異世界ハンターライフ

新川キナ

文字の大きさ
上 下
33 / 74

033:美人な女性

しおりを挟む
 翌朝。普通に目を覚ました。

 朝の支度を済ませて一階の食堂へ移動する際に一人の女性に出会った。端正な顔立ちに白い肌。金の髪と紺碧色の瞳。房状の耳。体の線が細くモデル体型。思わず見惚れてしまった。

 すると彼女が俺の視線に気がついたのだろう。じろりと睨まれてしまった。

「す、すみません。あまりに綺麗だったからつい……」

 すると彼女は溜め息を吐いた後で、やれやれといった様子で言った。

「それは、ありがとうございます。でも朝から寝起きの女性を口説くのは感心しませんよ?」

 怒るではなく、年上の女性が年下を嗜めると言った感じか。見た感じは20代中頃の女性だが……房状の耳ということは異種族なのだろう。もしかしたら見た目の年齢と中身が違うのかもしれない。

「すみませんでした。本当に……」

 俺が再度、謝罪すると女性はニッコリと笑って言った。

「いえ。人族のそういう視線には慣れていますから」

 う~ん。大人の余裕とでも言うか……

 まいったな。年上好きとして彼女の性格はストライクかもしれない。見た目もいいし。でも、まぁこれ以上引き止めて悪印象を持たれても困る。そう思って下がろうとしたら部屋の中からハルが出てきた。

「あれ? 加瀬さん……と、おぉ、すっごい美人さん!」

 すると美人さんが、クスクスと笑った。

「貴女も可愛らしいですよ」

 するとハルは照れながら挨拶。

「え。あ、ありがとうございます。えっと、私、ハルって言います!」
「はい。私はエリスと言います。ミネル氏族のウバの娘。エリスです」

 名前が判明した。ハル、でかした! ナイスだ。ハルとエリスさんの会話は続いている。

「おぉ! ミネル氏族!」

 ハルが驚いている。するとエリスさんも驚いた顔をした。

「えっ! 知ってるんですか!」

 するとハルは首を左右に振った。

「いえ。知らないです」
「知らないのに何で驚いたんですか!」

 エリスさんからツッコミが入った。少し頬を膨らませて怒っているようだ。うん。可愛いな。ハルが答える。

「あはは。なんか氏族って格好良いなぁと思って」

 だよな。お前ってそういうやつだよな。するとエリス嬢は一瞬驚いた後で笑った。花が開くような笑顔と言えばいいか。それはもう嬉しそうだ。

「格好良い! そうですか? 格好良いですか?」

 ハルが元気よく頷く。

「はい! 格好良いです!」

 するとエリス嬢は笑顔のまま、俺とハルを見ながら言った。

「どうです? 一緒に朝食でも」

 おいおい。マジか。それは願ってもないことだが……良いのか?

 しかし、そんな俺の心の機微など知ったこっちゃないと言わんばかりにハルが頷いた。

「はい! 是非!」

 ナイスだハル!

 今日のお前は輝いてるぜ!
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います

七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。 独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。 が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。 再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。 独自世界のゆるふわ設定です。 誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。 毎日0時にアップしていきます。 タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。 よろしくお願いします。 ※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。 ※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...