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「ねぇ、やめてよ……んぁっ。は、ぁん!」
胸の尖りをぎゅっと摘まれて痛みを感じたと思ったら、そのまま指の腹で乳輪ごとやわく撫でられた。途端に快感が広がる。
ついさっきまで昂ぶっていた身体は、僕の意思とは関係なく気持ちよくなろうとしてしまう。だって……好きな人の手だ。
でも、単純に喜べるような状況ではなかった。セレスがどこまでやろうとしているのか分からないけど、一度は寝た相手だ。最後までしようとしている可能性だってある。
そしてそれは……とても悲しいことだった。
僕がどう考えているかなんてどうでもいいとばかりに、セレスは愛撫の手を止めない。胸から脇腹をなぞるように撫で下ろし、腰まで来たところで躊躇なく下穿きを剥ぎ取った。
視覚からの情報がないせいで手がどう動くのか読めないから、ひとつひとつの動きにビクッと震え、ぞくぞくと快感を拾ってしまった。
「せ、せれすぅ。あッ、も、もう……やめて…………ひゃぁっ」
「……」
セレスが黙ってしまったからなお悪い。相手はセレスだってもちろん分かっているけど、表情もなにも見えないのは怖かった。
僕の制止の声は、勝手に漏れてしまう嬌声のせいで弱々しいものとなっている。でも本当に、こんな愛のない行為は嫌だ。好きだけど……好きだからこそ。こんな風に身体を繋げてしまったら、もう二度と手に入らない気がして。
セレスの意外と大きな手に、僕の急所が握られた。その繊細な部分は、僕の気持ちを表すように萎えているだろう。セレスはごそごそと何かをしてから、身体の重心をずらしてベッドサイドに手を伸ばした。
パリン!
何かが割れる音がした。たぶん、香油の瓶……。さっきの物音から推測すれば、ヒビが入っていたんだろう。
「ねぇセレス、手は? 切れてない? 大丈夫?」
「……ウェスタ。そんな心配、してる場合か?」
「でも……っ、うあ!」
驚いて声を上げた。僕の中心に熱いものが……熱くて固いものが当たった。それが何なのかを理解する前に、香油にまみれた手で僕のペニスはそれとまとめて握られた。
(これ、セレスの……)
ずりずりと擦り付けられ、手で上下に扱かれる。香油のおかげで滑らかに動く手は、明らかに僕の快感を引きずり出そうとしていた。
自分だけが攻めたてられていたら、そのまま萎えていたと思う。けれど、セレスの興奮の徴しがそこにあることが、僕を煽ってしまった。
初対面のあの時とは全然違う状況で。なんなら僕はいま、視界を服で塞がれた間抜けな格好をしている。セレスが特殊な性癖を持っている可能性は考慮せざるをえないが、それでも男の、僕の丸みのない身体を見てガチガチに勃たせていることがちょっとだけ嬉しかったのだ。
その気持ちを反映するように、ペニスが成長するのを感じる。途端に裏筋をセレスのもので擦られて、腰が跳ね上がった。
「んん! ぃや!」
「くっ……」
背中に当たる柔らかいのシーツの感触に、ねちねちとペニスを擦り上げる音、中心部に感じるセレスの体温が僕の制限された感覚を容赦なく揺さぶった。
見えないのが怖いし触れないのがつらい。何よりもセレスの気持ちが見えないのが寂しくて、胸の奥がぎゅっと引き絞られるように痛い。
それでも身体はセレスを追いかけるようにして、高みへと駆け上がった。
達したのはセレスが先だった。熱い液体が、昂ぶりとその周りにかかるのを感じた。その後セレスの手によって集中的に攻められ、二度目の僕もあっけなく達してしまった。
「っ、うぅ……」
「う、ウェスタ……?」
もう限界だった。手酷く扱われたわけでもないけれど、気持ちよさに心がついていかなくて、悲しさで涙が溢れてくる。
ひっく、ひっくと肩を揺らしていると、パジャマがやっと下ろされて視界が開けた。すぐにセレスと目が合う。
先ほどまでの怒りはどこへやら、僕がぽろぽろと涙を流していることに気づいたセレスは、慌てた様子で魔法を解いて手を解放してくれた。ついでにさっと浄化されて全てがリセットされたように綺麗になる。
でも、ここで起こったことは巻き戻せない。どうせなら記憶もなくしてほしかった……。
ぐすぐす泣きながら僕が両手で顔を覆ってしまうと、ぎゅ、っと壊れ物を扱うみたいに優しく抱きしめられた。
「いやっ、触らないで!」
「ごめん、ごめんウェスタ……」
セレスの温かい体温も、優しい腕も、落ち着くはずの香りでさえも今は離れたかった。なのに僕がいくら暴れても、セレスは謝りながら決して離してはくれなかった。柔らかく抱擁されているはずなのに、頑丈すぎる檻だ。
さすがに途中で疲れ果てた僕は、諦めてセレスの胸で泣いた。くそう、どうせなら服をびしょびしょにしてやる。
しばらくセレスの胸をハンカチ代わりにして、僕はそのまま、服を握りしめて眠ってしまったのだった。
