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元・貧乏貴族は旦那さまを誘いたい!
3.※
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その夜、湯浴みを終えたおれはマウォルス様の執務室を訪れた。そこは書斎と繋がっていて、くつろげるようなソファセットもあるのだ。
「ジューノ、どうしたんだ?もう寝ていていいからな」
「寝る前にどうしても、マウォルス様の顔を見たくなって……よかったら、一杯だけどうですか?」
侍女に頼んで晩酌の用意をしてもらっている。いましている仕事も絶対に今日じゃないといけない訳では無いと家令にも確認済みだ。
おれはほとんどお酒を嗜まないけど、マウォルス様はけっこう好きらしい。身体が大きいせいか正体を無くしたところは見たことがないので、酔わせて襲う計画は初めから諦めている。これは、あくまでも導入だ。
「ジューノも飲むのか?珍しい」
「たまには一緒に、と侍女が用意してくれました」
ソファに隣り合って座り、マウォルス様には好みの蒸留酒を、自分には甘めの果実酒をグラスに注いで乾杯した。こくっと飲み込めば、甘くてとろりとした液体が喉を通って、わずかな酒精が鼻を抜けた。
「ん……美味しい。最近、ゆっくり話す時間もなかったから……。嬉しいな」
「あっ、あぁ……そうだな。今日も出かけられなくてすまない」
「マウォルス様は真面目だから、無理していないか心配になります」
軽い会話をしながらおれはマウォルス様の杯を満たし、自分もどんどんと杯を進めた。一杯だけ、なんて言葉のあやだ。簡単に酔わないはずのマウォルス様も、心なしか目元が赤い。よし。幸先はいいぞ。
おれはゆっくりと息を吐き、少し潤んだ葡萄色の目でマウォルス様を見上げた。寝間着の上に羽織ったガウンを肩から落とす。
「はぁっ。おれ、酔っちゃったかも……。マルスさま、抱っこして?」
「ん゛ん゛っ。……部屋に運んでほしいのか?」
「くっつきたいの」
羞恥に心のなかで血を吐きながら、マウォルス様に甘える。いい感じに顔に血が上り、酔っているように見えるだろう。おれは酒に酔うとすぐ寝てしまうので、今日はすごく薄めたものを用意してもらっていた。名付けて酔ったふりをして誘惑!作戦なのである。
マウォルス様ににじり寄れば、諦めたように脚の上に乗せてくれた。逞しい太腿の上で横座りになって顔を見上げると、マウォルス様は眉間に力が入って怒っているような、けれど眉は下がって困っているような複雑な表情をしていた。
なんか変な顔してるけど……大丈夫。引いてはいないはず……!
おれは再び気合を入れて、いつもより格段に近い位置にある唇にむちゅっとキスをした。
「――!」
「えへへ、ちゅーしちゃった」
マルスさまの唇、やわらかーいと言いながら何度もバードキスを繰り返す。マウォルス様はなぜか硬直して微動だにしない。
(わ~~~、恥ずかしいよ~!だいぶ歳下だから許して!!)
