アルファの僕が、最強のベータにお尻を狙われている!

おもちDX

文字の大きさ
上 下
6 / 27

6.※

しおりを挟む



 あんなに妄想が得意なのに、僕がここまで快感に支配されたのは初めてだった。テルルにくったりと体重を預けたまま、びくびくと身体を震わせ、口はずっと半開きになっている。
 前に触らずとも、今日なら達せそうだと思った。あと少し。あと少しの刺激で……

 僕は見えないながらもテルルの顔がある方向へと首を動かし、懇願するような声を出した。

「てるるの、挿れてほし……」
「!!」

 張り型が抜かれ喘いだ次の瞬間、シーツの上に仰向けで転がされていた。背中が急に冷たくなって「ふぁ」と声が漏れる。
 もしかして……僕のひと言に呆れ返って投げ出された? この部屋に来てからどの時点を振り返っても、普通の人なら引く場面しかないことに気づいてしまう。
 アイマスクの下で、瞼にじわっと涙が滲んだ。

「て、てるる……ごめ」
「後悔するなよ」

 急にアイマスクを剥ぎ取られて、眩しさに目を細める必要はなかった。テルルが僕に覆い被さり、ランプの光は遮られている。薄暗い中でも、鮮やかなブルーは光を孕み揺れていた。
 そこから読み取れるのは、情欲。そして……?
 
 テルルは泣きそうになっている僕の目を見てどう思ったのか、チッと舌打ちをした。僕の膝を下から抱え上げ、「やめないからな」と念押しする。
 やめないんだ……
 ほっと安心した僕は、両腕を伸ばしてテルルの首に絡めた。

「やめないでいいから、きて」
「!!」

 テルルが顔を真っ赤に染めて、童貞みたいな頼りない顔をした。さっきから、こんな顔してたのかな? ……僕も童貞だけど。
 でも後ろに当てられたペニスは凶悪だ。火傷しそうなほど熱いし、さっき感じた硬さ。テルルの体格から考えても、アルファの僕に負けず劣らずなモノを持っていることは間違いないだろう。

 ――そう。僕はこれでもアルファなのだ。

 どうしてこうなったかは分からないけど、成り行きだとしても誰かに抱いてもらえるなんて、思ってもみなかった。いまはアルファとかベータとか、関係なく僕らは向き合っている。

 決意したようなテルルが僕を見つめてくるから、見つめ返す。少し潤んだ瞳に、蕩けた顔の僕が映り込んでいた。
 ぐ、と力を込められ先端が入ってくる。――は? で……でっか…………!
 明らかに張り型より大きい。少し痛いくらいだったものの、柔らかく熟れた蕾は懸命に広がって大きな亀頭を受け入れた。

「く、う……」
「痛いか?」

 痛いというより、苦しい。でも本物が入っているという満足感がすごい。
 それに僕が押し切ったような状況なのに、苦しげに動きを止めて、心配そうに聞いてくるテルルが可愛かった。なんだろ、この気持ちは……
 
 腕で引き寄せ、テルルの唇にちゅっと自分の唇を合わせた。にこっと笑って、「大丈夫」と伝える。気分は年上のお兄さんだ。そして僕は、テルルにとって間違いなく年上のお兄さんだった。
 ポカンとしたテルルの表情が想像以上に間抜けで、あははと声を出して笑う。ちょっと余裕が出てきて、僕は完全に油断していた。

 途端に悪い顔つきになったテルルが、獲物を喰らうように深いキスを仕掛けてくる。舌が入ってくるのと同時に、腰をズッ……と押し進めてきた。

「んぅ!?」

 最初ほどの抵抗はない。けれど内腔のひだを巻き込んでゴリゴリと突き抜けていく屹立は、圧倒的な質量で僕を征服しにきていた。角度を間違えるだけで痛みを伴う張り型と違って、柔軟で、熱くて……きもちいい。
 誰も、何も届かなかった奥地まで遠慮なく突き入れられ、苦しいのに、その強引さにも身体が歓喜した。

 押し出されたような嬌声をも飲み込むように唇を覆われ、遠慮なく舌が絡め取られる。キュッと舌を吸われると、舌の根元が痺れて気持ちいい。
 息も満足に吸えないまま、テルルは腰を引いて……バチュ! と奥へ熱棒を叩きつけた。

「ゔあ!!」
「ローラ、アウローラ……もう、俺……」

 いつもは後ろに流している髪が垂れてきて、僕の顔に降りかかる。銀白色のカーテンに包まれながら、その髪に手を差し込んだ。
 お腹の奥に重苦しい感覚が溜まり、それが繰り返されると快感に置きかわってゆく。あぁ……初めてなのに、なんて柔軟な身体なんだろう。
 
