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8.※ふたりでその先へ

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 あれから季節が巡り、俺もメルクも一つ歳をとった。仕事は順風満帆だ。副団長が三人に増えたことで格段に仕事がやりやすくなった。メルク以外の副団長は俺より歳上で、番のためのヒート休暇を取ってもちゃんと団員を統率してくれる。
 なによりメルクという圧倒的な戦力は国境沿いで知れ渡り、団員の士気も高まっている。おかげで隣国との小競り合いも小康状態が続いているくらいだ。

「団長! メルキュール、ただいま戻りました!」
「遅え!」
「す、すみません! 休暇の申請中に野盗が現れたと報告があっ……ヒェッ」

 ここは俺の買った砦の町にある邸宅だ。元々借りていた家はふたりで住むには手狭で、人目も気になったため引っ越した。
 少し郊外の一軒家は、中流階級が住むようなヴィラでプライバシーも守りやすい。貴族出身のメルクには狭いかと思ったが、騎士団の宿舎や野宿に慣れた彼にとっても充分な広さのようだ。
 なによりこれ以上広いと掃除も行き届かず、他人を雇わざるを得なくなる。どうせ俺たちが使うのは同じ部屋ばかりで、多くの部屋数は必要なかった。

 俺は帰ったばかりのメルクのベルトを外し、下履きごと下ろして平常時でもでかい陰茎を取り出した。
 メルクの下履きは特注の長めのもので、これじゃないとはみ出てしまうらしい。入団直後は訓練のあとみんな下履きだけになって転がったりする。同僚や上官にまで巨根を揶揄われて、恥ずかしい思いをしたと言っていた。
 
 今日からメルクも休暇を申請すると聞いていたため、抑制剤は服用していない。
 しかし思っていた時間よりも遅かったから、シャツだけを羽織ってエントランスで待っていたのだ。寝室は二階にあるが、俺は我慢しきれず階段の手すりにメルクを押し付け、そのペニスを口に含んだ。
 
 唇と舌を使って数回扱けばすぐに天を向く。何度見ても圧倒される大きさだ。
 雄くさい匂いと汗の匂い、そしてムスクのようなメルクのフェロモンが香りだし、俺の後孔からポタリと雫が落ちた。

「うっ……ユピー! お願いですから、寝台へ……」
「駄目だ。待てない」

 今度は俺が階段の手すりに捕まり、尻をメルクに向かって突き出した。最初から下は履いてない。
 さっきまで散々指で弄っていた場所に、怒張が突き立てられる。その苦しいほどの圧迫感に俺は喘いだ。
 
 一人で発情期を迎えるときは張り型を使用していたけど、メルクと付き合いだしてからは使わなくなった。任務で会えないときも指で我慢する。
 指以外でここに入っていいのはメルクだけだ。番でもないのに、俺はメルクに操を立てている。それは彼の誠実な献身が俺を変化させたとしか言いようがない。そしてその変化は、俺の心に安寧をもたらした。

「苦しくないですか……?」
「苦しい。奥が寂しくて苦しいよ」
「ひぅぅっ!」

 相変わらずメルクは童貞っぽい。しかし挿入後の律動は娼館のプロにも劣らなくなってきた。最上級の運動神経と観察眼が為せるわざだろう。
 すっかりと覚えられてしまった快い所を好みの強さとスピードで擦られ、手すりを掴む手に力が入る。俺の腰を掴む大きな手。節々にできた胼胝さえ愛おしい。目が眩むほどの悦楽で、思わず背筋を逸らした。

「あっ。める、メルク……」
「はぁっ。んっ……ユピー。出しますよ」

 宣言の直後、メルクが俺の背中に抱きつき奥で吐精した。
 俺が安心して背中を向けられるようになったのも、メルクのお陰だ。メルクは俺の肌に歯を立てたことも、吸い跡をつけた事さえもない。こいつは俺のためならアルファの本能をいとも簡単にねじ伏せる。
 全ては俺の意思次第だ。項に噛み跡なんてついた日には、騎士団内に激震が走るだろうからな。

 メルクがそっと陰茎を引き抜いた。俺は尻にぐっと力を入れて、精液がこぼれ出すのを防ぐ。自分もまだ中だけでしか達していなかった。まぁ、汗とかその他もろもろであとから掃除は必須だが。

「二階へ行きますか……?」
「あぁ。そうしよう」
「ぇ、えぇっ!?」

 俺はニヤリと笑って、メルクを担ぎ上げた。筋肉の塊は重いが、短い距離を運ぶくらいできる。

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