酔ったふりがこれで正しいのかもよく分からない。姉上からの手紙には、甘えて甘えて甘えまくれ!と書いてあったのだ。
でも、太もも横に感じる熱が存在を主張しはじめている。それに勇気をもらっておれは次の行動に出た。
「あついなぁ」
「わ、こら。ジューノ!」
ぐぬぬ、怒り方が子ども向けだ……と思いながらも、寝間着をポイポイっと脱いだ。脱ぎ方に色気がないのはご愛嬌だ。
「なっ!なんてことだ……!」
あっという間に下穿き一枚になると、マウォルス様は天を仰ぎ片手で目を覆ってしまった。それでも、手の下からチラチラとおれの方を見ているのがわかる。主に下半身を。
……気になるのも当然だろう。いまおれが身に着けているのはいつものぶかっとした綿の下穿きではなく、白く輝く絹で作られた小さな下穿きだ。それは可憐におれの腰元を覆い、両サイドは細いリボンで結ばれている。
姉上はなんてものを送ってきたんだろうか……しかも手作りである。温泉に訪れる貴族女性からの情報収集の賜物らしい。
「ね、マウォルスさま。ここ……おっきくなってる」
おれは片手でマウォルス様の半身を服の上からなぞりながら甘い声で指摘し、膝から下りた。そしてソファの前でぺたんと座り、マウォルス様の服から膨らんだペニスを取り出した。
「わ、おっきー……」
「じゅ、ジューノ!そんな……そんなことしなくていい!」
こうやって間近で見るのは初めてだ。支えるように手で持って見つめると、ぐんと硬さが増した。マウォルス様の肌よりちょっと濃い色をした陰茎は、赤く膨張し脈打っている。凶器のような荒々しさを感じるものの、いつもこれがおれの中に……と想像するだけでお腹の奥がキュンと疼いた。
マウォルス様は大慌てで声を上げたが、おれの肩に置いた手には力が入っていない。
おれは絹の下穿きと一緒に送られてきた指南書に書かれていたことを思い出し、顔を寄せてぺろりと舐めた。全体に唾液をまぶすように満遍なく舐めあげると、「くっ……」と絞り出たような声が上から振ってくる。
思わず顔を見上げると、いつも穏やかな目がギラギラと情欲を宿しおれを見つめている。その強い視線に身体が焼かれたように熱くなった。おれは膝立ちになり、マウォルス様と目を合わせたままペニスをゆっくりと、口の中へと迎え入れた。
「んっ……」
「ま……まて……!」
つるりとしたそれは、まだ大きくなるの?というくらい成長して、全く口に収まりきらない。指南書どおりに全体を口で扱くのは無理そうだから、下半分は手を使おう。おれは考えながら両手で欲望の幹を握り、限界まで飲み込む。亀頭が上顎に当たってずるりと動くと、苦しさと快感に涙が滲んだ。
「んんぅッ……」
「……!!」
ほとんど動きもしないまま、マウォルス様の熱はビクッと震え口の中で弾けた。あれ、口で育ててから入れてもらう計画だったのに……まあ、気持ちよくなってもらえたならいいか!
独特の味がする精液を思い切って飲み込むと、マウォルス様はハッと目が覚めたように俺を抱き上げ、ソファに座らせた。テーブルに置いてあった水を飲むようにと渡され、素直に受け取る。
「っすまないジューノ!あぁ、なんてことだ……」
「ねぇねぇ、きもちよかった?」
付け焼き刃の技術でマウォルス様を導けたことに、得意げになって尋ねた。おれ、口淫の才能あったのかも……!
「ジューノ、どうしたんだ?もう寝ていていいからな」
「寝る前にどうしても、マウォルス様の顔を見たくなって……よかったら、一杯だけどうですか?」
侍女に頼んで晩酌の用意をしてもらっている。いましている仕事も絶対に今日じゃないといけない訳では無いと家令にも確認済みだ。
おれはほとんどお酒を嗜まないけど、マウォルス様はけっこう好きらしい。身体が大きいせいか正体を無くしたところは見たことがないので、酔わせて襲う計画は初めから諦めている。これは、あくまでも導入だ。
「ジューノも飲むのか?珍しい」
「たまには一緒に、と侍女が用意してくれました」
ソファに隣り合って座り、マウォルス様には好みの蒸留酒を、自分には甘めの果実酒をグラスに注いで乾杯した。こくっと飲み込めば、甘くてとろりとした液体が喉を通って、わずかな酒精が鼻を抜けた。
「ん……美味しい。最近、ゆっくり話す時間もなかったから……。嬉しいな」
「あっ、あぁ……そうだな。今日も出かけられなくてすまない」
「マウォルス様は真面目だから、無理していないか心配になります」
軽い会話をしながらおれはマウォルス様の杯を満たし、自分もどんどんと杯を進めた。一杯だけ、なんて言葉のあやだ。簡単に酔わないはずのマウォルス様も、心なしか目元が赤い。よし。幸先はいいぞ。
おれはゆっくりと息を吐き、少し潤んだ葡萄色の目でマウォルス様を見上げた。寝間着の上に羽織ったガウンを肩から落とす。
「はぁっ。おれ、酔っちゃったかも……。マルスさま、抱っこして?」
「ん゛ん゛っ。……部屋に運んでほしいのか?」
「くっつきたいの」
羞恥に心のなかで血を吐きながら、マウォルス様に甘える。いい感じに顔に血が上り、酔っているように見えるだろう。おれは酒に酔うとすぐ寝てしまうので、今日はすごく薄めたものを用意してもらっていた。名付けて酔ったふりをして誘惑!作戦なのである。
マウォルス様ににじり寄れば、諦めたように脚の上に乗せてくれた。逞しい太腿の上で横座りになって顔を見上げると、マウォルス様は眉間に力が入って怒っているような、けれど眉は下がって困っているような複雑な表情をしていた。
なんか変な顔してるけど……大丈夫。引いてはいないはず……!
