を睨み付けた。
 その赤い悪魔の、一歩前に出て、悪魔はわたしを睨み付ける。
「その前に某が君を切り裂くことになる」
 わたしのカタキが、不意に割り込んできた。
 相も変わらず、無表情な瞳だ。
「……いいですよ、やってみますか? わたしと貴方、どちらが切り裂けるか」
 わたしは鬼切を構える。
 今度は、大丈夫。
 戦っているのは、わたしだけじゃない。
 わたしだけじゃあ――ない!

がしっ

 悪魔の背後から、見覚えのある影。
「! な、何……」
「あははー、ぼくのとら姉をいじめるなー!」
 ミュウだ。
 ミュウは悪魔に背後から抱きつくと、そのまま分身をはじめた。あっという間に悪魔はミュウに押さえつけられる。
 男の子とは思えない手際のよさだ。
「くっ、この、はな――」
「無駄ですわ」
 ついでに、ルイスさんも押さえにかかる。
 赤髪の悪魔はそんな様子を無表情でみつめていた。
 どうしてこいつはこんなに冷静なんだろうと、思いつつも――、しかし、目の前の悪魔に、カタキに、狙いを定める。
「終わりですね」
 だからわたしは堂々と、悪魔を。
 鬼切で――、切り裂いた。
 その少し前に、ミュウとルイスさんがぱっと離れる。
 うーん、まさに絶妙のコンビネーション。

ズバッ!

 すさまじい勢いで鮮血が吹き出す。
「ぐ、う!」
「言ノ葉を刀にのせてみましたから、並大抵の攻撃力ではないすよ」
 続いて、わたしは、赤い悪魔を睨み付ける。
 そうしている間にも、ロウはずっと震えたまま、視線を赤い悪魔から外そうとしなかった。
「く……」
「何をしているこの愚息め」
「!」
 刹那、悪魔の身体が真横に吹っ飛んだ。
 今後は、レオンではない。
「――愚息って……!」
 まぎれもなく、赤い悪魔の攻撃だった。
 バロックさんと対峙したまま、どうやって攻撃したのかはわからないが……、間違いなく、吹き飛ばした。
 吹き飛ばされた悪魔の方は、壁に軽くめり込んでいる。
 ……仲間では、ないのだろうか。
「ふん。出来損ないめ。……まあいい。小僧、こちらにきて『具現化』を解除しろ」
「……あ……!」
 赤い悪魔は一度視線を悪魔へとうつした後、もう一度、ロウをみつめて、呟いた。
 するとロウは、おかしいことに、ふらふらと歩き始める。
 どうやら様子がおかしい。
「ちょっと、一体どうし……、……貴方の仕業ですか」
「そのとおり。察しがいいな小娘」
 赤い悪魔を睨み付けると、彼は楽しそうに笑った。
 ロウはふらふら、ふらふらと悪魔の方へ歩いていく。
 止めようにも、何故だかわたしの身体も、動かなくなっていた。
「……! バロックさん、これは……!」
 となりに立つバロックさんをみつめる。
 が。
「すみません……彼の能力を忘れていました……」
 バロックさんも、動けないようだった。
 なんていうことでしょう。
 ちなみにすっかりスーツの男は蚊帳の外だ。
 こちらをみたまま、まったく動かない。
 それはロウの状況と少し、似ていた。
「彼の能力は『支配』。ある一定距離のもの、全てを支配下におくことができるのです……」
 すさまじくでたらめな能力だった。
 さすがにそれはない。
 ていうか、なにげに絶体絶命だ。
「――具現化、解除」
 ロウがもうろうとした顔で、天沼矛に、触れた。
 とたんにまばゆい光が溢れ出す。
「……!」
 スーツの男はその様子をみつめていた。
 光は巨大な矛を象り、徐々に変化していく。
 すっと、糸がきれたように、ロウが倒れる。
「ロウ! ロ……!」
「悪いが儂はうるさいのが嫌いでね」
 声が、ふいに出なくなった。
 それどころか、もっと、重要な。
「……ッ」
 呼吸が、できない。
「残念ながら、そろそろさようならとしよう。……そこの人間。貴様も同様にな。もう利用価値もあるまい」
「………」
「ああ、もう聞こえてはいないか。……どうも人間に『能力』を使うと、効率が悪い。ただの人形になってしまう」
 赤い悪魔はちらりとスーツの男をみるなり、ニタリと笑ってくるりときびすを返した。
 なんていう悪魔だ。
 今更ながらに、わたしは、敵がこいつ一人だったことを理解した。
 このスーツも、エレベーターで待機しているという男も、わたしの、カタキでさえも。
 しかし、崩れ落ちる男をみながら、さすがのわたしも、そろそろ、やばい気がしてくる。
 元どおりのサイズらしい天沼矛を抱えた赤い悪魔は、それを抱え直して、歩き出した。
 ……ああ、もう、だめか。
 酸素が、さんそが、な


