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おまけ
ミカエルの放蕩
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SIDE:ミカエル
※モブ女とのセックスシーンアリ
騎士学校で学年トップに君臨していたのは、先の戦の英雄の孫だった。
名前はロイス・ウェンダル。
どんな豪傑かと思えば、線の細い少年である。
体幹はしっかりしているがどこか儚げで、何なら片手で捻ってしまえそう。
しかし授業でいざ手合わせしてみて、次元が違っていることを知った。
手本のような剣裁きで、さらに余力を残している。
そして俺に勝利したっていうのに、自惚れないツンとした表情も気高くて美しい。
むくつけき騎士学校の中、荒野に咲いた一輪の花のようだ。
アイツと親友になりたい――ワクワクしながら声をかけた。
ロイスが退学したときには世界が灰色になったみたいだった。
仲間と話していても空虚だ。
だから一年後に復学してきたときには、死ぬほど嬉しかった。
そしてロイスからはバニラの匂いがするようになっていた。
アルファにもランクがあるが、このバニラは間違いなく上位のアルファのフェロモンだ。
やはりロイスは上位のアルファだったんだという納得と、それを塗りかえたい奇妙な衝動に駆られた。
ロイスを抱く夢をまた見た……。
アイツは親友だ。それに俺と同じアルファだ。俺はどうかしちゃったかもしれない。
そして社交パーティに意欲的に参加するようになった。
女性と恋に落ちれば、親友への血迷った欲望も解消されるだろう。
黒髪青目の令嬢を見つけて目で追う。視線に気づいた女性は俺の側にやってきて、足元をさりげなくふらつかせた。
おっと、と支え、陽気に声をかける。
「ずいぶん酔ってるね。風に当たって休まない?」
「うふ。連れて行ってくださる?」
月光の中、バラの生け垣に隠れて、ドレスをたくし上げて腰を振る。
だというのに、頭に浮かんでくるのはロイスが悶える姿だ。
「ああっ、激しッ……!!」
声が邪魔だなと思う。俺は最低かもしれない。
盛り上がるほど頭の奥が冷めていく。
事が終わると、ご令嬢は放心した様子になっていた。
「すごかった……。あなたのこと噂には聞いてたけど、予想以上……」
「そりゃよかった」
「もう一回しましょ?」
「淫乱だねぇ?」
「好きなくせに」
陰茎を撫でられれば勃起して、そうなると放つまでおさまらない。
「――ん、そろそろ会場に戻らねえと」
発散してからずるると男根を引き抜くと、令嬢は熱っぽい息をこぼした。
「ハァ……ん、あなたの匂いでマーキングされちゃったかしら」
「なるべく肌に触れないようにしたから平気だよ」
「つれないのね。ねえ、今度わたしの屋敷に遊びに来ない?」
「んー、考えとく」
「絶対来てね。待ってるから」
一度抱いたら「思ってたのと違うな」という感覚になってしまって、いまいち乗り気になれない。
恋を始めたいと思っているのに、手を出せば出すほど興味は薄れていく。
そしてロイスへの欲求が加速していく一方だった。
――ロイスのことを抱きたい。
アイツはどんな風に悶えるんだろう。どんな声を上げるんだろう。
会場に戻ると、そのロイスからふと声をかけられてどきりとした。
「ミカエル、どこ行ってたんだ?」
「ちょっと風に当たってた」
「そうか。俺もそうしようかな……」
酒を勧められたようで、ロイスの頬は火照っており、足取りはちょっと覚束ない。
ご令嬢たちはロイスがひとりきりになるのを女狐のように虎視眈々と待っている。
彼女たちの奔放さは好きだが、ロイスを狙っていると考えると警戒心が湧いた。
全員を寝取っちまうか。しかし食指が動かない。
来る日も来る日も、ロイスを忘れるために黒髪青目の女性に欲望をぶつける。
しかし衝動は溜まっていくばかりだった。欲求不満は加速しているのに、ロイスのことを想像しなければ勃起もしなくなっていた。