おれは再び気合を入れて、いつもより格段に近い位置にある唇にむちゅっとキスをした。
「――!」
「えへへ、ちゅーしちゃった」
マルスさまの唇、やわらかーいと言いながら何度もバードキスを繰り返す。マウォルス様はなぜか硬直して微動だにしない。
(わ~~~、恥ずかしいよ~!だいぶ歳下だから許して!!)
酔ったふりがこれで正しいのかもよく分からない。姉上からの手紙には、甘えて甘えて甘えまくれ!と書いてあったのだ。
でも、太もも横に感じる熱が存在を主張しはじめている。それに勇気をもらっておれは次の行動に出た。
「あついなぁ」
「わ、こら。ジューノ!」
ぐぬぬ、怒り方が子ども向けだ……と思いながらも、寝間着をポイポイっと脱いだ。脱ぎ方に色気がないのはご愛嬌だ。
「なっ!なんてことだ……!」
あっという間に下穿き一枚になると、マウォルス様は天を仰ぎ片手で目を覆ってしまった。それでも、手の下からチラチラとおれの方を見ているのがわかる。主に下半身を。
……気になるのも当然だろう。いまおれが身に着けているのはいつものぶかっとした綿の下穿きではなく、白く輝く絹で作られた小さな下穿きだ。それは可憐におれの腰元を覆い、両サイドは細いリボンで結ばれている。
姉上はなんてものを送ってきたんだろうか……しかも手作りである。温泉に訪れる貴族女性からの情報収集の賜物らしい。
「ね、マウォルスさま。ここ……おっきくなってる」
おれは片手でマウォルス様の半身を服の上からなぞりながら甘い声で指摘し、膝から下りた。そしてソファの前でぺたんと座り、マウォルス様の服から膨らんだペニスを取り出した。
「わ、おっきー……」
「じゅ、ジューノ!そんな……そんなことしなくていい!」
こうやって間近で見るのは初めてだ。支えるように手で持って見つめると、ぐんと硬さが増した。マウォルス様の肌よりちょっと濃い色をした陰茎は、赤く膨張し脈打っている。凶器のような荒々しさを感じるものの、いつもこれがおれの中に……と想像するだけでお腹の奥がキュンと疼いた。
マウォルス様は大慌てで声を上げたが、おれの肩に置いた手には力が入っていない。
おれは絹の下穿きと一緒に送られてきた指南書に書かれていたことを思い出し、顔を寄せてぺろりと舐めた。全体に唾液をまぶすように満遍なく舐めあげると、「くっ……」と絞り出たような声が上から振ってくる。
思わず顔を見上げると、いつも穏やかな目がギラギラと情欲を宿しおれを見つめている。その強い視線に身体が焼かれたように熱くなった。おれは膝立ちになり、マウォルス様と目を合わせたままペニスをゆっくりと、口の中へと迎え入れた。
「んっ……」
「ま……まて……!」
つるりとしたそれは、まだ大きくなるの?というくらい成長して、全く口に収まりきらない。指南書どおりに全体を口で扱くのは無理そうだから、下半分は手を使おう。おれは考えながら両手で欲望の幹を握り、限界まで飲み込む。亀頭が上顎に当たってずるりと動くと、苦しさと快感に涙が滲んだ。
「んんぅッ……」
「……!!」
ほとんど動きもしないまま、マウォルス様の熱はビクッと震え口の中で弾けた。あれ、口で育ててから入れてもらう計画だったのに……まあ、気持ちよくなってもらえたならいいか!
独特の味がする精液を思い切って飲み込むと、マウォルス様はハッと目が覚めたように俺を抱き上げ、ソファに座らせた。テーブルに置いてあった水を飲むようにと渡され、素直に受け取る。
「っすまないジューノ!あぁ、なんてことだ……」
「ねぇねぇ、きもちよかった?」
付け焼き刃の技術でマウォルス様を導けたことに、得意げになって尋ねた。おれ、口淫の才能あったのかも……!
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