惚れ薬の魔法が狼騎士にかかってしまったら

おもちDX

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本編

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 ぴた、と後ろの蕾に硬いものが充てがわれる。至近距離で見つめ合いながら、シルヴァは腰を押しすすめた。

「う。あ、あ……」
「く……これは…………」

 トロトロにほぐれた後孔は懸命に花開き、大きなものを受け入れる。丹念な準備が功を奏し、痛みは全くなかった。
 それどころか……

「ん~~……はあっ。きもちいね、シルヴァ…………もっと、」
「うわっ。待て!」
「あぁんっ」
「……ぐ」

 両脚をシルヴァの腰に絡ませ、ぐいっと引き寄せる。奥の奥まで陰茎の先端が届いて、腰が溶けてしまいそうな甘い快感にまた小さく達した。

 キュウキュウと内壁がうねり雄に絡みつき、彼の形を感じる。中でビクンと跳ね、拍動したように感じた一瞬ののち。
 ……じわっと温かいものがお腹の奥に広がった。

 その刺激さえも気持ちよくて、ほぉっと蕩けた瞳でシルヴァを見つめる。彼は悔しそうに顔をしかめていた。でも、耳まで赤い。

「ふふっ。気持ちよかったって、ことですよね?」
「……悪い。その、初めてなんだ……俺の記憶では」
「え!?」

 はじめてって……この、ノーナにとっては最上級にいい男が未経験だったってこと!?
 あっけにとられて、口がポカンと開く。信じられないが、真実なのだろう。彼が眉間に深いしわを寄せて険しい表情をしているのは、恥ずかしいからに決まっている。

 ノーナは自分がシルヴァの童貞を二回も奪ってしまったことに気づいて、罪悪感よりもふわっと心が浮き立つのを感じた。だって……

「……うれしい。僕はシルヴァの特別ってこと?」
「そうだな。ノーナ以上に、ノーナ以外に俺の『特別』はいない。俺の心の中心に居座って、奥底から感情を揺さぶってくる」
「っあ!」

 シルヴァの声が熱を帯びる。艶然と微笑んだ彼は、そう言ってノーナを揺さぶった。……あれ?
 達したはずの陰茎は、ノーナの中でまだまだ存在感を放っている。それどころか彼が少しずつ動くたびに硬さを取りもどし、さっき見つけられた快感の源をゴリゴリとえぐってきた。

「まっ、あぁ! ……んっ、あ。は、早くない!?」
「ノーナがまだ達していないだろう」

 もう何回もイッてますけど!? いまもちゃんと射精しなかっただけで、もう十分に快感を得て満足していたのだ。

 ノーナの戸惑いに構わず、シルヴァの律動は、香油と彼の出した子種を潤滑剤にしてスムーズに繰り返された。
 ぱちゅ、ぱちゅっ、と規則的な水音が聞こえる。ノーナは自分でも聞いたことのない高い声を上げ、ベッドの上で共鳴した。

「あっ、だめ! あ、あっ、んん~っ……」
 
 ちゅ、とリップ音を立てて唇にキスしたシルヴァは上半身を起こし、ノーナの腰を持ち上げて快いところばかりを攻め立ててくる。
 軽くて片腕で余裕だと言わんばかりにもう片手でペニスを握られ、ノーナはいやいやと頭を振った。

「いやぁ! あんっ。そ、そんなの……おかしくなっちゃうぅ……」
「……かわいい……かわいい」

 与えられるばかりで、快感を逃がす場所がない。経験したことのないほどの快感が体内にたまって、ほんとうにおかしくなってしまうかもしれない、と頭のどこかで思った。

「しるばっ……しるばぁ」
「どうしよう……かわいい」
「んっ、あぁ! は……んぅ。んあ……」

 シルヴァに触れたいのに、片腕がもう持ち上がらなかった。察してくれた彼がふわっとノーナを抱き上げ、膝の上に乗せてくれる。

 ペニスの角度が変わって、雄膣のさらに奥まで亀頭が届いてしまう。
 目の前にシルヴァの顔があって、腕を持ち上げなくても抱きつける。性行為中までこんな風に気を遣ってくれるなんて……全身が幸福感に包まれる。

 軽々とノーナを持ち上げるシルヴァに揺らされながら、ノーナは彼の唇にキスをしてふにゃっと笑った。

「すき……んっ、しるば。あっ、ん~~。だいすきぃ…………あ。あ、あ゙~~~っ!」
「ノーナ……愛してる。くっ……」

 お腹の中がノーナの気持ちと一緒にとろける。奥を捏ねる剛直に絡みつき……くぽ、っとさらに奥まで先端を受け入れてしまった。
 その瞬間。

 ――チカチカと目の前が白み、溜まった快感が爆発する。
 びくびく身体が痙攣し、長く続く絶頂が怖くてシルヴァにしがみつく。逞しい腕で身体を支えられて、ノーナは安心して悦楽の世界へと飛び込んだ。

 はぁはぁと長い時間を掛けて荒い息を整える。甘い余韻に身体を支配されていて、ノーナは夢心地だった。

「ふぁ、すご、かった……ね」
「あぁ、くそ! ……夢中になってしまいそうだ」
「え?」

 素直に感動していたノーナは、シルヴァのらしくない悪態にキョトンとした。ピロートークはしないタイプに見えるけれど……

 ノーナがどうしたのか尋ねると、彼の両親は多くの相手と身体の関係を結んでいたらしく、シルヴァはそれを嫌悪していたのだという。
 結局自分も同じじゃないか……なんて落ち込むシルヴァがなんだか可愛くて、ノーナはよしよしと彼の頭を撫でた。

「好意のある同士なら当然の欲求でしょう? それに、僕が誘ったんですよ? こんな身体だし……満足してもらえたなら嬉しいです」
「ノーナ……! 君ほど魅力のある人はいない。もっと自信を持ってくれ」
「ふふっ。――はい。また、しましょうね」
「くっ。かわいさが限界突破してる……その……も、もう一回」
「ふあぁ……ごめんなさい。もう、眠くて……」

 自分のものでシルヴァの腹を汚してしまっているし、中も綺麗にしなければならない。
 とはいえノーナは久しぶりの激しい運動で、想像以上に消耗していた。無意識に無理をしたのか、肩も痛くて熱を持っている気がする。

 期待に目を輝かせる年下の男がかわいくて愛おしくて仕方がなかったけど、ノーナは電池が切れたようにコトリとシルヴァの肩に頭を預け、夢の世界へと旅立った。

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