燦燦さんぽ日和

加藤泰幸

文字の大きさ
上 下
13 / 54
竜伐祭編

第七話/昼下がりのチヌ(前編)

しおりを挟む
 海桶屋の一階中央フロアはあまり使われる事がない。
 使う機会があるとすれば、センダンのくだらない思いつきを実行する時、
 或いは、何かしらの打ち合わせをする必要がある時位のものである。

 この日、ゴウ・ゴダイゴの姿は、その海桶屋一階中央フロアにあった。



「それじゃあ、祭事実行委員の仕事を簡単に説明するぞ」
 そう言ったゴウの口調には、やや投げやりな所がある。
 胡坐をかいて座している彼は、だるそうに頬杖をついていた。
 眼前のヒロとセンダンを見据えている細くタレ気味の目にも、いまひとつ生気は感じられない。


「へいへい、ゴウ君、やる気あるのー?」
 センダンが野次を飛ばす。
 しかしながら、団扇で自身を扇ぎながら、足を投げ出して座っている彼女にも、
 ゴウの話を真剣に聞く気があるとは言い難いものがある。

「ありますよ」
 ゴウが変わらない口調で返事をする。
「その割には適当な構え方じゃない」
「あるけれど、暑くてしんどいだけです」
「なにそれ。頑張ってちょうだいよ」
「まあまあ、センダンさん」 
 ヒロが間に入ってセンダンを宥めた。
「暑い外を歩いて説明に来てくれたんですから、仕方ないですよ」
「ふむう」
 センダンが唸る。
 六月も下旬ともなれば気温は日に日に上がり、何かしらの涼を取らなくてはやっていられない。
 ヒロの言う事ももっともだと思ったのか、団扇をゴウに向けて扇ぎだした。


「……?」
「どぞ。どうぞ、ゴウ先生」
 センダンの喋り方は馬鹿丁寧だ。
「……いや、そこまでしなくとも」
 どうしたものかと、軽くパーマの掛かっているブラウンヘアーの頭を掻くゴウ。
「そのうち飽きるから、遠慮なく話してくれて良いよ」
 ヒロが淡々と言う。
 その一言に、異議有りと言わんばかりにセンダンはヒロを睨み付けてくる。
 団扇で他人を扇ぎながら睨み付けても、怖いものではない。





「そうか。それじゃあ……」
 ヒロの言葉を受けたゴウは頬杖をつくのを止めると、両手を膝の上に置いて話し始めた。

「まず、祭事実行委員の班は大きく四つに分かれているんだ。
 一つ目が総合。全体の統括をする班で、当日のステージ管理や会計も総合に入る。
 次に広報。案こそ全員で出す事もあるが、実際の広報作業は専属の担当者が請け負う。
 三つ目が保安衛生。当日の警備や出店の衛生管理だな。
 そして最後に設営。ブースやステージの設営や、職人さんが造った竜を設置したりもする」
「なんだか、どれも責任が大きそうだね」
 ヒロが不安そうに言う。
「そりゃあ、当然だ。どれが欠けても成り立たねえよ」
「お婆ちゃんは総務になるの?」
「そういう事になるな」
「それじゃあ私達は?」
 そう聞いたのはセンダンだ。
「俺もセンダンさんもヒロも、皆設営です。若手は大体設営に組み込まれます。
 肉体労働担当って事ですね」
「へえ。なかなか楽しそうじゃない!」
「いや、僕はそうは思いませんが……筋肉痛になりそうだなあ」
 身体を動かす事を好むセンダンと、インドア派のヒロの反応は対照的だった。



「で、設営の仕事なんですが……」
 ゴウの説明は続く。
「さっきも話した各種ブース用のテントやステージの設営。これがまず一番大きな仕事です。
 竜の設置もなかなか大掛かりな仕事になりますね。
 照明の設置や客席の準備といった、当日利用する物の準備も、大抵は設営班が請け負います」
「……ちょっとハード過ぎない?」
 ヒロの声は沈む一方である。
「楽じゃないが、その分人員も多いから、あまり気負うな。
 後は、祭りの最中は総合班のヘルプに入る事になる。
 後片付けもあるにはあるが……これは全員でやる事だな」

