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015:赤髪の少女
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さて。家と雑貨屋が完成した。さっそく観に行ってみようと宿屋から移動しようとした所で 村長の息子に捕まった。。
「よぉ。ジン。良かったまだ宿屋にいたか」
「やぁラームスさん。どうしたんですか?」
「おう。都会からお前を尋ねて人が来てるんだが、どうしたらいい?」
「人?」
「あぁ。赤いウェーブ髪で綺麗な緑の瞳をした偉い別嬪さんだ」
「赤い髪でウェーブが掛かってるって……えっ、その人の名前ってエステラと名乗ってませんでしたか?」
「おう。確かそう言っていたな」
「尋ねてきてるんですか?」
「あぁ。お前に会わせてくれってな。どうする?」
俺は戸惑う。王都で付き合っていた元彼女が訪ねてきているという。
何故に?
エステラとは、俺が賢者の塔から去り王都を離れて田舎に帰ると言った際に別れたはずだ。キッパリと彼女に言われたのだ。田舎で生活なんて出来ないし平民になる貴方とも一緒にはいけない、と。
それが3ヶ月以上が経った今になって、なぜ?
困惑は深まるばかり。まぁそれもこれも会って話を聞けば分かる話だ。
俺は急いで村長宅に居るというエステラの下へ走る。
そして、駆けつけた俺にエステラは開口一番に言ったのだ。
「貴方の子種が欲しいの。今すぐ!」と……
前置きとか、久しぶりの再会の挨拶とか全部すっ飛ばしての、この暴言に俺は目を白黒させて聞き返す。
「え? 何だって?」
すると、かなりイライラしているようだ。
「だから! 私。貴方の子供が欲しいって言ってるの! 頂戴! 今すぐ!」
その場に居た、村長とその家族が散っていく。どうやらこの場に居るのが嫌だったようだ。そりゃそうだ。痴話喧嘩なんて聞きたくもないだろう。そう思っていたら、影の方からこっそりと覗いているのが見えた。巻き込まれたくはないが、興味はあるということか。酷いな。
俺は溜め息を吐きつつ、視線を彼女に向ける。
「えっと。君のご両親はなんて?」
「父に言われたのよ! 子種だけでも貰ってこいって!」
なんてこったい。いやまぁ確かに。このご時世。家の長である父に命じられれば彼女は従わざる終えないわな。彼女の家は貴族の家柄だ。裕福とは言えない。領地も持たないらしいが、それでも貴族なのだ。庶民とは考え方が違う。
ただ国家錬金術師だった時なら名誉男爵と言う一代限りの貴族だった俺だが、今は平民だ。彼女とは家格が違う。
それに俺も、はい分かりましたって従ういわれはない。だからきっぱりと言ってやった。
「ごめん。好きでもない人と無責任に子を成して、はい、サヨウナラって訳にはいかない。そんな事はできない」
すると彼女は泣きそうな顔になった後で、こう言ったのだ。
「そんな寂しいこと言わないでよ。王都に居た時は愛してくれたじゃない!」
「あの時と今では色々と違うから」
するとエステラ。
「帰れないのよ……貴方から子種を貰って子を生さないと、二度と家の敷居をまたぐことは許さないって!」
う~ん。それは俺と何の関係もないな。
「そんな事を俺に言われてもな」
「抱いて! 子供さえ作れば、家に帰れるの! その後はどこぞの家の後妻にでもなればいいわけで……ね? 貴方だって私が抱けるわけだし。し、しばらくは、その。私を好きにしていいのよ?」
何だそりゃ。
「いや。要らない」
するとエステラは傷ついた表情で言った。
「そんなこと言わないでよ!」
「いや。そんな事を言うなよって言いたいのは俺の方だぞ?」
そうやって問答をしていると村長が進み出てきた。
「こんな寒空の下で、そのようなことを言い合っていても埒が明かんじゃろ? どうじゃろう。いったん、互いに頭を冷やして、もう一度、話し合ってみては?」
こうして彼女は、現在、俺が泊まっている宿に身を寄せることになったのだった。
出来たばかりの家は、人を招ける状態じゃないからな。
あっ、ちなみに彼女にはお付きの侍女が1人居るのだが、彼女がエステラの荷物をいそいそとまとめ始めたのだった。
「よぉ。ジン。良かったまだ宿屋にいたか」
「やぁラームスさん。どうしたんですか?」
「おう。都会からお前を尋ねて人が来てるんだが、どうしたらいい?」
「人?」
「あぁ。赤いウェーブ髪で綺麗な緑の瞳をした偉い別嬪さんだ」
「赤い髪でウェーブが掛かってるって……えっ、その人の名前ってエステラと名乗ってませんでしたか?」
「おう。確かそう言っていたな」
「尋ねてきてるんですか?」
「あぁ。お前に会わせてくれってな。どうする?」
俺は戸惑う。王都で付き合っていた元彼女が訪ねてきているという。
何故に?
