13 / 74
013:登録証と宿と男の話
しおりを挟む
ついでにハンター証を持つメリットを尋ねてみる。すると街への出入りが自由になるのだという。他にも毛皮や肉。魔石というものを売買する際の納税義務も免除されるという。
随分と大盤振る舞いだな。
そのへんを少し突っ込んで聞いてみた。いくら何でも話が美味しすぎるのだ。すると受付嬢が、おやっという疑問を持った顔をした後に説明をしてくれた。
「街の周囲の治安の確保や、魔石などの資源の入手。それから自由民の管理と把握のためだと伺っておりますが……」
俺は更に突っ込んで尋ねる。
「街の周囲の治安の確保?」
「はい。街の周囲に出没する魔物や害獣駆除ですね」
「へぇ……」
どうやら、ここの領主は治安の重要さが分かっているようだ。しかしそれにしてもだ。一部とは言え納税を免除するとは。
それほどまでに魔物や害獣の被害、魔石とやらの資源が重要か……
まぁいい。こちらとしてはデメリットを感じない。
やはり登録はしておいていいだろう。俺と受付嬢のやり取りが終わったところで、今まで黙って聞いていたハルが口を開いた。
「えっと、この辺の宿の一般的な値段が知りたいです!」
受付嬢が少し考えて答えた。
「だいたい大銅貨2枚から泊まれます。高い所だと大銀貨数枚からと言ったところでしょうか」
ハルが俺を見る。
「なんだ?」
「部屋は別々ですか?」
「宿の値段次第だな」
「ですよね」
ハルが受付嬢に更に質問している。どうやら若い女性が一人でも大丈夫な宿を、という条件を出している。俺と一緒は嫌らしい。まぁ俺も独りの方がいいからいいのだが。
そうして、泊まるのに丁度いい宿を紹介してもらってから、俺たちはハンターギルドの建物から出た。
するとギルドの建物から出た所で、男に絡まれた。先程、俺たちから毛皮を格安で巻き上げた男だ。
「おい!」
俺は面倒臭いなぁという表情を取り繕うこともせず返事をする。
「はい?」
「さっきはよくも恥をかかせてくれたな!」
そう言って凄む男性。正直かなり怖い。だが俺の後ろにはハルが居る。ここで引くという選択肢はない。だが戦うという選択肢もない。戦うことにメリットがなさすぎるからだ。だから素直に謝る。
「それは済みませんでした」
俺がニッコリ笑って謝ると、男は面食らったような表情になった。
「お、おう」
ここはこのまま畳み掛けることにする。ついでに情報収集もすることにする。
「お詫びに、どうです? この後に夕食でも。おごりますよ?」
後ろのハルが嫌そうな顔をしているが、俺にとってはチャンスなのだ。すると鎧の男はさらに困惑の表情を濃くする。
「あ、あぁ…… でも、いいのか?」
「はい。残っていたシカの毛皮が、ことのほかいい値段で売れましたからね。その変わりに色々と話を聞かせてもらえますか? 先輩!」
と言う感じで話しかける。すると男は「お、おう。よく分かってるじぇねぇか」とか言って、さっきまでの怒りはどこへやら。一転して上機嫌で酒場へと俺たちを誘ったのだった。
随分と大盤振る舞いだな。
そのへんを少し突っ込んで聞いてみた。いくら何でも話が美味しすぎるのだ。すると受付嬢が、おやっという疑問を持った顔をした後に説明をしてくれた。
「街の周囲の治安の確保や、魔石などの資源の入手。それから自由民の管理と把握のためだと伺っておりますが……」
俺は更に突っ込んで尋ねる。
「街の周囲の治安の確保?」
「はい。街の周囲に出没する魔物や害獣駆除ですね」
「へぇ……」
どうやら、ここの領主は治安の重要さが分かっているようだ。しかしそれにしてもだ。一部とは言え納税を免除するとは。
それほどまでに魔物や害獣の被害、魔石とやらの資源が重要か……
まぁいい。こちらとしてはデメリットを感じない。
やはり登録はしておいていいだろう。俺と受付嬢のやり取りが終わったところで、今まで黙って聞いていたハルが口を開いた。
「えっと、この辺の宿の一般的な値段が知りたいです!」
受付嬢が少し考えて答えた。
「だいたい大銅貨2枚から泊まれます。高い所だと大銀貨数枚からと言ったところでしょうか」
ハルが俺を見る。
「なんだ?」
「部屋は別々ですか?」
「宿の値段次第だな」
「ですよね」
ハルが受付嬢に更に質問している。どうやら若い女性が一人でも大丈夫な宿を、という条件を出している。俺と一緒は嫌らしい。まぁ俺も独りの方がいいからいいのだが。
そうして、泊まるのに丁度いい宿を紹介してもらってから、俺たちはハンターギルドの建物から出た。
するとギルドの建物から出た所で、男に絡まれた。先程、俺たちから毛皮を格安で巻き上げた男だ。
「おい!」
俺は面倒臭いなぁという表情を取り繕うこともせず返事をする。
「はい?」
「さっきはよくも恥をかかせてくれたな!」
そう言って凄む男性。正直かなり怖い。だが俺の後ろにはハルが居る。ここで引くという選択肢はない。だが戦うという選択肢もない。戦うことにメリットがなさすぎるからだ。だから素直に謝る。
「それは済みませんでした」
俺がニッコリ笑って謝ると、男は面食らったような表情になった。
「お、おう」
ここはこのまま畳み掛けることにする。ついでに情報収集もすることにする。
「お詫びに、どうです? この後に夕食でも。おごりますよ?」
後ろのハルが嫌そうな顔をしているが、俺にとってはチャンスなのだ。すると鎧の男はさらに困惑の表情を濃くする。
「あ、あぁ…… でも、いいのか?」
「はい。残っていたシカの毛皮が、ことのほかいい値段で売れましたからね。その変わりに色々と話を聞かせてもらえますか? 先輩!」
と言う感じで話しかける。すると男は「お、おう。よく分かってるじぇねぇか」とか言って、さっきまでの怒りはどこへやら。一転して上機嫌で酒場へと俺たちを誘ったのだった。
0
お気に入りに追加
1,107
あなたにおすすめの小説
草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない!!
アキナヌカ
ファンタジー
ある時、ある場所、ある瞬間に、何故だか文字通りの草食系ヴァンパイアが誕生した。
思いつくのは草刈りとか、森林を枯らして開拓とか、それが実は俺の天職なのか!?
生まれてしまったものは仕方がない、俺が何をすればいいのかは分からない!
なってしまった草食系とはいえヴァンパイア人生、楽しくいろいろやってみようか!!
◇以前に別名で連載していた『草食系ヴァンパイアは何をしていいのかわからない!!』の再連載となります。この度、完結いたしました!!ありがとうございます!!評価・感想などまだまだおまちしています。ピクシブ、カクヨム、小説家になろうにも投稿しています◇
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる