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良い人・・・なのかなぁ?
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「そんなの女性に失礼じゃないか!」
突然アベルが激昂した。
エリーもニールセンもびっくり。
「女性は男性に大人しく付き従っていればいいなんて、そんなの俺は許せないよ!
この世界は男だけで成り立ってるわけじゃないのに男達が勝手な正義を振りかざした結果が先の大戦じゃないか!
沢山の人達が死んで、女性や子供を飢えさせて、国土は灰燼に帰した!
もし女性にも同等の権利と意見の表明の機会が保証されていたら違った結果があったかも知れないと君は思わないかい?」
「・・・・まあ、そうだな」
「俺はエリーがただ男に守られて安心しているだけの女性だとは思っていない。
というか、そうあって欲しくない!」
「・・・・」
いやぁ、別に言ってることは間違ってはいないと思うけどさ。
「・・・・アベルさんが良い方なのだということはなんとなく理解できました(個人的には付き合いたくないけど)」
するとアベルはエリーに歩み寄り両手を包みこんで、
「君ならわかってくれるって思ってたよ」
と超絶美しい微笑みを向けた。
「え?いや、あの、人間的には尊敬できる部分があるとは思いますが、男性として好きになれるかと言われると、ちょっと、まだ」
「ええ、ええ、お互いに尊敬できる、それが一番大切なことですよね。
俺はね、尊敬の無いところに愛は無いって常々思っています」
無駄に美しい。
そして話が通じない。
「アベル、真面目なのは良いけどさ、ちょっとは女の子を楽しませる工夫をしないとさ」
「戦勝祈念館は良くなかっただろうか?
歴史好きだというから喜ぶかと思ったんだが」
「もうちょっとさー。例えばザ・パーク・オブ・メディーヴァル・ワールドとかさ。中世の町並みが人気で流行ってんじゃん」
「あんなのはハリボテだ!」
「「・・・・・」」
「あんなまやかしの世界で躍らされて喜んでるのは愚民どもだけだよ。ま~さ~に、愚の骨頂!!」
もう何度も女の子を連れてイチャイチャ楽しんでいる愚民Aニールセン。
そしてまだ機会が無くて行ったことは無いが是非行ってパーク内でしか手に入らないという限定グッズを買ったり期間限定のスイーツを食べたりしたいと思っている愚民Bエリー。
『この人と結婚しても、将来何かやりたいとか何処か行きたいとか言う子供達の希望が逐一〈愚の骨頂〉の一言で頭ごなしに否定される未来しか見えない』
頑固親父。
顔の良い頑固親父・・・・そんなの・・・要らん。
「あの?先程のアベルさんの発言によると、たとえ女性であっても個人は自由意志をもって自分の意見を表明する権利があるというお考えで間違いありませんか?」
「そ、そうだよ。公共の利益に反しない限りは個人の自由は尊重されるべきだ」
「安心しましたわ」
エリーはにっこり笑ってみせた。
「で、できればアベルさん、なんて他人行儀な呼び方はやめてほしいな」
エリーを懐柔できたと勘違いしたアベルが頬を赤く染めて微笑んでいる。
「私!私メディーヴァル・パークに行ってみたかったんですの。
昨日本屋さんでエディ・モーガンに会ったんだけど、
『とっても良かったよ』って教えてくれたんです。
私がまだ行ったことがないって言ったら、今度連れて行ってくれるって言うから行ってきますわね」
「ああ、そりゃ良い!行って来い、行って来い」
愚民扱いされたニールセンも援護する。
「エ、エディって?だ、誰だ?」
「高等科の時のクラスメイトですわ。
学生時代からの仲良しですの」
「エリー、カボチャの馬車のメリーゴーラウンドがあるんだけど、あれに乗って3周回ったところで告白されると幸せなカップルになれるんだってよ(噓)」
「ええ?エディが『一緒にメリーゴーラウンドに乗らない?』って言ってたのってそういう意味?」
「待て待て待て待て待て、待ってくれ」
慌てるアベル。
愚民兄妹がアベルに冷たい視線を向ける。
「お、お、俺が行く!俺が行くから、だから、他の人とは行かないでくれ!」
ニールセンがニヤニヤしながら言った。
「いいのか?オマエも愚民の仲間入りだぞ?」
突然アベルが激昂した。
エリーもニールセンもびっくり。
「女性は男性に大人しく付き従っていればいいなんて、そんなの俺は許せないよ!