「今すぐやる仕事はあるの?」
「おお。それも話そうと思っていたんだ。
 実は、さしあたってする事は殆どない。今忙しいのは広報だな。
 俺達の仕事は……総務班のベラミさんが出店希望者を管理しているから、
 来月にでも、テント設営の為にベラミさんと打ち合わせに行くぞ」
「打ち合わせって、何も知らない僕が役に立つの?」
「経験しておけば、来年はこの仕事をお前に振れるからな」
「了解」
 素直に頷くヒロ。
 だが、その隣のセンダンは両腕を組んでなにやら考え込んでいる様子だった。


「……むう」
「どうかしましたか?」
 ゴウが聞く。
「……ベラミーンってまだ二十代前半じゃなかったっけ。設営班じゃないの?」
 妙な呼び方である。

「ベラミさんはギルドの職員ですからね。総務にいると何かと助かるんでしょう」
 ギルドは、その昔は旅人をサポートする施設であったが、現在は国の管理する観光案内所である。
 兄花島にも、小規模ながら支部が存在しており、国家公務員が勤務している。
 ゴウらが話す、猫亜人のベラミ・イスナットもその職員の一人だった。
 
「な~る」
 ぺち、と音を立ててセンダンが手を打った。
 どうやら、合点がいったようである。










 燦燦さんぽ日和

 第七話/昼下がりのチヌ










「さて。仕事の内容はざっとこんな所だ。質問はあるか?」
 ゴウはそう言って、一つ息を付く。
「あれ、こんなものなの? もっと具体的な話があるのかと思ったわ」
「今のうちに詰め込んでも忘れるかもしれませんから、それは直前にしましょう」
「そか。それもそうね」
 センダンはあっさりと引き下がる。

「ゴウ君、良いかな?」
 入れ替わりにヒロが手を上げた。
「ん。なんだ?」
「祭りの当日なんだけれど、さすがにウチもお客様は入ると思うんだ」
「ま、そりゃあ祭りの日位はね」
 センダンが相槌を打つ。
 それに軽く会釈を返して、ヒロは言葉を続ける。

「で、お客様が来ると、僕もセンダンさんも祭りの手伝いが難しくなるんだけれど……どうしたものかな?」
「それは店の方を優先しろ」
 ゴウはあっさりと言ってのける。
「でも、そっちは人手が不足するんじゃない?」
「大丈夫だ。この間打ち合わせに来ていたのは一部だ。
 設営班はまだ他にも数十人いるから、なんとかなる。
 他の奴も、仕事に支障が出ない範囲の参加だから気にするな」
「分かった」
 少々緊張感の篭った声で返事をする。
 分かりはしたが、できれば都合をつけて当日も参加したい気持ちはある。
 それに、竜の花火を見てみたくもあった。




「他に何もなければ……ヒロ、ちょっとこれから付き合えよ」
「「ん?」」
 ゴウの突然の言葉に、ヒロとセンダンの声が重なった。
 それから、鏡写しのように互いの顔を見やる。

「何かあるの?」
「さあ」
 センダンの問いに、肩を竦める。


「釣りだよ、釣り」
 ゴウは右手を前に突き出し、釣竿を引くような仕草をしてみせた。
「どうせ店は暇なんだろ? 今から釣りに行くから、お前も付き合え。決定」
 相変わらず横暴である。
 とはいえ、数少ない友人の遊びの誘いである。
 店が暇なのも事実だった。


「まあ……暇といえば暇だけれど……」
 ちらり、と横目でセンダンを見やる。
 遊びと聞けば、センダンが黙ったままだとは思えない。
 ずるいだの、自分も行きたいだのと言い出すのではないだろうか。



「センダンさん、そういうわけで、ヒロをお借りして良いですか?
 近くの防波堤で釣りますから、客が来る事があれば、呼び戻しに来てくれて構いません」
 ゴウもセンダンの反応が気になったようで、センダンの機嫌を伺うように尋ねる。

