25 / 40
Ⅱ. 革命
第拾参話 愛を与える姉と愛を貰う妹
しおりを挟む
ミドリが大阪に引っ越すことが決まってから1週間が経った。たまにどうしようもない悲しみが胸に充満する。ふとした瞬間に目に涙が浮かぶ。身を引き裂かれるような痛みを感じる。彼女と離れるのはとても辛いことだ。
だけど、大丈夫。私はあの子のことを愛している。それが何よりも大切なことなのだ。離れていても、彼女は私の親友なのだ。
それに、私の宝物はミドリだけじゃない。ヒマリ。パパが残してくれた最高の宝物。「死んでも死なない」つもりだが、あの子のためなら、私は死んでいい。そう思えることはとても幸せなことだった。
ある日登校すると、遠藤さんから声をかけられた。「校舎裏に来い」。私は思わずため息をついた。やれやれ、またいじめか。よくもまあ飽きないものだ。私はゆっくりと腰をあげた。
「ねえ、この前さ、いい事聞いたんだよね」
「い、いい事?」
遠藤さんは不気味な笑みを浮かべている。
「アンタさ、ライブハウスでバンドやってたんだって? 担任にバレたんだけど、なんとか他の先生に言うのはやめてもらえたんだよね? よかったねー」
「そ、それがなにか?」
「ねえ、このこと、学校中に流してもいい?」
学校中か。ママには余計な心配をかけさせたくないから、親には話さないよう先生に頼んだが、生徒にバレる分には何の問題もない。多少、学校での立場が悪くなるだけだ。
「『まあ、いっか』って顔してるね。本当にいいのかな?」
「ど、どういうこと?」
「妹ちゃん、今年受験なんだって? しかも特待生希望。そんな時に、お姉ちゃんに黒い噂が立っちゃったらマズイんじゃないの?」
私は唇を噛んだ。たしかに、姉の評判が悪いと妹に悪影響が及ぶかもしれない。クソ、言う事を聞くしかないか。
「それに、仮に特待生としてちゃんと受かったとしても、私がちょっと仲良くしちゃうかもだし。ね? 私の言う事聞くべきだと思わない?」
コイツ、直接妹をいじめようとしてるのか。それだけはなんとしてでも阻止しなければならない。私は遠藤さんを鋭く睨みつけた。
「……分かったわ。何をすればいい?」
遠藤さんはニヤッと笑った。
「友達になってほしいの」
その日以来、私は遠藤さんの友達役をやらされた。少しでも演技が下手だと、裏で罵声を浴びせられた。そして、妹をいじめるぞと何度も脅された。
「なあ、お前、やる気あんのか。もし裕也と付き合えなかったら、アンタの妹を死ぬほど辛い目にあわせてやるからな」
「つ、付き合えなかったらって、約束が違うじゃない! ただ、仲良くするだけでいいって……」
「口答えすんなよ。私にはな、けっこうこわーい友達がいるんだぞ。あのかわいい顔がどんな風になるのか、楽しみだな」
「そ、それだけは! 何でもするから、妹には手を出さないで!」
「じゃあもっと真剣にやれよ。妹ちゃん守りたかったらな」
無理難題だった。山口くんが好きなのは彼女じゃなくて私だ。前は大勢で押しかけたからなんとか復縁できた。でも今回はそうはいくまい。せいぜい友達止まりがいいところだ。完全に詰んでいた。
勘のいいミドリは私が最近浮かない顔をしていることにすぐ気がついた。私はなんとかかわそうと試みたが無駄だった。結局、全部白状した。
「ごめん、マシロ。私のせいでヒマリまで巻き込んで」
「前にも言ったでしょ。貴女のせいじゃないって。まあ、きっとなんとかなるわよ」
「なんとかなるって……やっぱり先生に言うべきだよ。このままじゃ、アンタがもたないよ」
「そんなことしたら、ヒマリがどうなるか分かんないでしょ。それに先生もきっと取り合ってくれないわ。大丈夫。私は死んでも死なないわ」
私は笑顔を貼り付けてピースサインをしてみせた。
3年生でもクラスが一緒だったのは不幸中の幸いか。彼女と頻繁に会うのは辛いが、その分仲良しアピールをしやすい。遠藤さんも気分がいい日が多く、罵声を浴びせることも減ってきた。
