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031:友だちになって!

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 エステラとサリナが話をしている横で俺も作品を見ていく。どの作品も素晴らしく出来が良い。予想以上だ。

 って、なんか二人の話が弾んでいるな。

「これ! これ売ってくれない?」
「え、え。いいえ。だ、駄目です」
「なんでよぉ」
「だって木ですよ? ただの木。エステラ様は、もっとこうキラキラした物を──」
「我が家に、そんな物はないわよ。伯爵家と言っても貧乏なんですもの。ご先祖様が偉かっただけでね。ね? だから売って。これ可愛いんだもの!」
「えぇ……うぅ。どう、しましょう?」

 サリナちゃんが、こっちを見てる。助けてくれということだろう。だがしかし!

 俺は違う方向に助けを出す。

「俺にも売ってくれないか」
「えぇえええ」
「うん。サリナちゃんの、この技術。このまま眠らせておくのは勿体ないよ。活かそう!」

 するとエステラも乗っかってきた。

「うんうん。私もそう思う。もっと自慢していいと思う。それどころか広めるべきだよ! ついでに私にも売ってくれれば言うことなし!」

 あたふたするサリナちゃんを俺とエステラで拝み倒して了承を得るのだった。ちなみにエステラも木の実を模したペンダントと、猫と月がモチーフの対のペンダントを貰っていた。値段をどう付けて良いものか分からなかったからだ。そしたら気を良くしたエステラ。

「サリナちゃん。私と友達になって!」と叫んだ。そこからまた、ひと悶着あった。そんな事できませんというサリナちゃんと、友達になって欲しいと言うエステラとで。

 まぁそこは、じゃれ合いみたいなものだ。俺は二人を微笑ましく眺めているのだった。

 なんにせよ。険悪な状態じゃなくなったのは収穫だったな。





 さて、それから3日後。最近は工房に籠もりっきりだ。心配してエステラが見に来るくらいに。なんかこうやって工房に籠もって寝起きをしていると、お店の方は、もう俺の家じゃなくてエステラの家みたいになっている。飾り付けとかされてるしな。彼女好みに。

 近いうちに家の方で、4人で料理をつくることになった。俺とエステラとサリナちゃんと侍女のミナさんとでだ。

 エステラとサリナちゃんが仲良くなったのは予想外だったが、まぁ険悪でギスギスしてるよりは良いだろう。

 そうそう。スライムも程よい大きさにまで成長した。しかしスラリンを作成したいが肝心の魔石が届いていない。行商人は今どの辺を移動中だろうな?

 まぁ冬だし。雪が降ったり止んだり出し。気長に待つしかないのだが。

 待ち遠しいな。





 それから更に3日後。

 天気は晴れ。

「うぅん。気持ちいい!」

 最近は晴れ間がちょくちょく顔を見せるな。

 たぶん今日あたりにでもサリナちゃんが来るだろう。料理の食材の準備をしておかないとな。
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