「待って! はげしッ、激しすぎるからッ――!」
「――」
もう気持ちに正直になるしかなかった。
――アイツのことを忘れるのは無理だ。
事後、息を荒げている女に向かって告げる。
「俺、遊ぶのやめる」
「――――は?」
たった今抱いたばかりの女は唖然とした顔になる。
そして強烈なビンタをくらわせてきた。
翌日、学校の前で修羅場が繰り広げられた。
「アンタが悪口でも吹き込んだんでしょ!」
「勘違い女!」
罵倒が行き交って、ロイスに軽蔑されそうだな、と思った。
「全員と別れる」
というと、
「安く見てんじゃないわよ!」
「遊びなんだからね!」
と次々とビンタされる。
彼女たちが去って行ったあと、ロイスが動揺した様子で口を開いた。
「大勢と遊ぶのは相手に失礼だぞ……」
ロイスは俺のことを人気者だと思って崇拝している節があるので、多少ただれている、と思ったくらいだろう。
しかし、現実はそうじゃない。
遊んでいたんじゃない。結局のところ全員、お前の代役だったんだ。
しかし代わりになんてなりやしなかった。
他の人間と恋なんて始まる気配もない。
俺は、親友に恋をしている。
自主稽古の最中、ロイスの汗の甘い匂いを嗅ぐうち、彼がオメガなのだと確信した。
アルファだろうと構わないと思っていたので、今更ではあった。
むしろ問題かもしれない。
弟と紹介されていたジョシュアは実際のところ許嫁なんだろう。
マーキングをしているなら多少は体の関係もあるはずだ。
これまで認めていたバニラのフェロモンに強烈な抵抗が芽生えてきた。
しかし、希望はある。ロイスはあくまでもジョシュアを兄弟として意識している。
許嫁を白紙にするには地位が必要だ――。
これまで以上に社交界に出席するようになり、今度は上層部の人間たちに声をかけるようになった。
俺が人気者になるほど、ロイスは憧れの目を向けてくる。
もっともっとその目で俺だけを見てくれ。
おわり
***
性に奔放で浮気が当たり前な貴族社会ですが、
一軍美女たちは自分が一番愛されてる!という気持ちでした。
※モブ女とのセックスシーンアリ
騎士学校で学年トップに君臨していたのは、先の戦の英雄の孫だった。
名前はロイス・ウェンダル。
どんな豪傑かと思えば、線の細い少年である。
体幹はしっかりしているがどこか儚げで、何なら片手で捻ってしまえそう。
しかし授業でいざ手合わせしてみて、次元が違っていることを知った。
手本のような剣裁きで、さらに余力を残している。
そして俺に勝利したっていうのに、自惚れないツンとした表情も気高くて美しい。
むくつけき騎士学校の中、荒野に咲いた一輪の花のようだ。
アイツと親友になりたい――ワクワクしながら声をかけた。
ロイスが退学したときには世界が灰色になったみたいだった。
仲間と話していても空虚だ。
だから一年後に復学してきたときには、死ぬほど嬉しかった。
そしてロイスからはバニラの匂いがするようになっていた。
アルファにもランクがあるが、このバニラは間違いなく上位のアルファのフェロモンだ。
やはりロイスは上位のアルファだったんだという納得と、それを塗りかえたい奇妙な衝動に駆られた。
ロイスを抱く夢をまた見た……。
アイツは親友だ。それに俺と同じアルファだ。俺はどうかしちゃったかもしれない。
そして社交パーティに意欲的に参加するようになった。
女性と恋に落ちれば、親友への血迷った欲望も解消されるだろう。
黒髪青目の令嬢を見つけて目で追う。視線に気づいた女性は俺の側にやってきて、足元をさりげなくふらつかせた。
おっと、と支え、陽気に声をかける。
「ずいぶん酔ってるね。風に当たって休まない?」
「うふ。連れて行ってくださる?」
月光の中、バラの生け垣に隠れて、ドレスをたくし上げて腰を振る。
だというのに、頭に浮かんでくるのはロイスが悶える姿だ。
「ああっ、激しッ……!!」
声が邪魔だなと思う。俺は最低かもしれない。
盛り上がるほど頭の奥が冷めていく。