「×××××―――――ッ!!!!!」


 ドッと、音が、溢れた。
 とっさに鼓膜を守る。
「!?」
それは悪魔も同じことのようで、突然のことにバッと振り返って、こちらをみた。
「……はあ……っ……はあ……っ」
「……ほほう」
 よくみれば、ルイスさんが、大声を、いや何かを発したらしく必死に息を整えている。
 脳内に直接たたき込まれた衝撃で、ロウも起き上がった。もう大丈夫のようだ。呼吸も、できる。
 なにより、身体が、動く。
「え、あ……オレ、一体……」
「ロウ、無事ですか!」
「うん、まあ……」
 まだ意識がハッキリしないのか、ぼんやりと辺りを見渡すロウ。
 よし……!
「貴様の『バウンドボイス』、儂は少々甘くみていたようだ。――死ね」
「!」
 安堵も一瞬。
 刹那、赤い悪魔の攻撃が、ルイスに伸びた。
「ルイスさん!」
 手を伸ばすも――間に合わない。
 ルイスさんは、身じろぎ一つしなかった。
 ああ、いやだ。
 もうこれ以上、誰かを――。


「呼ばれて飛び出てッじゃじゃじゃじゃあああんッ!」


 ドッゴォォォォォオオンッと派手な音が、響いた。
 あまりの衝撃で思わず目をつむったが、正解だったようで辺りには土煙のようなものが舞っていた。
 ――つまり、それほど大きな衝撃だったということだ。
「大丈夫か」
「……! は、はい……」
 そんな中で、目をあけて一発目。
 飛び込んできたのは無事に抱き上げられているルイスさんと、ルイスさんを抱き上げている、見知らぬ男性だった。……なんとなく、雰囲気が悪魔ではありそうだが。
 男は頭にミニハットをつけていて、ワイシャツの上に着流しを羽織っている。
 その声は、悪魔を吹き飛ばした音とは、違う、男性の低い声だった。
「んふふー。楽勝なんだよー♪」
 その悪魔の、少し後ろ。
 よくみればそこにも、見知らぬ少女が、立っていた。
 青い髪に青い瞳。やる気のなさそうな、気怠さをひめた、瞳がわたしを見つめる。
 声は、先ほどの悪魔を吹き飛ばした声と、同じ。
 ひどくのほほんとした、女の子の声だった。
「君がトラコちゃん? 父さんの命令で君たちを特別に守りに来てあげたよーん! ね、レオンー」
「けっ」
 そこにはレオンもちょうど重なるようにして立っていた。
 不機嫌そうに、顔は歪んでいる。
 だけどきてくれたこと自体が――嬉しい。
「……帝王の兵器か。くだらん」
「!」
 ふいに声が響いた。
 赤髪の悪魔の声、だ。
「わー、オスカーだー」
 びくりと震えたロウとは違って、女の子はひどく楽しげに赤髪の悪魔を見つめる。
「おい起きろロイズ。それから堕天使ども。こいつらを始末しろ」
「うっ……」
 その声で、壁にめり込んでいた悪魔が、ゆっくりと動き始める。
 が、動ける状態ではないようで、血まみれのうえにフラフラだった。千鳥足みたいだ。
「もう、だから言ったじゃないの」
 そして頭上からも、声がした。
 ハッと上をみる。
「やあトラコちゃん♪ 僕はそこの無神経な悪魔と違って、ちゃあんと名乗るよー。僕は北魔界魔王、アルマロスだよ。よろしくね」
「……!」
 ニタリと、シルクハットをかぶった、銀髪の悪魔がわたしに微笑む。
 気持ち悪い。
「死んでください」
「おっと! ――無効化」
 振り袖から出した瓶『雷』で貫撃を放ったが、悪魔はいとも簡単に、左手でそれを消してしまった。
 うーん。わたしはどこぞのコインを弾く女の子ではないのだけれど悔しい。
「――まあ予想はしてましたけど、やっぱりこうなるんですねえ。あ、私はですね、ソロモン七十二柱が一人、シャクスと申します。よろしくどうぞ?」
「ここにもですか……」
 次は抜刀しようとしていたわたしの肩を、茶髪の、どこか鳩みたいな悪魔が掴んでいた。
「! シャクスお前! オレのトラコに触るな!」
「おや失敬」
 それをみていてどうやら正気に戻ったらしいロウが、シャクスに向かって怒鳴り散らす。
 なんだか状況がどんどん悪化していっているというのに、相手には焦りの色がみえない。
 が、次の瞬間。
青い髪の女の子が、シャクスを文字通り、ぐしゃりとつぶした。
 いや正確には、頭上から拳をたたき込んだ。
 さすがに赤髪の悪魔と、銀髪の悪魔の目が見開かれる。それはそうだろう。
「あははー! 鳩はお呼びじゃないよんー」
 正確にはお前も呼ばれてはいないぞ、と思いつつも、わたしは赤い悪魔を警戒する。
 そんな様子を興味なくみていた悪魔は、やがて視線をふらふらしながらこちらへ少しずつ向かっている悪魔へとうつした。
 ……わたしの胸に嫌な予感が去来する。
 先ほどの、場面を思い出す。
 瞬間、わたしは走った。
「役に立たない愚息め。やはり死んでいろ」
「ッ!」
 赤い悪魔が、わたしのカタキに、手を伸ばす!
 わたしは、全力で走って間合いに入り、刀を抜く体勢になった。
 そのさい背後で炎が吹き出したり、スーツの男がその炎に包まれて絶叫していたり、ミュウがつぶされたと思ったシャクス……実際は床に埋まっただけのようだが、それに向かって思い切り蹴る殴るの暴行をくわえているのがみえたが――あえて無視することにした。
「―――」
「!」
 ありったけの気持ちをのせて、刀を抜く!
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Halloween Corps! -ハロウィンコープス-

詩月 七夜
キャラ文芸
■イラスト作成:魔人様(SKIMAにて依頼:https://skima.jp/profile?id=10298) この世とあの世の狭間にあるという異世界…「幽世(かくりょ)」 そこは、人間を餌とする怪物達が棲む世界 その「幽世」から這い出し「掟」に背き、人に仇成す怪物達を人知れず退治する集団があった その名を『Halloween Corps(ハロウィンコープス)』! 人狼、フランケンシュタインの怪物、吸血鬼、魔女…個性的かつ実力派の怪物娘が多数登場! 闇を討つのは闇 魔を狩るのは魔 さりとて、人の世を守る義理はなし ただ「掟」を守るが使命 今宵も“夜の住人(ナイトストーカー)”達の爪牙が、深い闇夜を切り裂く…!

とあるマカイのよくある話。

黒谷
ファンタジー
「俺と結婚を前提に付き合って下さい!」  「は────はあああああああ!?」  ハイゼットの叫びは帆船内部に響き渡り、また、女剣士の悲鳴ともとれる叫びもまた、帆船内部隅々に響き渡った。  彼の頭からは下された任務のことなどすっかり消え失せていて、目の前の彼女のことしか見えていなかった。  さて、これが、のちに魔界で大ヒットドラマとして放映されることになる、『戦場でプロポーズ』の元ネタになろうとは。  いまだ戦乱に満ちたこの時代では、本当に誰も知らないのである。 ……と、このように少々(もしかしたらだいぶ、かもしれない)脳内が残念な主人公が、戦乱に満ちた魔界を治め、魔界というものに大変不釣り合いな『平和』というものをもたらすまでのお話でございます。 彼と彼の愉快な仲間たちが織り成す、ギャグありシリアスあり、全年齢向け程度のお色気ありの冒険譚。 (悪魔が出ますので性に多少奔放でございますがそのへんはご容赦くださいませ) (頑張って抑えさせます) どうぞ、ご覧になっていってくださいませ。 ※注意※ NL以外の恋愛描写的表現が普通にあります。ごく普通に。 大丈夫か?と思われる過激な表現もございます。 また悪魔の世界なので倫理観に問題がある場合がございます。 苦手な人間の方はご注意ください。  

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

天使の国のシャイニー

悠月かな(ゆづきかな)
ファンタジー
天使の国で生まれたシャイニーは翼と髪が虹色に輝く、不思議な力を持った天使。 しかし、臆病で寂しがり屋の男の子です。 名付け親のハーニーと離れるのが寂しくて、泣き続けるシャイニーを元気付けた、自信家だけど優しいフレーム。 性格は正反対ですが、2人はお互いを支え合う親友となります。 天使達の学びは、楽しく不思議な学び。 自分達の部屋やパーティー会場を作ったり、かくれんぼや、教師ラフィの百科事典から様々なものが飛び出してきたり… 楽しい学びに2人は、ワクワクしながら立派な天使に成長できるよう頑張ります。 しかし、フレームに不穏な影が忍び寄ります。 時折、聞こえる不気味な声… そして、少しずつ変化する自分の心…フレームは戸惑います。 一方、シャイニーは不思議な力が開花していきます。 そして、比例するように徐々に逞しくなっていきます。 ある日、シャイニーは学びのかくれんぼの最中、不思議な扉に吸い込まれてしまいます。 扉の奥では、女の子が泣いていました。 声をかけてもシャイニーの声は聞こえません。 困り果てたシャイニーは、気付けば不思議な扉のあった通路に戻っていました。 シャイニーは、その女の子の事が頭から離れなくなりました。 そんな時、天使達が修業の旅に行く事になります。 5つの惑星から好きな惑星を選び、人間を守る修業の旅です。 シャイニーは、かくれんぼの最中に出会った女の子に会う為に地球を選びます。 シャイニーやフレームは無事に修業を終える事ができるのか… 天使長サビィや教師のラフィ、名付け親のハーニーは、特別な力を持つ2人の成長を心配しながらも温かく見守り応援しています。 シャイニーが成長するに従い、フレームと微妙に掛け違いが生じていきます。 シャイニーが、時には悩み苦しみ挫折をしながらも、立派な天使を目指す成長物語です。 シャイニーの成長を見守って頂けると嬉しいです。 小説家になろうさんとエブリスタさん、NOVEL DAYSさんでも投稿しています。

キャベツの妖精、ぴよこ三兄弟 〜自宅警備員の日々〜

ほしのしずく
キャラ文芸
キャベツの中から生まれたひよこ? たちのほっこりほのぼのLIFEです🐥🐤🐣

あなたになりたかった

月琴そう🌱*
キャラ文芸
カプセルから生まれたヒトとアンドロイドの物語 一人のカプセルベビーに一体のアンドロイド 自分たちには見えてない役割はとても重い けれどふたりの関係は長い年月と共に他には変えられない大切なものになる 自分の最愛を見送る度彼らはこう思う 「あなたになりたかった」

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ゆかりさんとわたし

謎の人
キャラ文芸
ゆかりさんはわたしの一番の友達で、古風な家に住まう幽霊です。 生まれつき重度の病人だった彼女が幽霊として再びわたしの前に現れてから早三年。この奇妙な関係にも慣れてきました。 当然学校に通うこともできず、日長一日ひとり寂しく広くて古い家の縁側に腰掛け、雲など眺めるゆかりさん。 そんな姿を思い浮かべる時、わたしはとても切なくなります。放っておくことはできません。 だからわたしは可能な限りの時間を使ってゆかりさんと遊ぶことにしました。少しでもいい、彼女の心労が和らいでくれることを願って。 ゆかりさんのためにわたしはいつもお話を持っていきます。それは日常のちょっとしたこと。 奇妙だったり、不思議だったり、不気味だったり、良く分からなかったりする。そんなお話を。 *「小説家になろう」にも投稿しています。 https://ncode.syosetu.com/n4636fe/

処理中です...