良いものは全部ヒトのもの

猫枕

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 「え?知り合いなんですか?」

 ミリアムの問いに

「王立学園で同級生だったんだ」
 
 とダニエル。

「エエ~!同級生?とても見えない」

「どういう意味だよ」

 既にご機嫌ナナメなグリッター。

「え、だってダニエル様は落ち着いていらっしゃるけど、グリ・・・スローン様は・・・何て言うか・・・若々しい?」


「どうせ子供っぽいって言いたいんだろ?」

 聞こえなかったふりをして。

「お二人は仲が良かったのですか?」

「・・・い・・・・や・・・・」

 言葉を濁すダニエル。


「ふん!!コヤツはいつも女どもに囲まれてニヤケておって、到底 硬派な私とは話が合わんかったからなあ!」


「グ・・・スローン様ってモテなかったんですか?・・・気にしなくっていいですよ、私もモテませんから。
 ・・・でも、私はブスだけど、スローン様のルックスと家柄をもってしてもモテないって、・・・人格が破綻しているとしか・・」


 「アーサーはビン底メガネをかけていたから女の子達は彼の美貌に気づかなかったのさ」


「フン!親切面して他人を貶める手法は健在のようだな、ダニエル・ショーン」

 グリッターはダニエルを睨んでいる。
 青春の恨みは深いのだ。

「プッ分かりますよ。私だって、

 東ニ パリピ イルトキケバ イッテ オンゲンノ コンセントヲヌキ

 西ニ リア充 イルトキケバ イッテ トナリノ テーブルデサワグ

 みたいな気分になるもん」

 「オヌシのような性悪がフェアリーちゃんに悪影響を与えるのを危惧しておるわ」


 「その性悪のお陰で妖精にならずにすんだんだからお礼を言っていただきたいくらいだわ!」


 「・・・?妖精って?」


「妖精と言うのはですね、ダニエル様。東の国に伝わる・・・」


 「やめろ~やめろ~」

 グリッターがミリアムの口を押さえる勢いで阻止してくる。

「この魔女が!今日は一段と魔女らしさに、磨きがかかっとるわ!」


「あ~ら、お褒め頂き嬉しいですわ。

 御期待に応えて魔女が呪いをかけて差し上げますわ」

 そう言ってミリアムは花瓶から一本の赤い薔薇を引き抜くと、魔法使いのステッキのように持ってクルクル回し始めた。


「シャイニーが男の子を生んで、子供に夢中になってグリッターに見向きもしなくなるぅ~」


 「ヤメロ~!、ヤメロ~!」

く~る く~る


「エイ!!」


 「ヤ~メ~ロ~!!」

 グリッターは床に膝をついて項垂れた。

「なんかコイツら仲良いな」

「そうなんですの。会うといつもこんな感じだから私も妬けちゃって~」

 シャイニーはフフフと笑った。




 「なんか、さらっと聞き逃しそうになったけど、さっきミリアム嬢はアーサーのことグリッターって言わなかった?」


「え?・・あの・・・言いましたっけ?」

 「言った言った、聞いた聞いた」


「・・・・・」 


「お前、グリッター・ボーンなの?」


 グリッターは真っ赤な顔をしてミリアムを睨み付けている。


「あ・・・あの・・・作家活動をしていることは侯爵家から認められていなくて、秘密なんだそうですから・・・このことは・・・」

 「わかったわかった、内緒ね。・・・
へー、アーサーがグリッターか。

 すごいじゃないか。竜の玉座シリーズ?だっけ?あの、ほら、内気な虐められっ子が実は竜魔王の末裔でってやつ。

 ての甲にピキーンって紋様が現れて、印を結ぶと旋風が起こるんだよな」

「やめろ~、馬鹿にしてんだろ。ハイハイお前のは大人のミステリーだもんな!!でも発行部数じゃボクの方がずっと勝ってるから!」

「馬鹿になんかしてないさ。すごいよ、10ヵ国語に翻訳されてるんだろ?」

「ま、・・・まあな」

「しっかし、ペンネームのセンス・・・

 グリッター・ボーンギラギラの骨って」

 一言多いダニエル。

「なんだか永遠の王立学園中等部2年って感じですよね」

 つられて要らんことを言うミリアム。

 皆で肩を震わせていると、

「ヒドイよ、フェアリーちゃんまで笑って」

 「ち、違うんです。・・・アーサー様が可愛いらしくって、・・・ね?」 

 シャイニーが宥めると途端にグリッターの顔がフニャっとなる。

  せっかくグリッターの機嫌が直りそうなところに、

「フェアリーちゃん?・・・アーサーは細君のことをフェアリーちゃんって呼ぶのかい?」

 また余計なことをとミリアムが溜め息をついたとき、一人の男性が現れた。

 







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