事が終わると、ご令嬢は放心した様子になっていた。
「すごかった……。あなたのこと噂には聞いてたけど、予想以上……」
「そりゃよかった」
「もう一回しましょ?」
「淫乱だねぇ?」
「好きなくせに」
陰茎を撫でられれば勃起して、そうなると放つまでおさまらない。
「――ん、そろそろ会場に戻らねえと」
発散してからずるると男根を引き抜くと、令嬢は熱っぽい息をこぼした。
「ハァ……ん、あなたの匂いでマーキングされちゃったかしら」
「なるべく肌に触れないようにしたから平気だよ」
「つれないのね。ねえ、今度わたしの屋敷に遊びに来ない?」
「んー、考えとく」
「絶対来てね。待ってるから」
一度抱いたら「思ってたのと違うな」という感覚になってしまって、いまいち乗り気になれない。
恋を始めたいと思っているのに、手を出せば出すほど興味は薄れていく。
そしてロイスへの欲求が加速していく一方だった。
――ロイスのことを抱きたい。
アイツはどんな風に悶えるんだろう。どんな声を上げるんだろう。
会場に戻ると、そのロイスからふと声をかけられてどきりとした。
「ミカエル、どこ行ってたんだ?」
「ちょっと風に当たってた」
「そうか。俺もそうしようかな……」
酒を勧められたようで、ロイスの頬は火照っており、足取りはちょっと覚束ない。
ご令嬢たちはロイスがひとりきりになるのを女狐のように虎視眈々と待っている。
彼女たちの奔放さは好きだが、ロイスを狙っていると考えると警戒心が湧いた。
全員を寝取っちまうか。しかし食指が動かない。
来る日も来る日も、ロイスを忘れるために黒髪青目の女性に欲望をぶつける。
しかし衝動は溜まっていくばかりだった。欲求不満は加速しているのに、ロイスのことを想像しなければ勃起もしなくなっていた。
「待って! はげしッ、激しすぎるからッ――!」
「――」
もう気持ちに正直になるしかなかった。
――アイツのことを忘れるのは無理だ。
事後、息を荒げている女に向かって告げる。
「俺、遊ぶのやめる」
「――――は?」
たった今抱いたばかりの女は唖然とした顔になる。
そして強烈なビンタをくらわせてきた。
翌日、学校の前で修羅場が繰り広げられた。
「アンタが悪口でも吹き込んだんでしょ!」
「勘違い女!」
罵倒が行き交って、ロイスに軽蔑されそうだな、と思った。
「全員と別れる」
というと、
「安く見てんじゃないわよ!」
「遊びなんだからね!」
と次々とビンタされる。
彼女たちが去って行ったあと、ロイスが動揺した様子で口を開いた。
「大勢と遊ぶのは相手に失礼だぞ……」
ロイスは俺のことを人気者だと思って崇拝している節があるので、多少ただれている、と思ったくらいだろう。
しかし、現実はそうじゃない。
遊んでいたんじゃない。結局のところ全員、お前の代役だったんだ。
しかし代わりになんてなりやしなかった。
他の人間と恋なんて始まる気配もない。
俺は、親友に恋をしている。
自主稽古の最中、ロイスの汗の甘い匂いを嗅ぐうち、彼がオメガなのだと確信した。
アルファだろうと構わないと思っていたので、今更ではあった。
むしろ問題かもしれない。
弟と紹介されていたジョシュアは実際のところ許嫁なんだろう。
マーキングをしているなら多少は体の関係もあるはずだ。
これまで認めていたバニラのフェロモンに強烈な抵抗が芽生えてきた。
しかし、希望はある。ロイスはあくまでもジョシュアを兄弟として意識している。
許嫁を白紙にするには地位が必要だ――。
これまで以上に社交界に出席するようになり、今度は上層部の人間たちに声をかけるようになった。
俺が人気者になるほど、ロイスは憧れの目を向けてくる。
もっともっとその目で俺だけを見てくれ。
おわり
***
性に奔放で浮気が当たり前な貴族社会ですが、
一軍美女たちは自分が一番愛されてる!という気持ちでした。
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