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4.※
しおりを挟むユピテルとメルキュールは王都の高級宿に泊まっていた。明日はユピテルの両親が合流予定だ。
妊娠を報告してから、どちらの家族も大喜びで浮かれている。不断の努力で二次性を隠し騎士団長にまでなったユピテルと、強いけど推しに傾倒しきっていたメルキュール。どちらにしても、まさかうちの息子が! と誰も想像していなかったのである。
そして誰よりも浮かれているのがメルキュールだった。あとは寝るだけの格好になったあと、寝台に腰掛けたユピテルの腹に顔を当てて跪いている。
「動かないなぁ……」
「そのうち元気いっぱい動くようになるだろ。パパに似た男の子かもしれないからな」
「えっ……!」
ユピテルはアウローラの予言についてやっと話すことができた。早くふたりでこの情報を共有したくてウズウズしていたのだ。
一方のメルキュールは、ユピテルに初めてパパと言われた感動と、驚くべき新情報に目を白黒させた。えっ、ぱぱって……ほ、本当に!?
あまりもの幸福に、ぽかんとしたまま気が遠くなりかけていたメルキュールは、力持ちのユピテルに身体を持ち上げられてさらに動転した。
「ちょっと、ユピー! 駄目ですよ!」
「なに、これくらい余裕だ。それより……久しぶりにお前の身体に触れたい」
「うぐッ……」
いつの間にか寝台に押し倒されていたメルキュールは、番の発言にカッと身体が熱くなった。男の色気滴るユピテルに誘われると、もうどうにでもしてくれ、と全てを捧げたくなる。
今日初めて会ったジューノはとにかくオメガらしい見た目で、マウォルスと並ぶと半分ほどの体格しかなかった。噂になるほどの美貌に間違いはなかったものの、自分が心動かされるのはユピテルだけだ。
単純な力勝負では自分が僅かに勝るかもしれないが、それ以外の精神力や知略、カリスマ性を総合すると完全にユピテルのほうが上なのだ。
こんなにも素晴らしい人に選んでもらえて、愛し合えているのが実は夢で、いつか何もない現実に目覚めるのではないかと怖くなることがある。
突然、鎖骨に噛みつかれてメルキュールは「うわぁ!」と情けない声を上げてしまった。
噛みついたユピテルはこっちに集中しろと言わんばかりに、赤くなった噛み跡をぺろりと舐める。
上半身をさらけ出したメルキュールの身体は、相変わらず分厚い筋肉に覆われていて美しい。滅多につけない跡をつけてやったことで、ユピテルは最高に興奮していた。
騎士という性分のせいか、移動のあいだに身体を繋げたいと思うことはない。昨日は騎士団本部に訪れたあと、メルキュールが実家の子爵家に馬を走らせて向かい、自分は宿で大人しくしているよう厳命されていた。
一晩ゆっくり休んだお陰で、気力十分なのである。
今日はジューノに不安を吐き出したおかげで、久しぶりに晴れ晴れした気持ちになっている。しかも理想の家族像といえるものを見せつけられた反動で、メルキュールと夫夫らしく睦み合いたい気分だった。
まぁ、俺たちが親になったところで、アヴェンティーノ家とは全く違う家庭を築くだろう。
ユピテルはいい親になりたいと願うと同時に、騎士団でも尊敬される立場を保ちたい。オメガである自分が騎士団長であることには大きな意味があって、この国の騎士団に新しい価値観を植え付けたいと考えているのだ。
自分が両親に教えられたように、二次性のせいで自ら視野を狭めることのない未来に貢献したかった。
いまはメルキュールと一緒になれたからこそ、新しく目指せる未来もある。
互いに生まれたままの姿になって、深く唇を重ね合わせた。興奮に硬くなったペニスが擦れあい、期待の先走りが滲んでいてる。ユピテルの後孔には自分の指とメルキュールの指が同時に入り込み、甘い疼きをもたらしていた。
「あぁ、ユピー……ナカ、熱いですね」
「うンっ……あぁ、もう……メルク。お前が欲しい……」
我慢の限界と言わんばかりに指を引き抜き喘いだ瞬間、ユピテルは位置を入れ替えられ天井を見つめていた。メルキュールが熱い両手で膝を押し上げ、丸見えになった蕾へと熱杭を充てがう。
そこは番の雄に吸い付き、先端を飲み込むと奥へ奥へと蠕動で誘った。
「あっ、あ、あぁ……」
「大好きです。ユピー……愛してます」
ゆっくりと奥まで征服され、じんわりした快感なのに精液がとろりと漏れる。深碧の瞳に涙の膜が張り、恍惚とした表情になる。
メルキュールはユピテルのそんな様子に魅入っていた。
こんなにも強く美しい人を自分は他に知らない。ずっと憧れだった彼と、家族になるのだ。
アウローラを抱き上げたユピテルを見たとき、未来を垣間見た気がして胸がいっぱいになった。
明日、ユピテルの家族の前で正式に結婚を申し込もうと思っている。
昨日から実家に帰っていたのは、ヴィミナーレ子爵家に代々伝わる指輪を受け取りに行っていたのだ。ユピテルは指に装飾品をつけるのを好まないだろうから、あとからネックレスに加工する予定で。
出産を控えているのだからそのうち籍を入れるだろう、と曖昧に考えている彼の驚く顔を見られるかと思うと、期待が膨らんだ。いつも、思い切りの良すぎるユピテルに驚かされるのは自分の方だから。
腰を引き、ユピテルの好きなところを押しつぶしながら律動を開始する。隘路がぎゅうぎゅうとペニスに絡みつき、気を抜けばあっという間に達してしまいそうだ。
そういえば、初体験は惨敗だったな……
激しく動いていないのに、ユピテルは何度も身体を震わせ、甘イキを繰り返しているようだった。ヒート中じゃなくても、この身体が快楽に弱いことを知っているのは自分だけだという自信がある。
「め、メル……乳首を吸ってくれ。疼くんだ……」
「ひぅッ……も、もちろんです」
もう! この人は僕を煽る天才だ!
情けない過去を懐かしく思い出していたのに、一瞬で搾り取られそうになってしまった。
筋肉によって丸く膨らんだ胸の、先端で尖っている乳嘴。そこに顔を寄せ舌でツン、と刺激するといつもより高い嬌声が聞こえてくる。
嬉しくなったメルキュールは、乳輪ごと口に含み、唾液まみれにしてじゅるじゅると吸い上げた。
「んぁっ。あ゛~~~!!」
「ユピー……!」
ユピテルが激しく達したことによる雄膣の蠕動に抗わず、メルキュールも欲望を吐き出した。
いまは止まっているヒートが出産後に再開したら、僕はどうなってしまうんだろう……
ユピテル以外に経験はないものの、確信を持ってこれが最高の相性だと断言できる。荒い息をつきながら、メルキュールは末恐ろしくなった。
この数カ月後にはユピテルの胸から母乳が出始めて、その美しくも倒錯的な光景にメルキュールが発狂しそうになる未来を、本人は知る由もない。
【完】
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なっつさんの癖に刺さったようで嬉しいです✨
弊社一の男前がユピテル団長です。メルキュールもお相手はこの子しかいない!とマッチングしました☺️
こちらも読んでいただきありがとうございます!
強い、年上、高身長、筋肉、すべてが最高な受け様でした!
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