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一章_出会い
第零話_はじまり
しおりを挟む「あ”ぁ~っ頭痛い、吐きそうだ。」
暗い部屋の中で光るPCの前に座り乱暴に頭を搔く男。
その男は暗闇の中でも分かる程顔が整っており男らしい顔、と言うよりは美人と言う感じでパッと見女性に見えなくもない容姿をしていた。
右手にはマウスを持ち左手で持っている水を一気に飲む。その姿でさえ誰もがハッと息を飲むほど美しい。
「……ふぅ、少しマシになったかな。それより今日は【王国恋情】の新刊が出る日じゃないか。ネットでは昼の3時に新刊が見れたはず……あぁ、楽しみだ!」
彼はそう言いながらPCを触る。
微かに鼻歌も歌っていて落ち着きがない様子だった。
「……これが新刊か。この小説、毎度表紙が豪華なんだよなぁ。前の表紙も最高だったし。流石、羽沢先生の作品だ。今回はどんなのか……早くロード終わってくれ! 」
紅潮させながら息を荒くさせ、勢いよくコップをドンッと置いた。
だが、その振動で後ろにあった本が倒れ、それを拍子に先程置いたコップが倒れ男の服に中に入っていた水が全部かかり男は勢いよく立ち上がる。
「うわ! 最悪だ、タオルタオルっ!……え、嘘だろ。このタイミングでロード終わるのかよ!? 」
「最悪だ」「早く読みたい」「タイミングが悪すぎるだろ」
そんな事を呟きながら走ってタオルを取りに行く。
だが男は浮遊感に襲われた。
それは突然の事で受け身も取れない。
しかし、彼の執念は凄まじいものでPCに目線を向ける姿は流石と言っても良いだろう。
この小説に対する思いは強いようだった。
だが、そんな願いは裏腹に呆気なく顔から転け、頭を強く打ち男は意識を失った。
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