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033:美人な女性
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翌朝。普通に目を覚ました。
朝の支度を済ませて一階の食堂へ移動する際に一人の女性に出会った。端正な顔立ちに白い肌。金の髪と紺碧色の瞳。房状の耳。体の線が細くモデル体型。思わず見惚れてしまった。
すると彼女が俺の視線に気がついたのだろう。じろりと睨まれてしまった。
「す、すみません。あまりに綺麗だったからつい……」
すると彼女は溜め息を吐いた後で、やれやれといった様子で言った。
「それは、ありがとうございます。でも朝から寝起きの女性を口説くのは感心しませんよ?」
怒るではなく、年上の女性が年下を嗜めると言った感じか。見た感じは20代中頃の女性だが……房状の耳ということは異種族なのだろう。もしかしたら見た目の年齢と中身が違うのかもしれない。
「すみませんでした。本当に……」
俺が再度、謝罪すると女性はニッコリと笑って言った。
「いえ。人族のそういう視線には慣れていますから」
う~ん。大人の余裕とでも言うか……
まいったな。年上好きとして彼女の性格はストライクかもしれない。見た目もいいし。でも、まぁこれ以上引き止めて悪印象を持たれても困る。そう思って下がろうとしたら部屋の中からハルが出てきた。
「あれ? 加瀬さん……と、おぉ、すっごい美人さん!」
すると美人さんが、クスクスと笑った。
「貴女も可愛らしいですよ」
するとハルは照れながら挨拶。
「え。あ、ありがとうございます。えっと、私、ハルって言います!」
「はい。私はエリスと言います。ミネル氏族のウバの娘。エリスです」
名前が判明した。ハル、でかした! ナイスだ。ハルとエリスさんの会話は続いている。
「おぉ! ミネル氏族!」
ハルが驚いている。するとエリスさんも驚いた顔をした。
「えっ! 知ってるんですか!」
するとハルは首を左右に振った。
「いえ。知らないです」
「知らないのに何で驚いたんですか!」
エリスさんからツッコミが入った。少し頬を膨らませて怒っているようだ。うん。可愛いな。ハルが答える。
「あはは。なんか氏族って格好良いなぁと思って」
だよな。お前ってそういうやつだよな。するとエリス嬢は一瞬驚いた後で笑った。花が開くような笑顔と言えばいいか。それはもう嬉しそうだ。
「格好良い! そうですか? 格好良いですか?」
ハルが元気よく頷く。
「はい! 格好良いです!」
するとエリス嬢は笑顔のまま、俺とハルを見ながら言った。
「どうです? 一緒に朝食でも」
おいおい。マジか。それは願ってもないことだが……良いのか?
しかし、そんな俺の心の機微など知ったこっちゃないと言わんばかりにハルが頷いた。
「はい! 是非!」
ナイスだハル!
今日のお前は輝いてるぜ!
朝の支度を済ませて一階の食堂へ移動する際に一人の女性に出会った。端正な顔立ちに白い肌。金の髪と紺碧色の瞳。房状の耳。体の線が細くモデル体型。思わず見惚れてしまった。
すると彼女が俺の視線に気がついたのだろう。じろりと睨まれてしまった。
「す、すみません。あまりに綺麗だったからつい……」
すると彼女は溜め息を吐いた後で、やれやれといった様子で言った。
「それは、ありがとうございます。でも朝から寝起きの女性を口説くのは感心しませんよ?」
怒るではなく、年上の女性が年下を嗜めると言った感じか。見た感じは20代中頃の女性だが……房状の耳ということは異種族なのだろう。もしかしたら見た目の年齢と中身が違うのかもしれない。
「すみませんでした。本当に……」
俺が再度、謝罪すると女性はニッコリと笑って言った。
「いえ。人族のそういう視線には慣れていますから」
う~ん。大人の余裕とでも言うか……
まいったな。年上好きとして彼女の性格はストライクかもしれない。見た目もいいし。でも、まぁこれ以上引き止めて悪印象を持たれても困る。そう思って下がろうとしたら部屋の中からハルが出てきた。
「あれ? 加瀬さん……と、おぉ、すっごい美人さん!」
すると美人さんが、クスクスと笑った。
「貴女も可愛らしいですよ」
するとハルは照れながら挨拶。
「え。あ、ありがとうございます。えっと、私、ハルって言います!」
「はい。私はエリスと言います。ミネル氏族のウバの娘。エリスです」
名前が判明した。ハル、でかした! ナイスだ。ハルとエリスさんの会話は続いている。
「おぉ! ミネル氏族!」
ハルが驚いている。するとエリスさんも驚いた顔をした。
「えっ! 知ってるんですか!」
するとハルは首を左右に振った。
「いえ。知らないです」
「知らないのに何で驚いたんですか!」
エリスさんからツッコミが入った。少し頬を膨らませて怒っているようだ。うん。可愛いな。ハルが答える。
「あはは。なんか氏族って格好良いなぁと思って」
だよな。お前ってそういうやつだよな。するとエリス嬢は一瞬驚いた後で笑った。花が開くような笑顔と言えばいいか。それはもう嬉しそうだ。
「格好良い! そうですか? 格好良いですか?」
ハルが元気よく頷く。
「はい! 格好良いです!」
するとエリス嬢は笑顔のまま、俺とハルを見ながら言った。
「どうです? 一緒に朝食でも」
おいおい。マジか。それは願ってもないことだが……良いのか?
しかし、そんな俺の心の機微など知ったこっちゃないと言わんばかりにハルが頷いた。
「はい! 是非!」
ナイスだハル!
今日のお前は輝いてるぜ!
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