エステラとは、俺が賢者の塔から去り王都を離れて田舎に帰ると言った際に別れたはずだ。キッパリと彼女に言われたのだ。田舎で生活なんて出来ないし平民になる貴方とも一緒にはいけない、と。
それが3ヶ月以上が経った今になって、なぜ?
困惑は深まるばかり。まぁそれもこれも会って話を聞けば分かる話だ。
俺は急いで村長宅に居るというエステラの下へ走る。
そして、駆けつけた俺にエステラは開口一番に言ったのだ。
「貴方の子種が欲しいの。今すぐ!」と……
前置きとか、久しぶりの再会の挨拶とか全部すっ飛ばしての、この暴言に俺は目を白黒させて聞き返す。
「え? 何だって?」
すると、かなりイライラしているようだ。
「だから! 私。貴方の子供が欲しいって言ってるの! 頂戴! 今すぐ!」
その場に居た、村長とその家族が散っていく。どうやらこの場に居るのが嫌だったようだ。そりゃそうだ。痴話喧嘩なんて聞きたくもないだろう。そう思っていたら、影の方からこっそりと覗いているのが見えた。巻き込まれたくはないが、興味はあるということか。酷いな。
俺は溜め息を吐きつつ、視線を彼女に向ける。
「えっと。君のご両親はなんて?」
「父に言われたのよ! 子種だけでも貰ってこいって!」
なんてこったい。いやまぁ確かに。このご時世。家の長である父に命じられれば彼女は従わざる終えないわな。彼女の家は貴族の家柄だ。裕福とは言えない。領地も持たないらしいが、それでも貴族なのだ。庶民とは考え方が違う。
ただ国家錬金術師だった時なら名誉男爵と言う一代限りの貴族だった俺だが、今は平民だ。彼女とは家格が違う。
それに俺も、はい分かりましたって従ういわれはない。だからきっぱりと言ってやった。
「ごめん。好きでもない人と無責任に子を成して、はい、サヨウナラって訳にはいかない。そんな事はできない」
すると彼女は泣きそうな顔になった後で、こう言ったのだ。
「そんな寂しいこと言わないでよ。王都に居た時は愛してくれたじゃない!」
「あの時と今では色々と違うから」
するとエステラ。
「帰れないのよ……貴方から子種を貰って子を生さないと、二度と家の敷居をまたぐことは許さないって!」
う~ん。それは俺と何の関係もないな。
「そんな事を俺に言われてもな」
「抱いて! 子供さえ作れば、家に帰れるの! その後はどこぞの家の後妻にでもなればいいわけで……ね? 貴方だって私が抱けるわけだし。し、しばらくは、その。私を好きにしていいのよ?」
何だそりゃ。
「いや。要らない」
するとエステラは傷ついた表情で言った。
「そんなこと言わないでよ!」
「いや。そんな事を言うなよって言いたいのは俺の方だぞ?」
そうやって問答をしていると村長が進み出てきた。
「こんな寒空の下で、そのようなことを言い合っていても埒が明かんじゃろ? どうじゃろう。いったん、互いに頭を冷やして、もう一度、話し合ってみては?」
こうして彼女は、現在、俺が泊まっている宿に身を寄せることになったのだった。
出来たばかりの家は、人を招ける状態じゃないからな。
あっ、ちなみに彼女にはお付きの侍女が1人居るのだが、彼女がエステラの荷物をいそいそとまとめ始めたのだった。
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