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第6話
しおりを挟む「あぁ、久しぶりに疲れた」
木元は湯船に浸かり足を伸ばし惚けた顔をした
ひとしきりキスをして寒い事に気付いた俺がしたくしゃみで雰囲気はどこかへ行ってしまった。
顔を見合わせ笑い、自然と2人で風呂場へ来た。
「しっかしよっさん、かなりえっちやな!」
「うるさいなぁ、何度も言わんでええねんボケ」
ボディーソープで体をゴシゴシと少し強めに洗う事で顔を見ないよう誤魔化した。
「いや、男の人も潮ふけるっちゅうのは知っとったけど。触らんでも吹けるって…才能やな」
思い出される数々の失態。
顔がどんどん熱くなるのが分かる。
「1人でする時もあんな何回もイって、潮吹くん?」
「1人ん時はみんなと同じや。1回イって疲れて寝る」
何回もイきたい時はそれなりの努力が必要なんだけど、今回は何もしてない。
前に抱かれた時もこんな感じではなかった。
恋愛フィルターか?それとも…
「ほなら、僕ら相性ええんかもな」
「…俺だけがそう思ってるんちゃうん?」
「いや!何言うてますか!僕もハチャメチャに気持ちよかったで。いつもあんな早ないもん。気持ちよすぎて耐えられへんかったわ」
「そう…」
素っ気なく返した、がとても嬉しくて口角がヒクつく
今何か喋ったら口角はにんまりと上がり声が上ずってしまいそうで口を開けない。
メガネをしていないからここから木元の表情を読み取れないのが悔しい。
凄く熱い視線で体を見られているのだけは分かる。
「なぁよっさん、おねがいがあるんやけど…」
「なんや」
「また抱いてもええかな?」
はたと手が止まる
また、抱いてくれるのか?
付き合うとか付き合わないとか、そもそも性別が同性ってので土俵にすら上がれてない俺が
セフレになんぞなれるのか?
「よっさんにハマってしもうたみたい」
「こんなデカいの抱いて楽しかったんか?」
「デカいちいこい関係ないやろ。よっさんは抱かれたいんやろ?僕は抱きたいやろ、そんなん抱かな男が廃るやろ」
顔を見た。ぼやけてそこに誰かが居る程度にしか分からない。
木元は笑ってるのか真剣なのか。
声色は真剣だったが、茶化されてるんではなかろうか。
「俺でええんか」
「ちゃうで、よっさんがええんや。えっちなよっさんギャップあり過ぎて最高やった」
パシャッと水が撥ねる音がした
同時に心臓が跳ねた
「ええかな?」
頬を撫でられ、顔を右に向けると目の前に真剣な顔をした木元が居た。
メガネをしていなくても顔のパーツがくっきりと見える程に近い距離で
冷静に、嬉しいなんて微塵も感じてないフリして。
セフレになってから恋人になんてルートはあるんだろうか。
ひとしきり抱かれて、抱いて
愛を囁いて共感なんてして貰えるんだろうか
そもそも俺は、この気持ちを伝えるんだろうか。
次第に頭が冷めてきてくっきりと自分の思考が見えてきた。
付き合うとかどうでもええか
俺はこいつに抱いて貰えるならそれで。
「ええよ」
「やった。秘密の関係や」
どちらともなく触れるだけのキスをした。
秘密のキス。
木元の頬に手を伸ばせば、頬にあった手のひらは首元を掴み触れるだけだが、深いキスとなった。
「ちゃんと勉強するな。よっさんに後悔させへんよ」
「恥ずかしいからやめや」
見つめ合ってそれから。
お互いの照れ隠しの笑い声が響いた。
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