胸の尖りをぎゅっと摘まれて痛みを感じたと思ったら、そのまま指の腹で乳輪ごとやわく撫でられた。途端に快感が広がる。
ついさっきまで昂ぶっていた身体は、僕の意思とは関係なく気持ちよくなろうとしてしまう。だって……好きな人の手だ。
でも、単純に喜べるような状況ではなかった。セレスがどこまでやろうとしているのか分からないけど、一度は寝た相手だ。最後までしようとしている可能性だってある。
そしてそれは……とても悲しいことだった。
僕がどう考えているかなんてどうでもいいとばかりに、セレスは愛撫の手を止めない。胸から脇腹をなぞるように撫で下ろし、腰まで来たところで躊躇なく下穿きを剥ぎ取った。
視覚からの情報がないせいで手がどう動くのか読めないから、ひとつひとつの動きにビクッと震え、ぞくぞくと快感を拾ってしまった。
「せ、せれすぅ。あッ、も、もう……やめて…………ひゃぁっ」
「……」
セレスが黙ってしまったからなお悪い。相手はセレスだってもちろん分かっているけど、表情もなにも見えないのは怖かった。
僕の制止の声は、勝手に漏れてしまう嬌声のせいで弱々しいものとなっている。でも本当に、こんな愛のない行為は嫌だ。好きだけど……好きだからこそ。こんな風に身体を繋げてしまったら、もう二度と手に入らない気がして。
セレスの意外と大きな手に、僕の急所が握られた。その繊細な部分は、僕の気持ちを表すように萎えているだろう。セレスはごそごそと何かをしてから、身体の重心をずらしてベッドサイドに手を伸ばした。
パリン!
何かが割れる音がした。たぶん、香油の瓶……。さっきの物音から推測すれば、ヒビが入っていたんだろう。
「ねぇセレス、手は? 切れてない? 大丈夫?」
「……ウェスタ。そんな心配、してる場合か?」
「でも……っ、うあ!」
驚いて声を上げた。僕の中心に熱いものが……熱くて固いものが当たった。それが何なのかを理解する前に、香油にまみれた手で僕のペニスはそれとまとめて握られた。
(これ、セレスの……)
ずりずりと擦り付けられ、手で上下に扱かれる。香油のおかげで滑らかに動く手は、明らかに僕の快感を引きずり出そうとしていた。
自分だけが攻めたてられていたら、そのまま萎えていたと思う。けれど、セレスの興奮の徴しがそこにあることが、僕を煽ってしまった。
初対面のあの時とは全然違う状況で。なんなら僕はいま、視界を服で塞がれた間抜けな格好をしている。セレスが特殊な性癖を持っている可能性は考慮せざるをえないが、それでも男の、僕の丸みのない身体を見てガチガチに勃たせていることがちょっとだけ嬉しかったのだ。
その気持ちを反映するように、ペニスが成長するのを感じる。途端に裏筋をセレスのもので擦られて、腰が跳ね上がった。
「んん! ぃや!」
「くっ……」
背中に当たる柔らかいのシーツの感触に、ねちねちとペニスを擦り上げる音、中心部に感じるセレスの体温が僕の制限された感覚を容赦なく揺さぶった。
見えないのが怖いし触れないのがつらい。何よりもセレスの気持ちが見えないのが寂しくて、胸の奥がぎゅっと引き絞られるように痛い。
それでも身体はセレスを追いかけるようにして、高みへと駆け上がった。
達したのはセレスが先だった。熱い液体が、昂ぶりとその周りにかかるのを感じた。その後セレスの手によって集中的に攻められ、二度目の僕もあっけなく達してしまった。
「っ、うぅ……」
「う、ウェスタ……?」
もう限界だった。手酷く扱われたわけでもないけれど、気持ちよさに心がついていかなくて、悲しさで涙が溢れてくる。
ひっく、ひっくと肩を揺らしていると、パジャマがやっと下ろされて視界が開けた。すぐにセレスと目が合う。
先ほどまでの怒りはどこへやら、僕がぽろぽろと涙を流していることに気づいたセレスは、慌てた様子で魔法を解いて手を解放してくれた。ついでにさっと浄化されて全てがリセットされたように綺麗になる。
でも、ここで起こったことは巻き戻せない。どうせなら記憶もなくしてほしかった……。
ぐすぐす泣きながら僕が両手で顔を覆ってしまうと、ぎゅ、っと壊れ物を扱うみたいに優しく抱きしめられた。
「いやっ、触らないで!」
「ごめん、ごめんウェスタ……」
セレスの温かい体温も、優しい腕も、落ち着くはずの香りでさえも今は離れたかった。なのに僕がいくら暴れても、セレスは謝りながら決して離してはくれなかった。柔らかく抱擁されているはずなのに、頑丈すぎる檻だ。
さすがに途中で疲れ果てた僕は、諦めてセレスの胸で泣いた。くそう、どうせなら服をびしょびしょにしてやる。
しばらくセレスの胸をハンカチ代わりにして、僕はそのまま、服を握りしめて眠ってしまったのだった。
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