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第一章:王都編

032:ホーンラビット戦の決着

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 ザクッという感触とガギィンという音が聞こえた。ホーンラビットの角と頭蓋骨を叩き割った感触と剣が折れた音だ。

 そして地面に叩きつけられるホーンラビット。私はすぐさま予備武器のバトルナイフを腰から抜いた。周囲の警戒をしながら地面に落ちたホーンラビットの警戒をするが、起き上がってくる様子はない。そして逃げた他の二匹も姿を見せる様子はない。

 しばらく警戒していたら、応援が駆けつけてきた。

「大丈夫か!」

 私は「怪我人が一人。五等級ポーションで治療をします! それからホーンラビットが二匹逃げました! 警戒を!」と端的に状況の報告をした。私は急いでダンリーさんの元へ。折れたサーベルの柄は、その辺に投げ捨てる。

「お腹を一突き。それから噛みつかれたか」

 でも、まだ息があることにホッと胸をなでおろす。

 私は彼に怪我を癒すポーションを一本飲ませて、もう一本を傷口にもかける。私が持っている五等級のポーションは安物だ。それでも傷薬の中では値が張るが、今は四の五の言っていられる状況じゃない。

 見捨てるという選択肢はない。それをしたら護衛としての信用問題に関わる。仕事の評価に影響が出るのだ。それに目の前で人が苦しみながら死ぬのを黙ってみていられるほど薄情じゃない。

「死なないでよ」

 噛みつかれた所も重症だが、やばいのはお腹だ。出血を抑えるために傷口を押さえながら三本目のポーションを振りかける。ダンリーさんの意識は無いが、出血もだいぶ止まり危機的状況は脱したように見えた。ホッと胸をなでおろす。

 同じ冒険者仲間もホッとしたようだ。

 怪我人を運ぶための戸板が用意された。これから彼は自宅療養か治癒院へ運ばれるだろう。彼が治療代を持っているかどうかで選択肢が変わるが、そこから先は私に出来ることはない。

 折れたサーベルを拾う。武器屋で投げ売りされていた中古の剣だが、もう折れちゃった。しょうがない。今回の失敗は高く付いた。反省だ。もっと上手く戦わないと。

 思わず溜め息が出る。

 というわけで武器がないので、その日は早退することになった。武器も持たない護衛なんて要らないからね。

 しかし、それにしても。この調子だと、この仕事は全体的に赤字になってしまう。

「失敗したなぁ」

 私は契約する際に、消費アイテムを使用した場合や、装備が破損した際に補填してくれる契約を盛り込んでいなかった。

「契約書はちゃんと読まないとだめだね。色々と状況を想定して」

 しょうがない。

 これは勉強代だと自分に言い聞かせて、残りの九日間は気を引き締めて頑張ろうと思ったのだった。
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