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017:新居

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 2、3日ばかり宿で寝泊まりしていたが、ベッドなどの家具類の搬入も済んだとのことだったので家にやってきた。

「おぉ~。新居ぉ~」

 エステラが家を見上げて溜め息。その横では侍女のミナがいそいそと荷物を家に運び込んでいる。俺の荷物よりも先に居候の荷物が運び込まれる不思議な光景に思わず苦笑い。

 そこに1人の男性が現れた。

「よぉジン」
「ん?」

 振り返って首を傾げる。誰だ?

「おいおい。ひでーな。俺だよ。鍛冶師見習いのラックバ」
「おぉ~。ラックバ! 久しぶりだな! 元気にしてたか?」

 そう言って幼馴染の肩を叩く。彼はニヤリを笑って答えた。

「あぁ。元気だぜ。それにしても……」

 ラックバがエステラを見て一言。

「偉い別嬪さんだな。結婚したのか? そんな話は聞かなかったが?」

 俺は首を左右に降って答える。

「いや。結婚じゃない。ちょっと訳ありでな」
「ふぅん?」

 説明が面倒だな。まぁその話は追々やっていこう。

「それで? どうしたんだ?」
「あぁ。錬金釜を届けに来たんだ。他にも色々と入用だろ? その注文も受けにな」
「そっか。それは助かる。ありがとな」
「いや。仕事だから」

 それ以降も、引っ切り無しにお客さんが来て、お祝いの言葉を残していく。田舎ならではの光景だな。そして皆がエステラを見て驚いていた。そんな彼女が住民一人一人に挨拶と事情の説明をしていった。

「エステラ・シルバーバーグです。シルバーバーグ伯爵家の長女です。訳あってジンと住むことになりました。よろしくお願いします」

 俺の両親にも挨拶。その際に母に言われた。

「責任が取れないことはするんじゃないよ」

 分かってるよ。母は言葉を続ける。

「そうだ。村長が言ってたんだけどね……」

 そう言って最近の幹部会議で決定したことを話してくれた。

「来年の種まきが終わった後。春から夏の間にでも彼女の家を建てようって話になっててね。さすがに未婚のお嬢さんを独身男性の家に何時までも住まわせるもんじゃないってね。外聞が悪いからねぇ」

 おっ、それは助かる。近いうちに村長たちにお礼の品を持っていかないとな。

「ジン。手を出すんじゃないよ」
「分かってるよ。大丈夫」

 そこで、あることを思いついた。

「そだ。この村で遊べる所を作って欲しいって冒険者からのお願いがあるんだけど?」

 自分の母親に居うこっちゃないけど、幹部の一人である父にでも伝えておいてと言うと、呆れた様子で言われた。

「自分で言いな!」

 だよね。知ってた。
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