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しおりを挟む有難いことにミリアムの両親は娘を可愛がってくれた。
そのためミリアムは今回の婚約破棄に際してあまり咎められることもなかった。
また、普段からクロードがミリアムに対して聞くに耐えない暴言を繰り返していたという複数の証言もあったため、ロイド家が支払ったのは比較的少額の慰謝料だけだった。
ただ学校ではクロードが特大大盛で吹聴しまくってくれたお陰で、廊下を歩けば違う学年の子達からまで、ゴリラ女と呼ばれるようになった。
当のクロードはブスゴリラと呼んでいるのだが。
まあ、この程度の痛手と引き換えにクロードと結婚せずに済むのなら、むしろ良かったと思うミリアムではあったが。
ただ、既に縁の切れた筈のクロードが時々やって来てはミリアムのせいで美しい顔が台無しだと絡んでくるのはうっとおしかった。
「そんなことありませんよ。
いかにも子爵家の次男ってお顔ですけ
ど」
半笑いで言ってやると、癇に障ったのか、毒を吐きながら帰って行った。
あ~あ、しかしなあ。
昼休みの中庭で弁当を食べ終わって空を仰ぐ。
一人っ子のミリアムは婿を取って家を継ぐ運命にある。
そのうちまた どこかから適当な縁談が持ち込まれて見合いみたいなことをさせられるんだろうな。
顔合わせで、私の顔を見た瞬間、相手はあからさまにガッカリした顔をするんだろうな。
そして私も、なんかスミマセン、みたいな顔をしちゃうんだよな。
溜め息でちゃうよ。
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