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IFエロ

IF:完結後のNTR展開 主人公ビッチ化の逆ハーレム① 

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※潮吹きあり
***




 俺が寝室のランプの蝋燭を消そうとしたときだった。

「ロイスさん。今日どうかな?」

 ジョシュアが何気なく訊いてきて、「エッチのお誘いだ」と気付いて心臓が高鳴った。

 番になって早二年。両手で足りないほどに体を重ねてきたけれど、誘われるたびに毎回、初夜のように狼狽えてしまう。添い寝だけの生活がいまだに染みついているのか、欲望を向けられるだけで飽和してしまうのだ。

「うん、っ……」

 そわそわと期待しながら頷くと、ジョシュアは微笑ましそうな顔でベッドに腰を下ろした。
 となりに座って、どちらからともなく唇を重ねる。

「ん、ん……っ」

 軽く口付けを繰り返し、徐々に口を割り開いて舌を絡めあう。崩れるようにシーツへもつれていけば、寝衣を肌蹴られ、肌にもキスを落とされた。気付けば無防備な恰好で横たわっていた。
 愛撫は首筋、鎖骨、乳首へと移っていき、チロチロと舐められてくすぐったさと快感で腰が疼いた。

「ふっ……、んっ……」

 その最中、ジョシュアが真剣な目を乳首に向けてきた。

「ここ、プックリしてきたね。みんなに見られたら心配だから、いじらないほうがいいかな……」
「ぇっ」

 俺はちいさくショックの声を上げていた。
 本番前に毎回ここをたっぷり愛してもらうのがお決まりになっていたのに、これが省かれてしまうのか。見れば確かに以前よりも乳輪も粒もふくらんでいて、胸元で存在感を放っている。
 弟は困った顔で眉を下げる。

「みんなにじろじろ見られたら困るでしょう?」
「う、うん……」
「引退したらいっぱいさわってあげるね。いまは代わりに耳を開発してあげる」

 囁き声を流されて、んっ……と甘い声が漏れた。
 背筋にゾクゾクと期待が這いあがってくる。

「ん、もっとして。ジョシュア……」

 俺はジョシュアの首に腕を絡め、与えられる愛撫に身を任せた。








「ロイス、この書類だが――」

 職場の執務室でユリウス隊長に声をかけられ、俺は席を立って彼のもとへ向かった。
 ほんのりと漂ってくるのはシトラスの爽やかな香りだ。本来番契約を結べば他のアルファの香りはわからなくなるはずなのに、彼の香りだけは運命の番のせいか今でも薄っすらと嗅ぎ取れる。
 しかし俺は、それを誰にも知らせないまま胸に秘めている。嗅ぎ取れていることを知られたら運命の番に惹かれてしまうと言っているようなものだ。ユリウス隊長に期待させてしまうし、ジョシュアを不安にさせてしまうだろう。ユリウス隊長は「諦めない」という宣言通り、たびたび俺に熱情のこもった目を向けてくることがあるのだ。
 書類に関する話を聞いて、俺は頷いた。

「それなら倉庫に参考になる資料があったはずです。探してきます」
「私も行こう」

 ユリウス隊長が席を立って、俺は内心で動揺した。倉庫は地下の離れた場所にあって、人が来ることはめったにない。そんな場所にふたりきりになってしまっていいのだろうか。

「ひとりで探せますので」
「ふたりのほうが効率がいいだろう」

 ぐ、と二の句が継げなくなって飲みこんだ。
 離れた地下にある倉庫へランプを持って一緒に向かい、薄暗い倉庫の中で目当ての資料を手分けして探していく。倉庫は巨大で、長い年数蓄えられてきた資料を探すのは砂漠で砂金の粒を探すようだった。
 さらに密室で風がないせいで、ユリウス隊長を中心にシトラスの香りがどんどん濃厚に広がっていく。

 昨夜もジョシュアに愛された後孔がヒクンと疼いてきて、俺は焦った。
 番契約を結んでいるのに、運命の番のフェロモンにヒートを誘発されているのだ。

「あの……っ、時間がかかりますし、俺が探しておきますから。隊長は執務室にもどってください」
「構わない。探している資料がなければ仕事も進まない」

 ユリウス隊長は淡々としたまま資料棚の上のほうの木箱を取り、中の資料の束を取って表紙を確認していく。
 なんと言えばいいのだろう、と焦燥はさらに増していく。
 どうにか無心に徹して、資料の表紙を確認しているときだった。

「桃の香りが漏れているが……?」

 気付けば真後ろにユリウス隊長が立っていて、耳に静かな声を流しこんできた。
 俺はひっ、と細い悲鳴を上げて、棚に背中をぶつけた。

「番契約をすれば、オメガのフェロモンが漏れることはなくなる……。これはどういうことだろうな?」
「……気のせい、です。俺はちゃんとジョシュアの番になりました」
「この香りが、未だに私を求めているという証拠では?」

 棚を背にした状態で詰めよられて、逃げ場がない。
 優美な顔立ちが真正面にあり、その美しさと香りで背筋が震えてしまう。
 押し返せばよかったのだろうか、それとも「はなれて」と訴えればよかったのか。
 しかし本来番になるべきは彼だというように、本能が俺に動くなと言っている。いくら理性で動こうとしても、体が石像になったように動かない。
 そして俺は迫ってくる唇を俺は受けて入れてしまっていた。
 唇が離れたとき、ユリウス隊長は企むように微笑んだ。

「君と密室でふたりきりになるのは初めてだったな」
「えっ……」

 もしかしてワナに嵌められたのではないか、と気付いた。

「だ、だめです……っ」
「君が奪われたときから、考えていた――」

 ユリウス隊長は正気と狂気の狭間のような光を目に宿していた。

「運命の番である私がうなじを噛めば、他のアルファの番にされてしまったとしても、契約を上書きできるのではないかと」

 俺は唖然として聞いていた。
 そんなのはふざけた願望だ。
 しかし、できるかもしれない、と本能が期待を膨らませている。





つづく
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