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003:扉を開けて探索をしよう
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それから、およそ2時間を掛けて解体した後、扉の前に戻ってくる。
「よし! 行くか!」
「はい!」
こうして俺はハルとともに、この不思議な扉の先を探検することになったのだった。
入り口から懐中電灯で中を照らすと、先は緩やかな斜面が続いている。ちょうど人が一人通れるほどの広さがある。ハルは俺が照らした穴を覗き込みながら口を開いた。
「結構深いですね。どっちが先に行きます?」
ちらりと俺は一度、ハルを見て答える。
「俺が先に行く。ロープはしっかり腰にくくってろよ?」
ニコニコと頷くハルの様子に不安を感じた俺は、また溜め息をつく。それから洞窟を進む。洞窟の壁面の様子を確認しながらゆっくりとだ。崩落とかされたら洒落にならないからな。するとハルも同じ心配をしていたようだ。
「崩れたりしませんよね?」
「それは俺も気になってた」
「ガスとか空気とか大丈夫ですよね?」
「……知らん」
こればかりは壁の様子を確認しながら慎重に進むしかない。
とは言っても所詮は素人のすることなので気休め程度だが。
それでもやらないよりはマシと、ゆっくりと慎重に進むこと30分ほど。ハルが沈黙に耐えられずに馬鹿なことを言いだした。
「この先に何があるんですかね? 地底人とかが居るんですかね! 超古代文明が眠っていたとかですかね!」
「北海道の地下にそんな物があるわけ無いだろ!」
ハルのテンションがおかしいので、頭に手刀を食らわせて黙らせる。そうやって、じゃれ合いながら進んだ先には巨大な洞穴があるだけだった。
「行き止まり、か……」
ハルからも不満を表す声が漏れる。
「え~」
俺は振り返って尋ねる。
「何が不満だ?」
「だってぇ。地底人はどこですか? 超古代文明は?」
「さぁな」
「そんなぁ……」
そう言って口を尖らせるハルに俺は思わず呆れてしまう。
「おまえな……」
しかし俺の言葉にも構わず、がっくりと肩を落としたハルが口を開く。
「私はてっきり、地底人に出迎えてもらえるものかと……」
「21世紀の、この時代に地底人て……」
バカは放っておいて、俺は引き返そう壁に手を付いた。すると手の平に岩肌とは違う硬い何かが触れた。驚いてライトを照らすと、そこにはスイッチがあった。
「おいおい。スイッチが有るぞ?」
戸惑う俺をよそにハルが「スイッチオーン!」と叫んでスイッチを押した。止める間もないぐらいの超反応。
俺はハルの頭を叩く。スパーンといい音がなった。やはり空っぽか。
「お前な!」
「え~、だってぇ~」
「だってぇ~じゃねぇよ! なに押してんだよ!」
「スイッチがそこにあったから?」
「あったからじぇねぇよ! 押すなよ! 馬鹿じゃないのか!」
そんな漫才をしていると、頭上の方でケタケタと笑い声が聞こえたのだった。
「よし! 行くか!」
「はい!」
こうして俺はハルとともに、この不思議な扉の先を探検することになったのだった。
入り口から懐中電灯で中を照らすと、先は緩やかな斜面が続いている。ちょうど人が一人通れるほどの広さがある。ハルは俺が照らした穴を覗き込みながら口を開いた。
「結構深いですね。どっちが先に行きます?」
ちらりと俺は一度、ハルを見て答える。
「俺が先に行く。ロープはしっかり腰にくくってろよ?」
ニコニコと頷くハルの様子に不安を感じた俺は、また溜め息をつく。それから洞窟を進む。洞窟の壁面の様子を確認しながらゆっくりとだ。崩落とかされたら洒落にならないからな。するとハルも同じ心配をしていたようだ。
「崩れたりしませんよね?」
「それは俺も気になってた」
「ガスとか空気とか大丈夫ですよね?」
「……知らん」
こればかりは壁の様子を確認しながら慎重に進むしかない。
とは言っても所詮は素人のすることなので気休め程度だが。
それでもやらないよりはマシと、ゆっくりと慎重に進むこと30分ほど。ハルが沈黙に耐えられずに馬鹿なことを言いだした。
「この先に何があるんですかね? 地底人とかが居るんですかね! 超古代文明が眠っていたとかですかね!」
「北海道の地下にそんな物があるわけ無いだろ!」
ハルのテンションがおかしいので、頭に手刀を食らわせて黙らせる。そうやって、じゃれ合いながら進んだ先には巨大な洞穴があるだけだった。
「行き止まり、か……」
ハルからも不満を表す声が漏れる。
「え~」
俺は振り返って尋ねる。
「何が不満だ?」
「だってぇ。地底人はどこですか? 超古代文明は?」
「さぁな」
「そんなぁ……」
そう言って口を尖らせるハルに俺は思わず呆れてしまう。
「おまえな……」
しかし俺の言葉にも構わず、がっくりと肩を落としたハルが口を開く。
「私はてっきり、地底人に出迎えてもらえるものかと……」
「21世紀の、この時代に地底人て……」
バカは放っておいて、俺は引き返そう壁に手を付いた。すると手の平に岩肌とは違う硬い何かが触れた。驚いてライトを照らすと、そこにはスイッチがあった。
「おいおい。スイッチが有るぞ?」
戸惑う俺をよそにハルが「スイッチオーン!」と叫んでスイッチを押した。止める間もないぐらいの超反応。
俺はハルの頭を叩く。スパーンといい音がなった。やはり空っぽか。
「お前な!」
「え~、だってぇ~」
「だってぇ~じゃねぇよ! なに押してんだよ!」
「スイッチがそこにあったから?」
「あったからじぇねぇよ! 押すなよ! 馬鹿じゃないのか!」
そんな漫才をしていると、頭上の方でケタケタと笑い声が聞こえたのだった。
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