【完】オメガ騎士は運命の番に愛される《義弟の濃厚マーキングでアルファ偽装中》

市川パナ

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IFエロ

IF:運命の番になんて負けない!マイルズ先生とHな治療②

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 先生は丁寧に言い聞かせる。

「ロイス様。精液を全て出しきることが今回の目的なのです」
「……?」
「まずは限界まで我慢してから射精してください」
「……?」

 たっぷりと出す? 我慢してから射精?
 わからずに瞬いていると、先生は「お任せください」とまた柔和に微笑んだ。口角はいつもよりも上がっているように見える。

「まず、予期せず射精してしまわないように根元はきつく握っておきます」
 言いながら握られ、ビクン、と腰が跳ねる。
「先走りがたくさん出ておりますので、前後にしごくだけでぬめって気持ちいいでしょう」
「! ぁ、っ……!」
 先生が手を動かすと、陰部からにゅこにゅこと粘性の水音が立つ。
 先ほど絶頂寸前だったこともあり、すぐに射精感は訪れた。しかし、根本を握られている。このまま射精したら逆流する? 何も出ないだけ? どうなるのだろう。先生は絶頂を我慢するようにと言っていたので、なんとか耐える。

「いいですよ……これから100からカウントダウンしますので、0になったら射精してください」
「……ッ!?」

 100、はもたない。と思って激しく首を振るったけれど、先生は有無を言わさずに口を開いた。

「100,99,98,97,96,95,……」
「んッ、ぁあ……はあぁっ……!」

 イキたい。イキたいけれど、駄目だ。我慢しないといけない。
 
「89,88,87,86,85,……えらいですよ……」
「ぉっ……ぁふっ……フッ、フッ……ンンン……!!」
 まだまだ先だ。しかしもう限界だった。

「79,」
「ぁッ、イっ……!」
 絶頂しかけた瞬間、両手を放された。愕然とした。すがるような思いで先生を見る。
 先生は薄い微笑を浮かべて、また根本を握った。

「続けますね、ロイス様」
「ぅッ……!」
「これも騎士を続けるためですよ。78,77,76,75,74,73,72,……」
「っ……くぅッ……、ぁあ……ぎっぃ……!」

 腰が激しく痙攣しているが、先生が根元を抑えた出てベッドへと押し付けてくるため、それも抑えこまれる。
 きし、騎士。そうだ、騎士を続けるためだ。俺は全身汗みずくになりながら、どうにか絶頂するのを堪えた。

「69,68,67,66,65,64,……」
「んぁッ……あぁ、ひッ……ぐぅ……!」

――それにしてもカウントが減らない。まだ半分にもいっていない。

「59,58……」
「んぁあッ……ッ……!!」
 50の桁に入ったところで限界を迎え、また先生は両手を瞬時に放してしまった。

「フゥーフッ……ハァッ……ハ……」
「落ち着いてきましたか? 再開しますね」
 頂点の快楽がわずかに落ち着いてきたところで、残酷なタイミングで合図をかけられる。

「57,56,55,54,……」
「んん、……ぅ、んんんッ……!!」
 俺はもう何だか泣いてしまいそうだった。精液を出し切るっていうのは、こんなにつらい治療だったのだ。やめたいけれど、これも騎士を続けるためだ。それに一人では到底できないだろう。何度も中断させてしまって申し訳ないけれど、最後まで先生にお願いするしかない。先生の手を煩わせないように、せめて必死にがまんするしかない。

「49,あと半分です。がんばってくださいね」
「んふぅぅッ……!」
 はいと返事をしているのか、早くカウントしてくれと懇願しているのか、多分その両方だった。腰を振りたくってしまいそうになるけれどやはり先生に抑えられており、動けないまま悶絶する。先走りの量は酷いことになっており、陰嚢や肛門までも濡らしきっていた。48,47,46,45,……と数える声が遠く聞こえる。

「39,38,37,36,35,……」
「ぁっっ……ひっ……ひぐっ……」
 30台だ。体の大きな痙攣は過ぎ去り、小刻みに全身がブルブルと震えていた。瞳が上まぶたのほうを向いてしまっていて、世界が揺れて、眩暈に似た感覚が起こっている。

「29,28,……」
「んぉっ……ぁ……っ……っ……」
 20台になった瞬間、不意に絶頂しそうになり、またしても先生の手が離れていった。あと少しだからがんばらないといけない。すこし? いや、ごぶんのいちくらい残っている。まだまだだ、と愕然とする。
「続けますね」と合図されてまたカウントが再開された。