ある日、ついに山口くんが私たちのクラスにやって来た。私たちが仲直りしたという噂をたしかめに来たのだろう。これで彼女の機嫌も少しはよくなるだろうか。そう思ったのも束の間、遠藤さんは、一向に友達以上の関係に進めないことに苛つき始めた。
「なんでよ! いじめのことは許してくれたって言うのに、なんで縒りを戻してくれないのよ!」
「ほ、他に好きな人でもいるんじゃないかな?」
「なに? もしかしてアンタに惚れてるとでも言いたいの? もしそうなら、アンタの妹をメチャクチャにしてやるからね。停学くらっても構わない。徹底的にアンタを苦しめてやるわ」
遠藤さんも、山口くんが私に気があることに薄々気がついていたのだろう。彼女半ばやけになっていた。彼女は徐々に目的を達成することよりも、私をいかに苦しめるかを考えるようになっていった。ヒマリのもとに被害が及ぶのも、時間の問題だった。
そんなある日、下校をしようとすると、校門のところにモエが立っていた。誰かを待っているようだ。私? いや違う。あれは……
「モエ?」
モエは肩をピクっとさせて驚いた。
「私を待ってた……わけじゃないよね。もしかして」
モエはまっすぐな目で私を見た。やめてくれ。そんなに優しい目で見ないでくれ。
「マシロ、もう我慢しなくていいんだ。もうすぐ全部解決する。だからアンタは家に帰って……」
「やめて!!!」
気がつくと私は叫んでいた。モエは目を丸くして驚いていた。しまった。彼女を傷つけてどうする。
「ごめん、大きな声だして。でも、大丈夫だから。私が自分でなんとかするから。だからお願い。手を出さないで」
私は深々と頭を下げた。もし、モエが先生に報告しても、きっと取り合ってくれないはずだ。なにせ表面上はただ仲良くしているだけなんだから。それに、仮に誰かが動いてくれたとしても、逆上した遠藤さんが妹に何をしでかすか分からない。私がなんとかするしかないんだ。
「分かったよ。でも、そうだな……ゴールデンウィーク明けの5月8日までになんとかならなかったら、止めても言いにいくからな。分かった?」
ゴールデンウイークか。どうせそれまでにはケリをつけないと、ヒマリに被害が及ぶはずだ。私は胸をなでおろして頷いた。
やれるだけのことはやった。山口くんに遠藤さんと復縁するよう求めたが、復縁するどころか彼は私に改めて告白しようとしてきた。私は必死に断ったが、すると今度は、好きな人に振られてすぐに前の彼女と縒りを戻すなんて、とても出来ないと言ってきた。もっともだった。
遠藤さんはもう完全にやけになっていた。教室でも私を睨みつけてくるようになった。彼女は不良友達に声をかけ、ゴールデンウィーク明けぐらいにはヒマリに手を出そうと計画していた。もうどうしようもなかった。
5月7日。私はこの日を自分の命日に決めた。私が消えれば全てが丸く収まる。さすがに私が自殺をすれば、遠藤さんも計画実行を躊躇するだろう。いや、これは言い訳なのかもしれない。本当は自分が消えてなくなりたいと思っているだけなのかもしれない。そう思うと、より一層自殺の決心が固まった。
私は自殺の準備を始めた。死ぬ前に二人の顔を見に行こうと思い、サイコー新聞部に顔を出すと、偶然面白い手紙を見つけた。恐らくヨッシーのものだろう。一瞬間に私はある計画を思いついた。どうせ死ぬんだ。置き土産に恋心を遺してやろう。それに、この計画はきっとヒマリやサイコー新聞部の二人の将来を明るくしてくれる。ヒマリには友達ができて、あの二人はカップルになる。なんて素敵なのだろう。3人のために死ぬのだと思うと、少しだけ幸せな気分を味わうことができた。
5月7日の夜、私は自殺をした。練炭自殺。方法はスマートフォンで調べた。これでよかったんだ。掠れゆく意識の中で私は必死にそう思い込んだ。目を閉じると、色んな人の顔が浮かんだ。
