そして私は惰眠を貪る

猫枕

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26 ここまでのあらすじ

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 リーヴィア・リュネールとラルス・ヴァルノーは親同士が親友だと言う理由で、生まれた時から婚約者にさせられている。

 ハンサムで外交的なラルスと内向的なリーヴィア。

 幼少期は仲良く過ごしていた二人の間には成長と共に距離ができていく。  

 婚約者がいることを揶揄われたラルスは学校でリーヴィアに冷たい態度を取るようになり、それはいじめという形で周囲にも伝播していった。

 その頃ラルスは自分の両親がリーヴィアの両親を奴隷認定しており、決して両者が親友ではないことを知る。
 
 リーヴィアとは気が合わないから婚約を解消して欲しいと母親に懇願するも聞き入れて貰えないラルス。 

 なぜ母親がそこまでリーヴィアとラルスの婚姻に執着するのか理由が分からないラルスだったが、とにかくリーヴィアを不幸にしない為にもこの結婚は回避するべきだと思っていた。
 
 一方のリーヴィアも『いわゆる合わない』ラルスとの結婚には不幸しか見出だせなく、どうにか回避しようと自分の親やヴァルノー家に働きかけてはいたがいずれも不発に終わっていた。

 ラルスは財閥のお嬢コリーナ・ダ・シルバを人目も憚らず連れ歩き、学園一の美男美女カップルは皆の羨望の的で、それを邪魔するリーヴィアは『愛されてもいないのに婚約者にしがみつく惨めな女』として陰口や嫌がらせの対象となっていた。


 そんなリーヴィアには殆ど唯一といえる親友ヴェリタス・フォンヌがいて、二人は共通の趣味であるヲタ活をしてつまらない学園生活を乗り切っていた。

 リーヴィアを支えていたのは小説〝月光騎士団〟の世界に没頭することだった。

 お互いが望んでいないのに、なぜか出来ない婚約解消。

 リーヴィアは遊びに行ったヴェリタスの家で、ヴェリタスの母からその意外にも馬鹿馬鹿しい理由を明かされる。

 リーヴィアのリュネール家には先祖が月から来た、という与太話(伝説)が伝わっており、リュネール家の面々はそんなことは言われなければ忘れているし、なんなら恥ずかしいから触れないで欲しいと思っている。

 しかし、この世に唯一人、そんな嘘っぱちの作り話を信じている人物がいた。

 ラルスの母、ヨハンナ・ヴァルノーだ。

 どうやら彼女はリュネール家の血を継いだ人物に示されるという『財宝に導く月の道』を信じているようで、自分の息子ラルスとリーヴィアとの間に未来に生まれてくる子供こそがその人物に違いないと思い込んでいるようなのだ。

 あまりのアホらしさに脱力するリーヴィアだったが、一向に婚約解消の糸口が見つからないまま学園の卒業が近づいてくる。

 リーヴィアは新たにジャンという親友を得て、リーヴィア、ヴェリタス、ジャンという三人で学園生活を乗り切っていた。

 卒業が迫ってきたある日、ヴァルノー家に呼び出されたリュネール一家はラルスの母ヨハンナから既に結婚式の日取りも決まり準備も整っている、と聞かされる。

 まさに青天の霹靂。

 大学に行けないと知ったリーヴィアの魂が抜け落ちたような絶望の顔を見て、ラルスはどうにかしなければと考える。

 ラルスは大財閥の娘コリーナ・ダ・シルバにプロポーズをし、リュネール家との縁談を破談にすることを画策するが、コリーナから断られてしまう。

「お互い割り切った関係でしょ?」

 自分なりに真剣にコリーナを愛していたラルスはコリーナの言葉に呆然とする。

 困ったラルスはリーヴィアの親友ヴェリタスに助けを求める。

 そこでラルスは母ヨハンナがリーヴィアに執着する本当の理由、『月の道』について聞かされる。

 ラルスは絶対にこのバカげた結婚を回避しなければいけない、と決意を新たにする。

 そしてコリーナの協力の下、あたかもラルスとコリーナの間に肉体関係があるかの如き『浮気現場』を作り出し、『不貞行為による自分有責の婚約破棄』という捨て身の作戦に打って出る。
  
 だがしかしヨハンナはしぶとかった。

 国の内外から要人を招待した大聖堂での結婚式。

 今更中止にするというのなら、全てリュネール家が費用を持つのよね?

 と。

 婚姻中止によって失くした世間からの信用について、我が家はリュネール家に損害賠償を請求する用意があるわよ。

 と。

 そちらが婚約解消を要求すると言うのなら、こちらはその要求には応えられないと裁判を起こすわよ?
 何年だってリーヴィアを拘束し続けるわよ?

 と。

 一度噛みついたら絶対に離さないスッポンのしつこさでリーヴィアに粘着するヨハンナ。

 結局、離婚前提でヴァルノー家に嫁ぐことを了承するリーヴィア。

 妻の役目は一切免除。

 毎月十分な小遣いをもらって、離婚の際は表向きは不妊等のリーヴィア側の有責を受け入れる代わりに、その後の人生が楽に送れるくらいの財産分与を受ける。

 そのような条件を弁護士に書類作成してもらい、リーヴィアは形だけのラルスの花嫁になった。

 

 

 
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