「いいねえ、釣り。行ってらっしゃい」
 センダンは予想外にも満面の笑みでそう言う。
(あれ……意外と良い反応?)
 肩透かしを食らい、きょとんとした表情で頭を掻く。
 そんなヒロに向かって、センダンは力強く親指を突きたてた。



「釣った魚は、留守番代として私が多く食べるからね! 頑張ってくる事!」
 彼女の満面の笑みは、よくよく見れば拒否を許さぬ笑顔だった。







 ◇







 海桶屋を出ると、島の南北に通じる道が伸びている。

 その道を挟んだ反対側にフタナノ海が広がっているのだが、道とフタナノ海の間には手すりはない。
 その代わりに石段があり、そこを下りて海に行く事が出来る造りになっている。

 釣りはその石段でも出来るのだが、ゴウは石段を下りずに南側に通じる道を歩いた。
 釣具を手にして麦藁帽子を被ったヒロも、それに続いて歩く。
 道の先には船着場があり、そこを囲うようにして防波堤が伸びている。
 ゴウに誘われた時だけ釣りをするヒロには良く分からないのだが、ゴウ曰く、近辺では防波堤付近が一番釣れるらしい。



「やっぱり外は暑いな……」
 前を歩くゴウが気だるそうに呟く。

 その言葉に反応して空を見上げるが、陽の光があまりにも眩しい為に、すぐ視線を地面に落とす。
 ただでさえ怖いと言われるヒロの目は、細める事で更に威圧感が出てしまう為、眩しいものはあまり見たくなかった。
 だが、そうしてただ歩いているだけでも、暑さは感じられる。
 地面からの照り返しもきつく、全身を包まれるような蒸し暑さである。
 人間にとっては辛い暑さでも、虫にとってはそうでもないのか、名前も分からない虫が遠くでキィキィと鳴くのが耳に届いた。

「もうすぐ七月だもんねえ」
「六月末でこれなら、夏が本番になればどれだけ暑いんだろうな……」
 その言葉を聞くだけで、暑さが増したような錯覚を覚える。
 夏が嫌いというわけではないのだが、やはり極端に暑い状態は好ましくない。
 麦藁帽子を被ってきたのは、正解だったようである。





 途中で誰ともすれ違わず、二人は防波堤に着いた。
 防波堤の奥まで進むと、ゴウが足を投げ出して防波堤に座る。
 それに習って、ヒロも隣に腰掛けた。 

「餌、自分で付けられるか?」
「子供じゃないんだから」
 ゴウの気遣いを笑い飛ばし、釣竿を地面に置いて糸を手繰り寄せる。
 ゴウがオキアミを用意してくれたので、釣り針を隠すようにしてオキアミを刺した。
 重りやウキは事前に付けていた為、これで準備は完了である。
 隣のゴウは手馴れたもので、ヒロが準備を終える頃には既に釣り針を海中に沈めていた。



「よいしょっと……ねえ、ゴウ君」
 遅れて釣竿を振ってから、ゴウの方を見る。
「あん?」
「ゴウ君ってさ。心配性だよね」
「はあ……?」
 予期せぬ言葉だったようで、ゴウの声は裏返り気味だった。

「昔から、事ある毎に『大丈夫か』『できてるか』って聞いてくるじゃない」
「……そうか?」
 今日だってわざわざ説明しに来てくれたし、餌の心配までしてくれるし」
「俺が誘ったんだから、そんなの当然だろ」
 怒ったような口調でそう言われるが、本当に怒っている様子はない。
 むしろ照れているのか、腰に括りつけた信玄袋から煙管を取り出すと、やや早いペースでそれを噴かし始めた。

 そんなゴウの様子に苦笑を零して、ヒロは視線を前に戻す。
 海上には何も浮かんでおらず、ウキは反応を示していない。
 そのまま、ヒロは海を眺め続ける。
 隣のゴウも、何も物言わずにただ釣竿を握っている。
 初夏の海を前に、二人は暫く黙って釣りを続けた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...