 テルルが切羽詰まった声で僕の名前を呼ぶ。それは、家族に呼ばれるのとはちがった甘い響きで。
 またテルルを愛おしく感じた僕は、その気持ちのまま、微笑んだ。

「んっ、ん……いいよ……テルル。って」
「~~~!!!」
「ひゃっ、ちょ、――~~~ぁあん!!」

 顔を顰めたテルルは達する直前、抱えていた僕の脚を肩にかけ、空いた両手で僕の乳首をギュッと摘んだ。
 上から串刺しのように貫かれたまま、ドクンと中で膨らんだペニスが熱い飛沫を叩きつけてくる。

 最後に重なった唇だけが優しかった。

 中に情熱を注がれることへの快感と、抵抗できない体勢。敏感になっていた乳首への痛いほどの愛撫……ぜんぶがぐちゃぐちゃに混じり合って、僕に襲いかかる。
 胸と顎に濡れたものを感じて、僕は自分も達していたことに気づいた。

「ローラ……おれ……」
「……テルル! すごいよ~~イケた! 前に触らずイケたよ!!」
「……」

 身体はくたくたで、まだ余韻に痺れているなかでも、僕はこの感動を伝えずにはいられなかった。だって、テルルのおかげだ!
 しかしテルルは死んだ魚のような目になって、感情のこもってない声で「良かったな」と言った。
 え。テルルも達したってことは、気持ちよかったんだよね? 僕、なんかした??

 ……まぁいいか。
 ありがとう! と元気よく伝え、未だ存在感を主張しナカに居座る男を、片づけるから腰を引けと肩に掛けられたままの脚で押した。

「ていうかさぁ、萎えてもこのデカさって……テルルのお相手は大変じゃない?」
「……これを体験したのは、お前だけだよ」
「は? え……まじ? ――って、え。あ。ぁあ~っ!?」

 脚を掴まれて、ぐりんとうつ伏せに転がされる。一瞬抜けたペニスはなぜか芯を持ったままで、両手で僕の尻肉を広げたテルルは……後ろから再び挿入してきた。
 僕の戸惑いなどおかまいなしに、内腔はテルルの雄との再会を喜んで、絡みつく。さっきとは当たる場所がぜんぜん違って、僕は驚きに戸惑った声を上げた。

「まって、てるる……なに、これぇ……?」
「身体から落とす方が早そうだ」
「あっ。るる、これ、きもちぃ……んっ。もっとぉ…………」
「…………」

 うつ伏せで寝ているだけなのに気持ち良すぎる。ゆるゆると奥を捏ねられて、蕩けるような快感に思考まで溶けてしまった。
 テルルの動きに合わせて、僅かに芯を持った中心がシーツに擦れる。ずっと敏感なままの乳首も擦れて、頭がおかしくなりそう。いや、もうおかしくなっている。

 当初の目的なんて頭からスポンと抜けてしまい、テルルの猛攻に僕は喜んで応えた。これでも騎士だから、なまじ体力はあるのだ。
 そう、思っていたんだけどな……





(腰、いったぁ……。しかもまだ尻に、なんか挟まってる感じがする……)

 直立した姿勢を保ちながら、僕は身体の違和感に内心泣いていた。こんなの、楽勝だと思っていた騎士の訓練で立てなくなるほど扱かれた新人の頃以来だ。
 
 今日は隣国から大使が来ているため、僕も久しぶりに王宮中心部へ配備されている。以前兄さんがわざわざ確認に来ていたように隣国との関係は微妙で、王宮全体がピリついていた。
 なぜなら表向きは友好関係を保っていて経済的同盟も結んでいるが、国境での小競り合いは絶えないからだ。

 大陸の長い歴史の中で、隣国との国境は何度も動いている。約百年前に一度大きな大戦があって現在の国境に落ち着いたものの、血気盛んな辺境の少数民族やそれと見せかけた騎士がゲリラ部隊を組んで土地を返せとたびたび仕掛けてくるのだ。……その相手をする緑騎士団は大変だろうな。

 国境での小競り合いに隣国は知らない振りをしているし、国内には同盟を結び続けることに不満を持つものもいる。中にはもう一度大戦を望む過激派もいて、そういった者たちが今回の同盟を邪魔しようとする可能性があった。

 実際五年前の同盟のときも徒党を組んでテロ行為を計画していた前例があって、その際は青騎士団と合同で粛清が行われたのだ。僕は新人だったから末端の作戦に参加しただけだけど……


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

α嫌いのΩ、運命の番に出会う。

むむむめ
BL
目が合ったその瞬間から何かが変わっていく。 α嫌いのΩと、一目惚れしたαの話。 ほぼ初投稿です。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

処理中です...