「27,26,25,24。えらいですよ。治療をがんばって、これからも騎士を続けましょうね。23,22,21……」
「ぁぅっ……ひっ……ヒッ……」
 優しい声援がとても嬉しくて力がみなぎってくるけれど、その間にカウントが止まってしまうので生殺し状態だった。小刻みな痙攣は止まらず、足先が丸まって、先生の体を両脚でつよく挟みこんでしまっている。迷惑だろうと思うけれど、広げようとしてもすぐに閉じてしまう。恥ずかしい。

「19,18,17,16,15,……」
「っ……っ……」
 10台に到達した。あとすこし、本当にもうすこしだ。首がのけぞったまま、先生の声に合わせて脳内で一緒にカウントしていく。酸欠なのか手の指先の感覚が痺れている。カウントが減らない苦しさの他に、射精することへの期待が芽生えていた。用意するかのように、ガクッガクッと腰が大きく跳ねてくる。
 そして。

「10,9,8,7,6,……」
「ぁああっ……んぁあっ……ッ!」
 もうすぐだ。もうすぐイケる。絶頂できる、全部出せる。先生の声が心なしか大きく響いて聞こえる。しごく勢いも激しさを増しており、先生の手によって全身が支配されている。

「5,4,3,」
「ひッ……、くうぅッッ、ッ……ッ……!」
「2,1,」
「ンンぅぅぅーッ」
「…………0」

 根本を止める手が解放された瞬間だった。俺は盛大にのけ反り、射精した。

「――ぁああ゛あああぁッ!!」

 喉が割れんばかりの声が溢れて、がくんがくんとエビのようにベッドを跳ね、精液をぷしゃぷしゃとまき散らす。こんな射精したことない。先生に精液がかかってしまうけれど、体を制御できない。先生はしごく手を止めず、さらに射精を促すように玉まで揉み込んでくる。せり上がった玉が刺激されて本当に一回の射精で空っぽになってしまいそうなほどに精液が噴出する。このままだと頭がおかしくなってしまうんじゃないだろうか。先生はお医者様だから任せてしまっても良いはずだ。

「っせ、んせッ……ぇッ……ッ!!」
「ええ、出し切れるだけだしきってくださいね」
「は、いィッ……!!」

 頼もしい微笑みに力づけられ、俺はまた思いきりのけぞった。びゅくびゅくと精液が飛び散る。壊れてしまったようだけれど、だいじょうぶだ。治療なのだ。
 何も出なくなった、と思ったら、今度は先端を再び手の平でくるくると回される。

「ぃぎッ……!!」
「射精後はここがすごく敏感になりますからね。愛撫すると気持ちいいでしょう」
「……んはッ……い゛……ッ!!」

 気持ちいいを通り越して死んでしまいそうだったけれど、だいじょうぶだ。治療なのだ。腹筋が震えて、尿道からプシャッと何かが迸った。まさか先生の前で粗相してしまったのだろうか。

「――潮ですね」
「しッ、おッ……?」
「気持ちいいと出るものなので、お気になさらなくていいですよ」
「んは、ぃッ……!」
「ですが今は治療中ですので、もっと精液を出しましょうね」
「す、み゛、まっ……ッ」
「搾り取りますので、がんばりましょう」

 俺はのけぞったまま頷いた。口端からよだれが垂れ流れているが、拭う余裕はなかった。

「子宮も一緒に圧迫いたしますね」
「ンおぉぉッ……ッ」

 ぐいと押されて、脳内で強烈な閃光が迸る。脳が焼かれていくようだ。尿道がくぱくぱと開閉して、先端からぴゅくりと液が出た。

「ひぃ……ンっ」
「精液が出ましたね。その調子ですよ。ですが量が少なくなってきましたので……」

 先生が一度言葉を止める。
 見つめれば、柔和に微笑む顔があった。

「もう一度カウントダウンしましょうか。100からです」







 ふと気づくと、額の汗を拭われていた。マイルズ先生が後片付けしてくれたようだった。
 何か伝えようとしたけれど、頭がぼやぼやと霞んでいて、全身はびくびくと痙攣しており言葉にならない。

「おつかれさまでした。すっかり精液は空になられましたので、今日の治療はここまでにさせていただきますね」

 そうだった。治療していたのだ。俺はこれで、騎士を続けられる。運命の番に出会っても反応しないだろう。

「これでも運命の番に反応してしまった場合は、直腸を刺激して性欲を発散させる方法を試しましょう。経過を見てご相談ください」

 せんせい、ありがとうございました。かすれた声でお伝えすると、先生は至極満足そうに頷いた。




おわる

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