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第一章:王都編
018:ホルアダ
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文字の読み書きを初めて十五日が経過している。二人の物覚え度は中々のものだ。とは言え一日に一時間しか時間が取れないのは痛い。
でも日々の生活のための仕事もしなきゃだし。体も鍛えなきゃだし、とにかく時間がないのだ。
そのせいで覚えるのに結構な時間が掛かるだろうなぁという感じか。ちゃんと学習計画を立てたほうが良いかもしれないな。
※
※
※
翌日の早朝。と言うか深夜。ゴソゴソと起き出して、いつもの鍛錬。レダとミアも一緒だ。この時間でも冒険者ギルドの受付には人が居る。なので、さっそく昨日の完了印が押された査定票を見せる。
受付の女性が受理するのをなんとなく眺めた後で、私達はそのまま鍛錬場へ。そこには既にランツが居た。その隣には女性も立っている。女性にしては、かなり身長が高く一八〇に届くかどうかというところ。筋肉もしっかりついているのが見て取れる。
「おっ! おはよぅさん」
ランツが手を挙げる。
「おはよー」
「おはようございます」
私達も挨拶を返して少し会話。まずはランツが説明を始めた。
「剣の使い方の訓練だがな。さっそく呼んだから紹介したいんだがいいか?」
私は頷き、先生になるであろう女性に挨拶。
「おはようござます。深夜からすみません。ティナです。よろしくお願いします」
すると女性は私を観察した後で言った。
「ふむ。なかなか良い筋肉をしている」
私は素直に「ありがとうございます」と答える。女性が言う。
「ランツに拳で勝ったんだって?」
「いえ。最後は足を使いました」
「ほぉ。足技があるのか。ちょっと見せてくれ」
私は言われた通りにローキック。ミドルキック。ハイキックを見せる。すると目の前の女性が感嘆の声を上げた。
「ほぉ。キレイな蹴りだな。どうやるんだ?」
私は説明をする。
「腰を入れて、こう……」
しばらく講義をしたら、すぐに女性は各種キックをモノにしてしまった。
「ふむ。悪くない」
そう呟きながら蹴りを色々試す女性。そんな私達の様子を見ていたランツが苦笑い。
「いや。あのな、ホルアダ。お前が教わってどうする」
するとホルアダと呼ばれた女性がニヤリと笑った。
「まぁちょっとした異文化交流だ。気にするな」
そう言って私を見た。そして一言。
「試してみたい。良いか?」
私は頷く。気持ちはわかる。新しい技を戦いの流れの中で試す。それは楽しい挑戦だから。
でも日々の生活のための仕事もしなきゃだし。体も鍛えなきゃだし、とにかく時間がないのだ。
そのせいで覚えるのに結構な時間が掛かるだろうなぁという感じか。ちゃんと学習計画を立てたほうが良いかもしれないな。
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翌日の早朝。と言うか深夜。ゴソゴソと起き出して、いつもの鍛錬。レダとミアも一緒だ。この時間でも冒険者ギルドの受付には人が居る。なので、さっそく昨日の完了印が押された査定票を見せる。
受付の女性が受理するのをなんとなく眺めた後で、私達はそのまま鍛錬場へ。そこには既にランツが居た。その隣には女性も立っている。女性にしては、かなり身長が高く一八〇に届くかどうかというところ。筋肉もしっかりついているのが見て取れる。
「おっ! おはよぅさん」
ランツが手を挙げる。
「おはよー」
「おはようございます」
私達も挨拶を返して少し会話。まずはランツが説明を始めた。
「剣の使い方の訓練だがな。さっそく呼んだから紹介したいんだがいいか?」
私は頷き、先生になるであろう女性に挨拶。
「おはようござます。深夜からすみません。ティナです。よろしくお願いします」
すると女性は私を観察した後で言った。
「ふむ。なかなか良い筋肉をしている」
私は素直に「ありがとうございます」と答える。女性が言う。
「ランツに拳で勝ったんだって?」
「いえ。最後は足を使いました」
「ほぉ。足技があるのか。ちょっと見せてくれ」
私は言われた通りにローキック。ミドルキック。ハイキックを見せる。すると目の前の女性が感嘆の声を上げた。
「ほぉ。キレイな蹴りだな。どうやるんだ?」
私は説明をする。
「腰を入れて、こう……」
しばらく講義をしたら、すぐに女性は各種キックをモノにしてしまった。
「ふむ。悪くない」
そう呟きながら蹴りを色々試す女性。そんな私達の様子を見ていたランツが苦笑い。
「いや。あのな、ホルアダ。お前が教わってどうする」
するとホルアダと呼ばれた女性がニヤリと笑った。
「まぁちょっとした異文化交流だ。気にするな」
そう言って私を見た。そして一言。
「試してみたい。良いか?」
私は頷く。気持ちはわかる。新しい技を戦いの流れの中で試す。それは楽しい挑戦だから。
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