ワカ、とても温かい子だった。あの子の前ならいくらでも弱い自分をさらけ出せたんだ。
モエ、思いやりのある子だった。他人なんか知らないって顔しながら、いつも私に気を遣ってくれた。
ミドリ、私の親友。貴女に会えたことが私にとって何よりの財産だった。
ママ、親不孝な私を女手一つで育ててくれた。私に使うはずだったお金は、ヒマリに使ってあげてね。
ヒマリ、私の宝物。学校でどんなに嫌なことがあっても、貴女がいたから私は生きていけたの。
ああ、懐かしいギターの音がする。パパ、私に誰かを愛することを教えてくれた人。最愛の娘を遺して死んでいくのはどんなに辛かったろう。パパ、今行くからね。一緒に歌おう。何を歌おうか。そうだ、あの歌にしよう。andymoriの『Peace』。私とパパが一番好きだった曲。私は曖昧な意識の中で口ずさみ始めた。
曲が終わる頃には、彼女は事切れていた。
「細部は分からないけど、きっとこんなところだろう」
ヒマリは俯きながら僕の話を聞いていた。彼女は唇を噛み、両手の拳を強く握りしめると、大きく息を吐き腰を上げた。
「……ごめん。一人にしてもらってもいいかな」
傾きかけた陽がヒマリの背中を照らした。彼女が部屋を出ると場に静寂が訪れた。重々しい空気が僕たちの身体を包んだ。アカネが小さく呟いた。
「まったく、残酷な愛ね」
だけど、大丈夫。私はあの子のことを愛している。それが何よりも大切なことなのだ。離れていても、彼女は私の親友なのだ。
それに、私の宝物はミドリだけじゃない。ヒマリ。パパが残してくれた最高の宝物。「死んでも死なない」つもりだが、あの子のためなら、私は死んでいい。そう思えることはとても幸せなことだった。
ある日登校すると、遠藤さんから声をかけられた。「校舎裏に来い」。私は思わずため息をついた。やれやれ、またいじめか。よくもまあ飽きないものだ。私はゆっくりと腰をあげた。
「ねえ、この前さ、いい事聞いたんだよね」
「い、いい事?」
遠藤さんは不気味な笑みを浮かべている。
「アンタさ、ライブハウスでバンドやってたんだって? 担任にバレたんだけど、なんとか他の先生に言うのはやめてもらえたんだよね? よかったねー」
「そ、それがなにか?」
「ねえ、このこと、学校中に流してもいい?」
学校中か。ママには余計な心配をかけさせたくないから、親には話さないよう先生に頼んだが、生徒にバレる分には何の問題もない。多少、学校での立場が悪くなるだけだ。
「『まあ、いっか』って顔してるね。本当にいいのかな?」
「ど、どういうこと?」
「妹ちゃん、今年受験なんだって? しかも特待生希望。そんな時に、お姉ちゃんに黒い噂が立っちゃったらマズイんじゃないの?」
私は唇を噛んだ。たしかに、姉の評判が悪いと妹に悪影響が及ぶかもしれない。クソ、言う事を聞くしかないか。
「それに、仮に特待生としてちゃんと受かったとしても、私がちょっと仲良くしちゃうかもだし。ね? 私の言う事聞くべきだと思わない?」
コイツ、直接妹をいじめようとしてるのか。それだけはなんとしてでも阻止しなければならない。私は遠藤さんを鋭く睨みつけた。
「……分かったわ。何をすればいい?」
遠藤さんはニヤッと笑った。
「友達になってほしいの」
その日以来、私は遠藤さんの友達役をやらされた。少しでも演技が下手だと、裏で罵声を浴びせられた。そして、妹をいじめるぞと何度も脅された。
「なあ、お前、やる気あんのか。もし裕也と付き合えなかったら、アンタの妹を死ぬほど辛い目にあわせてやるからな」
「つ、付き合えなかったらって、約束が違うじゃない! ただ、仲良くするだけでいいって……」
「口答えすんなよ。私にはな、けっこうこわーい友達がいるんだぞ。あのかわいい顔がどんな風になるのか、楽しみだな」
「そ、それだけは! 何でもするから、妹には手を出さないで!」
「じゃあもっと真剣にやれよ。妹ちゃん守りたかったらな」
無理難題だった。山口くんが好きなのは彼女じゃなくて私だ。前は大勢で押しかけたからなんとか復縁できた。でも今回はそうはいくまい。せいぜい友達止まりがいいところだ。完全に詰んでいた。
勘のいいミドリは私が最近浮かない顔をしていることにすぐ気がついた。私はなんとかかわそうと試みたが無駄だった。結局、全部白状した。
「ごめん、マシロ。私のせいでヒマリまで巻き込んで」
「前にも言ったでしょ。貴女のせいじゃないって。まあ、きっとなんとかなるわよ」
「なんとかなるって……やっぱり先生に言うべきだよ。このままじゃ、アンタがもたないよ」
「そんなことしたら、ヒマリがどうなるか分かんないでしょ。それに先生もきっと取り合ってくれないわ。大丈夫。私は死んでも死なないわ」
私は笑顔を貼り付けてピースサインをしてみせた。
3年生でもクラスが一緒だったのは不幸中の幸いか。彼女と頻繁に会うのは辛いが、その分仲良しアピールをしやすい。遠藤さんも気分がいい日が多く、罵声を浴びせることも減ってきた。
ある日、ついに山口くんが私たちのクラスにやって来た。私たちが仲直りしたという噂をたしかめに来たのだろう。これで彼女の機嫌も少しはよくなるだろうか。そう思ったのも束の間、遠藤さんは、一向に友達以上の関係に進めないことに苛つき始めた。
「なんでよ! いじめのことは許してくれたって言うのに、なんで縒りを戻してくれないのよ!」
「ほ、他に好きな人でもいるんじゃないかな?」
「なに? もしかしてアンタに惚れてるとでも言いたいの? もしそうなら、アンタの妹をメチャクチャにしてやるからね。停学くらっても構わない。徹底的にアンタを苦しめてやるわ」
遠藤さんも、山口くんが私に気があることに薄々気がついていたのだろう。彼女半ばやけになっていた。彼女は徐々に目的を達成することよりも、私をいかに苦しめるかを考えるようになっていった。ヒマリのもとに被害が及ぶのも、時間の問題だった。
そんなある日、下校をしようとすると、校門のところにモエが立っていた。誰かを待っているようだ。私? いや違う。あれは……
「モエ?」
モエは肩をピクっとさせて驚いた。
「私を待ってた……わけじゃないよね。もしかして」
モエはまっすぐな目で私を見た。やめてくれ。そんなに優しい目で見ないでくれ。
「マシロ、もう我慢しなくていいんだ。もうすぐ全部解決する。だからアンタは家に帰って……」
「やめて!!!」
気がつくと私は叫んでいた。モエは目を丸くして驚いていた。しまった。彼女を傷つけてどうする。
「ごめん、大きな声だして。でも、大丈夫だから。私が自分でなんとかするから。だからお願い。手を出さないで」
私は深々と頭を下げた。もし、モエが先生に報告しても、きっと取り合ってくれないはずだ。なにせ表面上はただ仲良くしているだけなんだから。それに、仮に誰かが動いてくれたとしても、逆上した遠藤さんが妹に何をしでかすか分からない。私がなんとかするしかないんだ。
「分かったよ。でも、そうだな……ゴールデンウィーク明けの5月8日までになんとかならなかったら、止めても言いにいくからな。分かった?」
ゴールデンウイークか。どうせそれまでにはケリをつけないと、ヒマリに被害が及ぶはずだ。私は胸をなでおろして頷いた。
やれるだけのことはやった。山口くんに遠藤さんと復縁するよう求めたが、復縁するどころか彼は私に改めて告白しようとしてきた。私は必死に断ったが、すると今度は、好きな人に振られてすぐに前の彼女と縒りを戻すなんて、とても出来ないと言ってきた。もっともだった。
遠藤さんはもう完全にやけになっていた。教室でも私を睨みつけてくるようになった。彼女は不良友達に声をかけ、ゴールデンウィーク明けぐらいにはヒマリに手を出そうと計画していた。もうどうしようもなかった。
5月7日。私はこの日を自分の命日に決めた。私が消えれば全てが丸く収まる。さすがに私が自殺をすれば、遠藤さんも計画実行を躊躇するだろう。いや、これは言い訳なのかもしれない。本当は自分が消えてなくなりたいと思っているだけなのかもしれない。そう思うと、より一層自殺の決心が固まった。
私は自殺の準備を始めた。死ぬ前に二人の顔を見に行こうと思い、サイコー新聞部に顔を出すと、偶然面白い手紙を見つけた。恐らくヨッシーのものだろう。一瞬間に私はある計画を思いついた。どうせ死ぬんだ。置き土産に恋心を遺してやろう。それに、この計画はきっとヒマリやサイコー新聞部の二人の将来を明るくしてくれる。ヒマリには友達ができて、あの二人はカップルになる。なんて素敵なのだろう。3人のために死ぬのだと思うと、少しだけ幸せな気分を味わうことができた。
5月7日の夜、私は自殺をした。練炭自殺。方法はスマートフォンで調べた。これでよかったんだ。掠れゆく意識の中で私は必死にそう思い込んだ。目を閉じると、色んな人の顔が浮かんだ。
ワカ、とても温かい子だった。あの子の前ならいくらでも弱い自分をさらけ出せたんだ。
モエ、思いやりのある子だった。他人なんか知らないって顔しながら、いつも私に気を遣ってくれた。
ミドリ、私の親友。貴女に会えたことが私にとって何よりの財産だった。
ママ、親不孝な私を女手一つで育ててくれた。私に使うはずだったお金は、ヒマリに使ってあげてね。
ヒマリ、私の宝物。学校でどんなに嫌なことがあっても、貴女がいたから私は生きていけたの。
ああ、懐かしいギターの音がする。パパ、私に誰かを愛することを教えてくれた人。最愛の娘を遺して死んでいくのはどんなに辛かったろう。パパ、今行くからね。一緒に歌おう。何を歌おうか。そうだ、あの歌にしよう。andymoriの『Peace』。私とパパが一番好きだった曲。私は曖昧な意識の中で口ずさみ始めた。
曲が終わる頃には、彼女は事切れていた。
「細部は分からないけど、きっとこんなところだろう」
ヒマリは俯きながら僕の話を聞いていた。彼女は唇を噛み、両手の拳を強く握りしめると、大きく息を吐き腰を上げた。
「……ごめん。一人にしてもらってもいいかな」
傾きかけた陽がヒマリの背中を照らした。彼女が部屋を出ると場に静寂が訪れた。重々しい空気が僕たちの身体を包んだ。アカネが小さく呟いた。
「まったく、残酷な愛ね」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
ナツキス -ずっとこうしていたかった-
帆希和華
ライト文芸
紫陽花が咲き始める頃、笹井絽薫のクラスにひとりの転校生がやってきた。名前は葵百彩、一目惚れをした。
嫉妬したり、キュンキュンしたり、切なくなったり、目一杯な片思いをしていた。
ある日、百彩が同じ部活に入りたいといい、思わぬところでふたりの恋が加速していく。
大会の合宿だったり、夏祭りに、誕生日会、一緒に過ごす時間が、二人の距離を縮めていく。
そんな中、絽薫は思い出せないというか、なんだかおかしな感覚があった。フラッシュバックとでも言えばいいのか、毎回、同じような光景が突然目の前に広がる。
なんだろうと、考えれば考えるほど答えが遠くなっていく。
夏の終わりも近づいてきたある日の夕方、絽薫と百彩が二人でコンビニで買い物をした帰り道、公園へ寄ろうと入り口を通った瞬間、またフラッシュバックが起きた。
ただいつもと違うのは、その中に百彩がいた。
高校二年の夏、たしかにあった恋模様、それは現実だったのか、夢だったのか……。
17才の心に何を描いていくのだろう?
あの夏のキスのようにのリメイクです。
細かなところ修正しています。ぜひ読んでください。
選択しなくちゃいけなかったので男性向けにしてありますが、女性の方にも読んでもらいたいです。
よろしくお願いします!
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピソード
セキトネリ
ライト文芸
ぼくの中学高校の友人で仲里というヤツがいる。中学高校から学校から徒歩20分くらいのところに住んでいた。学校帰り、ぼくはよく彼の家に行っては暇つぶしをしていた。彼には妹がいた。仲里美姫といって、ぼくらの学校の一駅手前の女子校に通っている。ぼくが中学に入学した時、美姫は小学校6年生だった。妹みたいなものだ。それから6年。今、ぼくは高校3年生で彼女は2年生。
ぼくが中学1年の時からずっと彼女のことをミキちゃん、ミキちゃんと呼んでいた。去年のこと。急に美姫が「そのミキちゃんって呼び方、止めよう!なんかさ、ぶっとい杉の木の幹(みき)みたいに自分が感じる!明彦、これからは私をヒメと呼んで!」と言われた。
「わかった、ヒメ。みんなにもキミのことをヒメと呼ぶと言っておくよ」
「みんなはいいのよ。明彦は私をそう呼んで」
「ぼくだけ?」
「そういうこと」
「・・・まあ、了解だ」みんなはミキちゃんと呼んで、ぼくだけヒメって変だろ?ま、いいか。
「うん、ありがと」
ヒメはショートボブの髪型で、軽く茶髪に染めている。1975年だから、髪を染めている女子高生というだけで不良扱いされた時代。彼女の中学高校一貫教育のカトリック系進学校では教師に目をつけられるギリギリの染め方だ。彼女は不良じゃないが、ちょっとだけ反抗してみてます、という感じがぼくは好きだ。
黒のブランドロゴがデザインされたTシャツ、デニムの膝上15センチくらいのミニスカートに生足。玄関に立った彼女の目線とぼくの目線が同じくらい。
ポチャっとしていて、本人は脚がちょっと太いかなあ、と気にしている。でも、脚はキレイだよ、無駄毛の処理もちゃんとしてるんだよ、見てみて、触って。スベスベだよ、なんて言う。小学生の時だったらいいが、ぼくも高校3年生、色気づいていいる。女子高生に脚を触ってみて、なんて言われても困る。彼女は6年前と変わらず、と思っていた。
「よこはま物語」四部作
「よこはま物語 壱½、ヒメたちとのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/343943156
「よこはま物語 弐、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/245940913
「よこはま物語 参、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/59941151
「よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/461940836
黒蜜先生のヤバい秘密
月狂 紫乃/月狂 四郎
ライト文芸
高校生の須藤語(すとう かたる)がいるクラスで、新任の教師が担当に就いた。新しい担任の名前は黒蜜凛(くろみつ りん)。アイドル並みの美貌を持つ彼女は、あっという間にクラスの人気者となる。
須藤はそんな黒蜜先生に小説を書いていることがバレてしまう。リアルの世界でファン第1号となった黒蜜先生。須藤は先生でありファンでもある彼女と、小説を介して良い関係を築きつつあった。
だが、その裏側で黒蜜先生の人気をよく思わない女子たちが、陰湿な嫌がらせをやりはじめる。解決策を模索する過程で、須藤は黒蜜先生のヤバい過去を知ることになる……。
よこはま物語 弐、ヒメたちのエピソード
セキトネリ
ライト文芸
ぼくの中学高校の友人で仲里というヤツがいる。中学高校から学校から徒歩20分くらいのところに住んでいた。学校帰り、ぼくはよく彼の家に行っては暇つぶしをしていた。彼には妹がいた。仲里美姫といって、ぼくらの学校の一駅手前の女子校に通っている。ぼくが中学に入学した時、美姫は小学校6年生だった。妹みたいなものだ。それから6年。今、ぼくは高校3年生で彼女は2年生。
ぼくが中学1年の時からずっと彼女のことをミキちゃん、ミキちゃんと呼んでいた。去年のこと。急に美姫が「そのミキちゃんって呼び方、止めよう!なんかさ、ぶっとい杉の木の幹(みき)みたいに自分が感じる!明彦、これからは私をヒメと呼んで!」と言われた。
「わかった、ヒメ。みんなにもキミのことをヒメと呼ぶと言っておくよ」
「みんなはいいのよ。明彦は私をそう呼んで」
「ぼくだけ?」
「そういうこと」
「・・・まあ、了解だ」みんなはミキちゃんと呼んで、ぼくだけヒメって変だろ?ま、いいか。
「うん、ありがと」
ヒメはショートボブの髪型で、軽く茶髪に染めている。1975年だから、髪を染めている女子高生というだけで不良扱いされた時代。彼女の中学高校一貫教育のカトリック系進学校では教師に目をつけられるギリギリの染め方だ。彼女は不良じゃないが、ちょっとだけ反抗してみてます、という感じがぼくは好きだ。
黒のブランドロゴがデザインされたTシャツ、デニムの膝上15センチくらいのミニスカートに生足。玄関に立った彼女の目線とぼくの目線が同じくらい。
ポチャっとしていて、本人は脚がちょっと太いかなあ、と気にしている。でも、脚はキレイだよ、無駄毛の処理もちゃんとしてるんだよ、見てみて、触って。スベスベだよ、なんて言う。小学生の時だったらいいが、ぼくも高校3年生、色気づいていいる。女子高生に脚を触ってみて、なんて言われても困る。彼女は6年前と変わらず、と思っていた。
「よこはま物語」四部作
「よこはま物語 壱½、ヒメたちとのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/343943156
「よこはま物語 弐、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/245940913
「よこはま物語 参、ヒメたちのエピソード」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/913345710/59941151
「よこはま物語 壱、ヒメたちとのエピ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる