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Ⅱ. 革命
第伍話 低反発枕とフカフカの枕
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その日は夕方から雨が降っていた。おつかいを済ました私は折り畳み傘をさして家に向かっていた。制服姿の女子高生が走って通り過ぎた。あの制服は彩雅か。そう言えば、マシロも彩雅高校の生徒だった。私の高校とは違い、超がつくほどの進学校。本人から彩雅高校に通っていることを聞いたときは腰を抜かしたものだ。そんなことを思いながら彩雅高校の近くの公園を通り過ぎようとすると、耳覚えのある声が聞こえてきた。それにギターの音も聞こえる。公園の中を覗くと、ベンチで一人の小さな少女がびしょ濡れになりながらギターを弾いていた。
「マシロ!?」
私が大声を上げて駆け寄ると、マシロはビクッと肩を震わせた。そして私に気づくと、彼女は気まずそうな顔で顔を掻いた。
「どうしてこんな雨の中でギター弾いてんの!? 風邪引くでしょ!?」
私が声を荒らげて言うと、
「アハハ……大丈夫よ、大丈夫。ほら、バカは風邪引かないって言うで……クチュッ」
「このバカ! だから言ってるでしょ!」
私は問答無用でマシロを引っ張って、私の家まで連行した。親は夜まで帰ってこない。私はマシロを風呂に押し込もうとしたが、「大丈夫、大丈夫」と言ってなかなか聞かない。「じゃあ、私も入る」と言って私が服を脱ぐとマシロも諦めて制服を脱いだ。
「で、どうしてあんなところでギター弾いてたの?」
体を洗いながらバスタブに浸かっているマシロに訊く。
「まあ、その、ストレス発散というか……」
語尾を濁らせてマシロはゴニョゴニョと喋る。
「なんか学校で嫌なことでもあった?」
「嫌なことねぇ。掃除当番押し付けられたことぐらいかしら」
「なに? じゃんけんでも負けたの?」
「じゃんけんするまでもないわ。お願いって言われて、渋々言うこと聞いただけ」
「パシられたの? アンタが?」
いつも強気なマシロがまさかパシリとは。いったいなにがあったというのか。言葉を失っている私を見て、マシロはクスクスと笑った。
「意外でしょ。学校の私は、いわゆるぼっちなのよ。ほら、私って軽口叩いてばっかでまともに喋んないでしょ。ミドリは慣れてるからなんとも思わないかもしれないけど、普通の人はけっこう嫌がるのよ。だから学校では粛々としているの。迷惑かけないようにね」
「だったら普通に喋ればいいでしょ」
「無理よ。私、空気読めないし。それに、貴女は知らないでしょうけど、私って死ぬほどシャイなのよ。普通にコミュニケーションとろうとした日には、恥ずかしさで灰になっちゃうわ」
いつもの軽口は照れ隠しだったのか。意外な事実が多すぎて頭がクラクラしてくる。それにしても、人に迷惑をかけるのを嫌う優しい性格と、人に迷惑をかけざるを得ないほどのコミュ障が同居しているとは、なかなかに厄介だ。
「そりゃあ、ストレスも溜まるわ」
私がそう呟くと、マシロは「でしょ」と言って笑った。
体を洗い終えるとバスタブに入る。マシロがちっこいお陰で余裕をもって入れそうだ。私はバスタブに入ると、マシロの胸に頭を預けた。
「固っ」
「誰がまな板だ」
マシロが私の頭を叩く。少し手加減を間違えているあたり、わりと本気で気にしているらしい。
「低反発枕は好みじゃないみたいね」
「ごめんごめん。逆になったほうがいいか」
そう言って、今度は私がマシロを抱きかかえるような形にする。マシロの体型も相まって、なんだか小学生の世話をしているような気分だ。
「マシロ、アンタは人に迷惑をかけることを覚えたほうがいい。そうしないと、ストレスが溜る一方だよ」
「迷惑かけても許してくれる人がいればいいんだけどねぇ」
私は上からマシロの顔を覗き込んだ。
「私がいるでしょ」
マシロは目を丸くした。
「なんか嫌なことがあったら私のとこに来て、いくらでも迷惑かけなさい。別に怒ったりしないからさ」
マシロは唇をギュッと結びながら微笑んだ。そして私の胸に勢いよくもたれかかった。
「やっぱり、枕はフカフカに限るわ」
その日を境に私たちの距離はぐっと縮まった。いつもジョークしか言わないマシロが、段々と日々の鬱憤を私にぶちまけるようになった。家庭の金銭事情が苦しいこと、学校では相変わらず友人が一人もいないこと、学業がなかなかうまくいかないこと、ずっと思いを寄せている幼馴染が全然自分に近づいてくれないこと……
マシロの苦悩を晴らすかのように、私たちのバンド活動は盛んになった。私たちは毎日のようにオリジナルソングを作り、大勢の客の前で演奏した。私はマシロの横でギターを弾きながら、汗を煌めかせて熱唱しているマシロを眺めるのが何よりも好きだった。ステージ上の彼女は陽炎のように儚く、美しかった。
秋頃、私はマシロに内緒で彼女の学校の文化祭に参加した。学校での彼女をこの目で見てみたかったのだ。マシロのクラスを訪れると、教室の窓に大きく「射的」と書かれたボードが貼られている。入口を見ると、彼女が受付をしていた。いつも下ろしている長い髪を纏めポニーテールにして、銀縁の眼鏡をかけている。動物図鑑に「陰キャ(メス)」という欄があったら、まさに今のマシロみたいな人間の写真が載ることだろう。
「すいませーん。やってもいいですかー」
マシロは肩を震わせ、少し怯えた様子で対応する。ほとんど目を合わさない。どうやら私に気づいていないようだ。
「あっ、はい。えっと、でしたら、その、こちらにお、お名前を、その、か、書いてください」
恐ろしいほどのどもりっぷりだ。まるでこちらが恐喝しているかのような気分になる。これほど受付が不適合な人間が世の中にいるだろうか。私は笑いをなんとか堪えながら、用紙に名前を書いた。
「ええっと、か、苅谷緑さんですね。で、では、こちらに……ん? 苅谷緑?」
マシロが顔を上げる。キョトンとした彼女の顔を見て、私は思わず吹き出した。
「ちょ、え? ミドリ? なんでここに?」
「ブハハ、アンタ、普段どんだけ猫被ってんのよ、アハハ、腹痛い」
マシロは顔を真っ赤にして恥ずかしがった。
「う、うるさいわね。仕方ないじゃない。人見知りなんだから。からかわないでよ。こっちは必死なの」
「ごめんごめん。前に聞いた通り、少しは大人しいんだろうとは思ってたんだけど、想像以上で」
マシロは「もう」と言いながら頬を膨らませる。とはいえ、敵地に味方が一人来てくれたことが嬉しいらしく、口元に溢れている笑みを隠し切れていない。
私たちが談笑しているとクラスの女子たちが物珍しそうに近寄ってきた。
「島崎さんって友達いたんだ。他校の人?」
「あっ、えっと、その」
まともに答えられないマシロの代わりに私が自己紹介する。
「そ。苅谷緑っていうの。よろしくね」
「同級生? なんかクールでカッコいー」
「一応ギタリストなんで」
「うそー、ギター弾けるの? すごー」
マシロを置いてきぼりにして楽しんでいると、一人の先生が近寄ってきた。担任の先生だろうか。
「島崎、珍しく楽しそうにしてるな。友達か?」
マシロが顔を真っ青にして慌てふためく。先生にもコミュ障が発動するのだろうか。せっかくだ。コイツがクラス人気者になる手伝いをしてやろう。
「そうです。実は、コイツとライブハウスでバンド組んでるんですよ。コイツ、こう見えて歌上手いんですよ。いつかクラスで歌わせてやってください。絶対クラスのスターになりますよ」
私が嬉しそうに相棒の自慢をすると、先生の顔が急に曇った。よく見るとマシロの手が震えている。
「島崎、ちょっと職員室に来い」
マシロは無言で頷き、先生の後についていった。私は教室の入口で呆然と立ち尽くしていた。
校門でマシロを待っていると、彼女は俯《うつむ》きながら歩いてきた。顔を上げ、私に気づくと、気まずそうに目をそらした。
「言ってなかったんだけど、実はライブハウスでバンドするの、うちの高校は禁止してるのよ。親と先生の目を盗んで、こっそりやってたの」
謝罪の言葉を必死に探す私を見て、マシロは私を気遣うよう苦笑した。
「ミドリのせいじゃないよ。私が悪いだけ。でも、親に報告しない代わりにギター没収されちゃって」
私は血の気が引くような気がした。
「で、でも、そのギターって」
マシロは暗い顔で頷いた。マシロにとっては命より大切なギターだ。
「まあ、一生没収されるわけじゃないし、大丈夫よ。でも、バンドはもう出来ないかな」
必死に慰めようとする私の手をマシロは素早く払った。
「ごめん。ミドリは悪くないって分かってるんだけど……だけど、ちょっと私に話しかけないでくれるかな」
マシロは俯きながら走り去っていった。これが彼女との最後の会話だった。
「マシロ!?」
私が大声を上げて駆け寄ると、マシロはビクッと肩を震わせた。そして私に気づくと、彼女は気まずそうな顔で顔を掻いた。
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「まあ、その、ストレス発散というか……」
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「なんか学校で嫌なことでもあった?」
「嫌なことねぇ。掃除当番押し付けられたことぐらいかしら」
「なに? じゃんけんでも負けたの?」
「じゃんけんするまでもないわ。お願いって言われて、渋々言うこと聞いただけ」
「パシられたの? アンタが?」
いつも強気なマシロがまさかパシリとは。いったいなにがあったというのか。言葉を失っている私を見て、マシロはクスクスと笑った。
「意外でしょ。学校の私は、いわゆるぼっちなのよ。ほら、私って軽口叩いてばっかでまともに喋んないでしょ。ミドリは慣れてるからなんとも思わないかもしれないけど、普通の人はけっこう嫌がるのよ。だから学校では粛々としているの。迷惑かけないようにね」
「だったら普通に喋ればいいでしょ」
「無理よ。私、空気読めないし。それに、貴女は知らないでしょうけど、私って死ぬほどシャイなのよ。普通にコミュニケーションとろうとした日には、恥ずかしさで灰になっちゃうわ」
いつもの軽口は照れ隠しだったのか。意外な事実が多すぎて頭がクラクラしてくる。それにしても、人に迷惑をかけるのを嫌う優しい性格と、人に迷惑をかけざるを得ないほどのコミュ障が同居しているとは、なかなかに厄介だ。
「そりゃあ、ストレスも溜まるわ」
私がそう呟くと、マシロは「でしょ」と言って笑った。
体を洗い終えるとバスタブに入る。マシロがちっこいお陰で余裕をもって入れそうだ。私はバスタブに入ると、マシロの胸に頭を預けた。
「固っ」
「誰がまな板だ」
マシロが私の頭を叩く。少し手加減を間違えているあたり、わりと本気で気にしているらしい。
「低反発枕は好みじゃないみたいね」
「ごめんごめん。逆になったほうがいいか」
そう言って、今度は私がマシロを抱きかかえるような形にする。マシロの体型も相まって、なんだか小学生の世話をしているような気分だ。
「マシロ、アンタは人に迷惑をかけることを覚えたほうがいい。そうしないと、ストレスが溜る一方だよ」
「迷惑かけても許してくれる人がいればいいんだけどねぇ」
私は上からマシロの顔を覗き込んだ。
「私がいるでしょ」
マシロは目を丸くした。
「なんか嫌なことがあったら私のとこに来て、いくらでも迷惑かけなさい。別に怒ったりしないからさ」
マシロは唇をギュッと結びながら微笑んだ。そして私の胸に勢いよくもたれかかった。
「やっぱり、枕はフカフカに限るわ」
その日を境に私たちの距離はぐっと縮まった。いつもジョークしか言わないマシロが、段々と日々の鬱憤を私にぶちまけるようになった。家庭の金銭事情が苦しいこと、学校では相変わらず友人が一人もいないこと、学業がなかなかうまくいかないこと、ずっと思いを寄せている幼馴染が全然自分に近づいてくれないこと……
マシロの苦悩を晴らすかのように、私たちのバンド活動は盛んになった。私たちは毎日のようにオリジナルソングを作り、大勢の客の前で演奏した。私はマシロの横でギターを弾きながら、汗を煌めかせて熱唱しているマシロを眺めるのが何よりも好きだった。ステージ上の彼女は陽炎のように儚く、美しかった。
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「あっ、はい。えっと、でしたら、その、こちらにお、お名前を、その、か、書いてください」
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「ごめんごめん。前に聞いた通り、少しは大人しいんだろうとは思ってたんだけど、想像以上で」
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「で、でも、そのギターって」
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必死に慰めようとする私の手をマシロは素早く払った。
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ぼくが中学1年の時からずっと彼女のことをミキちゃん、ミキちゃんと呼んでいた。去年のこと。急に美姫が「そのミキちゃんって呼び方、止めよう!なんかさ、ぶっとい杉の木の幹(みき)みたいに自分が感じる!明彦、これからは私をヒメと呼んで!」と言われた。
「わかった、ヒメ。みんなにもキミのことをヒメと呼ぶと言っておくよ」
「みんなはいいのよ。明彦は私をそう呼んで」
「ぼくだけ?」
「そういうこと」
「・・・まあ、了解だ」みんなはミキちゃんと呼んで、ぼくだけヒメって変だろ?ま、いいか。
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「・・・まあ、了解だ」みんなはミキちゃんと呼んで、ぼくだけヒメって変だろ?ま、いいか。
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