39 / 74
039:もう一度勧誘してみる
しおりを挟む
敵を全滅させた俺たちは、その場にへたり込んだ。
「大丈夫ですか?」
エリスさんに言われて、俺はハルを見る。
「大丈夫か?」
ハルは表情を青くはさせていたものの「大丈夫です」と返事。そして俺とエリスさんにお礼を言った。
「ありがとうございました。加瀬さん。エリスさんも」
少し震えているし涙目だ。ジャックとラーダも寄ってきた。
「エリスさん。助かったよ。ありがとう」
ラーダもお礼を言い、ジャックはハルの傷の確認をした後でエリスさんにお礼を言った。その後は解体だ。オーガもグリーンエイプも魔石しか取れない獲物だ。
現在、オーガの解体を俺たちが。グリーンエイプの解体をハルとエリスさんとジャックがしている。
オーガの胸を切り開いて出てきた魔石は大きかった。
ラーダが俺に言う。
「こいつはぁ驚いた。さすが天然物だ。これは、かなりの価値があるぞ。どうする? とどめを刺したのはエリスさんだが?」
「エリスさんのでいいんじゃないか?」
「いいのか? かなり価値があるぞ?」
「助けてもらったお礼でもあるから」
俺のそんな言葉にラーダはニヤリと笑い、肩を叩きながら言った。
「欲がないな」
「そんなことはないさ。ただそれ以上に恩を感じてのものだ」
俺たちがそんな会話をしていると、そこにエリスさんがやってきた。ハルもジャックさんも一緒だ。エリスさんが言う。
「みんなで山分けにしませんか?」
ラーダが驚く。
「良いのか?」
「はい。私一人では狩れないですから。足止めしてくれる人が居たからこそ大技が撃てたんです」
ラーダが俺を見ている。どうするのかの判断を委ねるつもりだろう。俺はエリスさんに「良いんですか?」と改めて問う。するとエリスさんは「はい」と頷いた。ラーダが苦笑いだ。
「二人共、欲がねぇな」
俺とエリスさんはお互いを見て笑う。するとハル。
「おっ良い雰囲気なのはここかな?」
と言って俺とエリスさんの間に立った。
「バカハル。黙れ」
そう言って頭を軽く叩く。パシーンといい音が鳴る。しかし平然とそれを受け止めてハルは言った。
「そだ。今朝も言ったけどエリスさん。私達と組みませんか?」
しかし今朝と同様に断るエリスさん。
「いえ。迷惑かけてしまうから」
するとハル。
「そんな物は加瀬さんとラーダさんが追い払ってくれますよ」
するとジャック。
「ハルさん。俺は? 俺も居ますよ?」
しかしハル。
「ジャックさんは、う~ん。もっとこう。大人の余裕が必要というか……貫禄が必要というか」
あらら。ジャックを見ると落ち込んでいるのが分かる。だがちょうど良いかもしれない。俺はラーダを見ると、ラーダは肩をすくめただけだった。任せるということだろう。
「ハルも言っているが俺からも頼みたい。エリスさん。パーティーに入ってくれないか?」
しかし、それでも首を左右に振るエリスさん。
「そうか……残念だ」
仕方がない。ならせめて今夜の食事だけでも確約をと思って声をかける。
「わかりました。でも今日の食事会は参加していただけるんですよね?」
「それなら。えぇ」
ハルがエリスさんの腕を取る。
「一緒に帰りませんか? 村まで護衛をお願いします!」
するとエリスさんは、クスッと笑って言った。
「えぇ。それくらいなら」
パーティには勧誘できなかったが、まぁこればっかりはしょうがない。
この後、俺たちは開拓村へと帰ったのだった。
「大丈夫ですか?」
エリスさんに言われて、俺はハルを見る。
「大丈夫か?」
ハルは表情を青くはさせていたものの「大丈夫です」と返事。そして俺とエリスさんにお礼を言った。
「ありがとうございました。加瀬さん。エリスさんも」
少し震えているし涙目だ。ジャックとラーダも寄ってきた。
「エリスさん。助かったよ。ありがとう」
ラーダもお礼を言い、ジャックはハルの傷の確認をした後でエリスさんにお礼を言った。その後は解体だ。オーガもグリーンエイプも魔石しか取れない獲物だ。
現在、オーガの解体を俺たちが。グリーンエイプの解体をハルとエリスさんとジャックがしている。
オーガの胸を切り開いて出てきた魔石は大きかった。
ラーダが俺に言う。
「こいつはぁ驚いた。さすが天然物だ。これは、かなりの価値があるぞ。どうする? とどめを刺したのはエリスさんだが?」
「エリスさんのでいいんじゃないか?」
「いいのか? かなり価値があるぞ?」
「助けてもらったお礼でもあるから」
俺のそんな言葉にラーダはニヤリと笑い、肩を叩きながら言った。
「欲がないな」
「そんなことはないさ。ただそれ以上に恩を感じてのものだ」
俺たちがそんな会話をしていると、そこにエリスさんがやってきた。ハルもジャックさんも一緒だ。エリスさんが言う。
「みんなで山分けにしませんか?」
ラーダが驚く。
「良いのか?」
「はい。私一人では狩れないですから。足止めしてくれる人が居たからこそ大技が撃てたんです」
ラーダが俺を見ている。どうするのかの判断を委ねるつもりだろう。俺はエリスさんに「良いんですか?」と改めて問う。するとエリスさんは「はい」と頷いた。ラーダが苦笑いだ。
「二人共、欲がねぇな」
俺とエリスさんはお互いを見て笑う。するとハル。
「おっ良い雰囲気なのはここかな?」
と言って俺とエリスさんの間に立った。
「バカハル。黙れ」
そう言って頭を軽く叩く。パシーンといい音が鳴る。しかし平然とそれを受け止めてハルは言った。
「そだ。今朝も言ったけどエリスさん。私達と組みませんか?」
しかし今朝と同様に断るエリスさん。
「いえ。迷惑かけてしまうから」
するとハル。
「そんな物は加瀬さんとラーダさんが追い払ってくれますよ」
するとジャック。
「ハルさん。俺は? 俺も居ますよ?」
しかしハル。
「ジャックさんは、う~ん。もっとこう。大人の余裕が必要というか……貫禄が必要というか」
あらら。ジャックを見ると落ち込んでいるのが分かる。だがちょうど良いかもしれない。俺はラーダを見ると、ラーダは肩をすくめただけだった。任せるということだろう。
「ハルも言っているが俺からも頼みたい。エリスさん。パーティーに入ってくれないか?」
しかし、それでも首を左右に振るエリスさん。
「そうか……残念だ」
仕方がない。ならせめて今夜の食事だけでも確約をと思って声をかける。
「わかりました。でも今日の食事会は参加していただけるんですよね?」
「それなら。えぇ」
ハルがエリスさんの腕を取る。
「一緒に帰りませんか? 村まで護衛をお願いします!」
するとエリスさんは、クスッと笑って言った。
「えぇ。それくらいなら」
パーティには勧誘できなかったが、まぁこればっかりはしょうがない。
この後、俺たちは開拓村へと帰ったのだった。
0
お気に入りに追加
1,107
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる