57 / 74
057:人面獣との戦闘
しおりを挟む
立ち止まり、睨み合う俺たちの後ろからドスンドスンと走る獣の足音。振り返るとそこには先程のホーンベアがいた。
そして俺たちを無視して、気味悪い声で鳴く人面獣に向かって吼えた。
「ごぉああああああ!」
まさに獣の威嚇の声。それをニタニタと笑いながら見ている黒い雲をまとう獣。
2頭の獣に挟まれてしまった。しかも内一頭は物理攻撃の効かない魔物。もう一頭は正体不明の魔物。
そしてホーンベアが正体不明の魔物に向かって突進。そして眼の前で立ち上がり、その右腕で薙ぎ払おうとした瞬間。閃光が走り、続いてバヅン! という物凄い音が辺りに轟いた。そして立ち上がった状態のホーンベアが前のめりに倒れたのだった。辺りには肉の焦げた匂いが立ち込め始めた。
それをニタニタと笑いながら眺めている獣が一頭。
ラーダが呟いた。
「マジかよ……」
俺も皆も唖然としている。ハンターたちを蹴散らしたホーンベアを、あっさりと倒してしまったのだ。
そしてその獣が俺たちの方へ、ゆったりと歩み始めた。一歩。また一歩。まるで俺たちの心を、なぶって楽しんでいるかのようだ。だが、そこは歴戦の戦士。ラーダが吼えた。自身を鼓舞するかのように。
「うぉおおおおおお!」
そして、俺たちに言った。
「全員逃げろ! ここは俺が時間を稼ぐ!」
バスタードソードを構えた。そして暗雲をまとう獣に突進。その剣を振り下ろした直後に辺りにバチッ! と音が鳴った。先程よりは小さな音だ。だが直後。ラーダの身体がビクンと痙攣。直後に倒れてしまった。
それを見てジャックが、やはり剣を構える。
「ハルさん。逃げてください!」
ジャックも戦いに挑もうとしたが、そこはハルが止める。
「私だって戦える!」
そして散弾銃を構えて発砲しようとしたところで獣が吼えた。
「ヒョー!!!!」
すると獣を中心にして、辺りに電気が広がり放電した。とっさにジャックがハルをかばう。
剣を構えていたからか、避雷針代わりになってしまったのか。それとも魔法的な電気のせいで通常とは違う動きをしたのか。それは分からないが、しかしその放電した電気のほとんどがジャックに命中。その体を電気が蹂躙した。崩れ落ちるジャック。ハルが叫ぶ。
「ジャック!」
そして彼女はジャックに駆けより、心音を確認した。
「死んで……」
俺はハルに叫ぶ。
「ハル! 心肺蘇生だ! 息を吹き返したら光魔法!」
そして。
「エリス。君だけでも逃げろ! 逃げて情報を持ち帰ってくれ!」
俺はライフル銃を構え、そして引き金を引いた。しかし……
「弾切れ!」
さっき、撃ったのが最後だったことを思い出す。そのあとリロードする暇がなかった結果だ。
「くっそ!」
痛恨のミス。それを見てエリス。
「カセさんこそ逃げてください!」
そうは言われても、ハルもエリスも置いて逃げる訳にはいかない。俺はリロードのために銃に弾を込め始める。
そんな俺に構うことなく、エリスは弓を引くような仕草をした。
「大技を放ちます!」
悠然とこっちに歩み寄ってきていた獣が、また笑う。
エリスの必殺技を受け止める気のようだ。
「上等です! 受けなさい!」
そして放たれる魔力の矢。彼女が言うには純粋な魔力の塊を放つ技なのだという。一日に一発が限度の大技。
しかし、その技が獣に当たる直前に霧散した。
「なっ!」
一瞬、唖然としたエリスだったが、すぐに立ち直り呪文の詠唱。
「アイスランス!」
しかし氷の槍も獣に触れる直前に粉々に砕け散った。
「なら、これならどうです!」
「アースランス!」
すると、そこで初めて獣の余裕の表情が崩れ、飛び上がったのだ。
「避けた!」
やはり電気。たとえ魔法的に発生していても相性があるのかもしれない。エリスがさらに呪文の詠唱。同時に獣が地面に着地。そのタイミングで魔法が発動された。
「アースクエイク!」
地面がひび割れ、その間に獣の下半身が飲み込まれ、身動きができなくなった。そこでリロードを終えた俺はライフル銃を構え、そして発砲したのだった。
そして俺たちを無視して、気味悪い声で鳴く人面獣に向かって吼えた。
「ごぉああああああ!」
まさに獣の威嚇の声。それをニタニタと笑いながら見ている黒い雲をまとう獣。
2頭の獣に挟まれてしまった。しかも内一頭は物理攻撃の効かない魔物。もう一頭は正体不明の魔物。
そしてホーンベアが正体不明の魔物に向かって突進。そして眼の前で立ち上がり、その右腕で薙ぎ払おうとした瞬間。閃光が走り、続いてバヅン! という物凄い音が辺りに轟いた。そして立ち上がった状態のホーンベアが前のめりに倒れたのだった。辺りには肉の焦げた匂いが立ち込め始めた。
それをニタニタと笑いながら眺めている獣が一頭。
ラーダが呟いた。
「マジかよ……」
俺も皆も唖然としている。ハンターたちを蹴散らしたホーンベアを、あっさりと倒してしまったのだ。
そしてその獣が俺たちの方へ、ゆったりと歩み始めた。一歩。また一歩。まるで俺たちの心を、なぶって楽しんでいるかのようだ。だが、そこは歴戦の戦士。ラーダが吼えた。自身を鼓舞するかのように。
「うぉおおおおおお!」
そして、俺たちに言った。
「全員逃げろ! ここは俺が時間を稼ぐ!」
バスタードソードを構えた。そして暗雲をまとう獣に突進。その剣を振り下ろした直後に辺りにバチッ! と音が鳴った。先程よりは小さな音だ。だが直後。ラーダの身体がビクンと痙攣。直後に倒れてしまった。
それを見てジャックが、やはり剣を構える。
「ハルさん。逃げてください!」
ジャックも戦いに挑もうとしたが、そこはハルが止める。
「私だって戦える!」
そして散弾銃を構えて発砲しようとしたところで獣が吼えた。
「ヒョー!!!!」
すると獣を中心にして、辺りに電気が広がり放電した。とっさにジャックがハルをかばう。
剣を構えていたからか、避雷針代わりになってしまったのか。それとも魔法的な電気のせいで通常とは違う動きをしたのか。それは分からないが、しかしその放電した電気のほとんどがジャックに命中。その体を電気が蹂躙した。崩れ落ちるジャック。ハルが叫ぶ。
「ジャック!」
そして彼女はジャックに駆けより、心音を確認した。
「死んで……」
俺はハルに叫ぶ。
「ハル! 心肺蘇生だ! 息を吹き返したら光魔法!」
そして。
「エリス。君だけでも逃げろ! 逃げて情報を持ち帰ってくれ!」
俺はライフル銃を構え、そして引き金を引いた。しかし……
「弾切れ!」
さっき、撃ったのが最後だったことを思い出す。そのあとリロードする暇がなかった結果だ。
「くっそ!」
痛恨のミス。それを見てエリス。
「カセさんこそ逃げてください!」
そうは言われても、ハルもエリスも置いて逃げる訳にはいかない。俺はリロードのために銃に弾を込め始める。
そんな俺に構うことなく、エリスは弓を引くような仕草をした。
「大技を放ちます!」
悠然とこっちに歩み寄ってきていた獣が、また笑う。
エリスの必殺技を受け止める気のようだ。
「上等です! 受けなさい!」
そして放たれる魔力の矢。彼女が言うには純粋な魔力の塊を放つ技なのだという。一日に一発が限度の大技。
しかし、その技が獣に当たる直前に霧散した。
「なっ!」
一瞬、唖然としたエリスだったが、すぐに立ち直り呪文の詠唱。
「アイスランス!」
しかし氷の槍も獣に触れる直前に粉々に砕け散った。
「なら、これならどうです!」
「アースランス!」
すると、そこで初めて獣の余裕の表情が崩れ、飛び上がったのだ。
「避けた!」
やはり電気。たとえ魔法的に発生していても相性があるのかもしれない。エリスがさらに呪文の詠唱。同時に獣が地面に着地。そのタイミングで魔法が発動された。
「アースクエイク!」
地面がひび割れ、その間に獣の下半身が飲み込まれ、身動きができなくなった。そこでリロードを終えた俺はライフル銃を構え、そして発砲したのだった。
0
お気に入りに追加
1,107
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる