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045:送温冷風機

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 冒険者ギルドで思い出した。

 送風機も作らないとな。火の魔石を入れたら温風機に。風の魔石だけなら送風機。氷の魔石を入れたら冷風機になるやつだ。

 仕組みはそれぞれの魔石の特性を引き出す機構をつけた木製の輪に台座を付けただけの簡単な作りをしている。

 これなら寒い日は暖かく、暑い日なら涼しく快適に過ごせるだろう。

 ちなみに自宅用と工房用も作った。エステラもミナさんも俺も重宝している。

 木製の部分にはサリナちゃんに花の模様を入れてもらった。

 サリナちゃんにも贈り物として渡したいが彼女の家の収入では魔石が購入できないので、贈るのは見合わせた。

 それらの作業で5日間かかった。一番時間がかかったのが外観の木の部分の削り出しだ。

 さて、と。

 ダンジョンはどうなったかな。進展はあっただろうか。

 俺は送風機を両手に持って冒険者ギルドへ。

 時刻は昼間。一番暇な時間帯だ。実際に到着すると人は閑散としている。

「こんにちはぁ」

 いつもの如くリサさんの席に突撃する俺。

「あら。ジンさん。こんにちは。どうしたんですか?」

 俺は手に持っている荷物。送温冷風機をカウンターの席に置いた。

「魔石の入手が遅れて、季節を跨いじゃいましたが以前に言っていた物を形にしてみました。送温冷風機です。風の魔石だけなら普通の風が。これに火の魔石を加えると温風が。氷の魔石を加えると冷風が出ます」

 そう言って実際にリサさんに風を送ってみる。

「おぉ。風だ!」

「風の強さもツマミを回すことで三段階の調整ができます」
「おぉ! これは!」

 そう言ってツマミを回して風の調節をするリサさん。子供みたいだ。

「いいですね。これ!」

 どうやら好感触のようだ。

「まだ試作品なので、ギルドで実際に使ってみて低レベルの魔石で、どの程度の期間を使用できるか試して欲しいのですが……あっ魔石は最初の一個はプレゼントします。その後は随時、ご自身で買っていただけたらと」

 そんな売り込みをした後で、ダンジョンの情報も聞いてみた。すると、どうやら奥の方に確かにダンジョンの穴がポッカリと開いていたらしい。

「いままで人の出入りがそこそこあった場所なんですけどね」

 どうやら本当に最近できたばかりのダンジョンのようだ。

「それなのに結構、凶悪な内容のダンジョンなんですよ」

 そう言ってダンジョン内でのことを語ってくれた。

「ゴブリンやオークが編成を組んで出てくるそうです。しかも驚いことにブラックスライムも出るとか。冒険者が既に何組か犠牲になっています」

 誰だろう?

 この村で活動する冒険者なら大抵の人が知り合いだ。まさか一番親しいカイトさんたちじゃないよな? 

「あの『ウィンド』のパーティは大丈夫でしょうか?」

 するとリサさん。

「カイトさんたち『ウィンド』はダンジョンを発見した後は、お休みしていたはずですよ」

 そうか。カイトさんたちではなかったか。でも誰かが犠牲に……

 それが冒険者の仕事なのだとしても、やはり少なからず知っている人が犠牲にとなるといい気分はしないな。

 俺は、もう少しダンジョン内部のことを聞くことにした。

 俺に、何か出来ることがあればと言う思いで、だ。
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