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32.浄化、浄化、浄化!

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「は?」
「あっ……」

 男も僕も、さすがに呆気にとられて扉の方を見た。扉が吹っ飛んだことで木屑のような埃が舞っている。部屋の外に真っ黒な人影が見える。
 そしてその拍子に、お腹の中でじわっと何かが広がった。ここへ来るときに入れられた何かが溶けたのか、後孔へ向かって液体のようなものが垂れていく感覚がある。
 しかしそれについて考える間もなく、事態は急速に進んだ。

 突然登場した人物によって目の前にいた男が壁に叩きつけられ、うめく。黒いローブを纏った長身が、魔法で壁に拘束した男の首に手を掛けた。

「なんだお前! お前も、魔法師なのか? ……うがぁっ」
「セレス!! まって」

 部屋に入ってきた瞬間、燃えたぎった瞳で見つめてきたのはセレスだった。なっ……なんでこんなところに?
 扉のなくなった部屋の外も惨憺たる有り様で、僕を連れてきたメデーサとかいう女伯爵は床に座り込み、家令のスキュラも倒れている。娼妓たちはどうしよう、なにが起きた!? と周囲を駆け回っていた。だよね、気持ちはわかる。

 この状況は、僕の盛大な勘違いでなければ……セレスが僕のために引き起こしたんだろう。
 いい加減セレスが怒って暴走するのも見慣れてきた気がするけど、魔法師の男に対しては明らかな殺意を感じたから僕は大声を上げて止めた。こんな男なんかに、セレスが直接手を下してほしくない。

「まって……大丈夫だから」
「……大丈夫じゃないだろう」

 男を壁に貼り付けたまま、セレスは僕の方へ歩いてきた。抑えきれない感情を表すように、声が震えている。
 ま、そうだよな……。僕が身につけている薄っぺらいローブは乱れ、首には枷がつけられている。さらに顔は涙に濡れ、なおかつ白い粘液がそこかしこについている悲惨な状況だ。
 僕はもう一度大丈夫だと念押しで伝え、自分の首を指差して「取って」とお願いした。セレスはすぐに行動し、僕の首についた枷を魔法で破壊したあと、浄化して僕を優しく抱き起こした。

「んあっ」
「……? どうした」

 身体を動かすと誤魔化しようのないくらい、お腹の中が熱かった。お尻の奥が雄を求めてうずく。さっきのやつ……やっぱり媚薬か…………。
 僕はお腹を抑えながらセレスを見つめた。目がまた勝手に潤む。どうしよう、どうしよう~~~!!

「なかに、んっ……び……」
「び?」
「媚薬が……」
「…………場所を変えよう」

 意識してしまうともう駄目だった。全身が熱く、じりじりとした性感が僕を炙る。中から垂れてきた粘液でお尻の入り口まで濡れているのを感じた。
 くたっとセレスに体重を預けると、そっと抱き上げられる。いろいろ聞きたかったけど、とにかく僕の身体が落ち着いてからだ。頭の中に靄がかかってなにも考えられない。

「おい! 俺が買った奴隷だ!」

 抱えられたまま部屋を出るとき、今さらながら男が僕たちに向かって叫んだ。セレスは振り返りもせずに小さく呪文を呟く。
 縊られた鳥のような声が背後から聞こえたが、もう……それどころじゃなかった。

 セレスが待たせていた馬車に乗って移動する。僕は少しの振動も快感に変わるのがつらくて、ぎゅっとセレスにしがみついたままだった。
吐き出した熱い息がセレスの首に当たる。セレスは「ん゛んっ」と咳払いしたあと、僕を膝の上に乗せたまま聞いてくる。

「ウェスタ、怪我はないのか? どこまでされた?」
「はぁっ。ない、から……。口で、しただけ。中も、確認でゆび、入れられただけ……っ」
「くそ! 全部浄化するから、ちょっと触らせてくれ」
「あぇ……」

 口に指を突っ込まれた瞬間さっきのことを思い出してえずきそうになったが、浄化してすぐに指は抜かれた。体内など繊細なところへの浄化魔法は、直接触れる必要があるらしい。口の中に残っていた嫌な味がなくなってすっきりする。
 そして薄っぺらいローブの下に手を這わせ、意味もないほど小さな下穿き越しに僕のお尻に触れた。途端に痺れるような気持ちよさが腰から広がって震えてしまう。前だって、さっきから痛いほど勃っている。
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