この世界は男だけで成り立ってるわけじゃないのに男達が勝手な正義を振りかざした結果が先の大戦じゃないか!
沢山の人達が死んで、女性や子供を飢えさせて、国土は灰燼に帰した!
もし女性にも同等の権利と意見の表明の機会が保証されていたら違った結果があったかも知れないと君は思わないかい?」
「・・・・まあ、そうだな」
「俺はエリーがただ男に守られて安心しているだけの女性だとは思っていない。
というか、そうあって欲しくない!」
「・・・・」
いやぁ、別に言ってることは間違ってはいないと思うけどさ。
「・・・・アベルさんが良い方なのだということはなんとなく理解できました(個人的には付き合いたくないけど)」
するとアベルはエリーに歩み寄り両手を包みこんで、
「君ならわかってくれるって思ってたよ」
と超絶美しい微笑みを向けた。
「え?いや、あの、人間的には尊敬できる部分があるとは思いますが、男性として好きになれるかと言われると、ちょっと、まだ」
「ええ、ええ、お互いに尊敬できる、それが一番大切なことですよね。
俺はね、尊敬の無いところに愛は無いって常々思っています」
無駄に美しい。
そして話が通じない。
「アベル、真面目なのは良いけどさ、ちょっとは女の子を楽しませる工夫をしないとさ」
「戦勝祈念館は良くなかっただろうか?
歴史好きだというから喜ぶかと思ったんだが」
「もうちょっとさー。例えばザ・パーク・オブ・メディーヴァル・ワールドとかさ。中世の町並みが人気で流行ってんじゃん」
「あんなのはハリボテだ!」
「「・・・・・」」
「あんなまやかしの世界で躍らされて喜んでるのは愚民どもだけだよ。ま~さ~に、愚の骨頂!!」
もう何度も女の子を連れてイチャイチャ楽しんでいる愚民Aニールセン。
そしてまだ機会が無くて行ったことは無いが是非行ってパーク内でしか手に入らないという限定グッズを買ったり期間限定のスイーツを食べたりしたいと思っている愚民Bエリー。
『この人と結婚しても、将来何かやりたいとか何処か行きたいとか言う子供達の希望が逐一〈愚の骨頂〉の一言で頭ごなしに否定される未来しか見えない』
頑固親父。
顔の良い頑固親父・・・・そんなの・・・要らん。
「あの?先程のアベルさんの発言によると、たとえ女性であっても個人は自由意志をもって自分の意見を表明する権利があるというお考えで間違いありませんか?」
「そ、そうだよ。公共の利益に反しない限りは個人の自由は尊重されるべきだ」
「安心しましたわ」
エリーはにっこり笑ってみせた。
「で、できればアベルさん、なんて他人行儀な呼び方はやめてほしいな」
エリーを懐柔できたと勘違いしたアベルが頬を赤く染めて微笑んでいる。
「私!私メディーヴァル・パークに行ってみたかったんですの。
昨日本屋さんでエディ・モーガンに会ったんだけど、
『とっても良かったよ』って教えてくれたんです。
私がまだ行ったことがないって言ったら、今度連れて行ってくれるって言うから行ってきますわね」
「ああ、そりゃ良い!行って来い、行って来い」
愚民扱いされたニールセンも援護する。
「エ、エディって?だ、誰だ?」
「高等科の時のクラスメイトですわ。
学生時代からの仲良しですの」
「エリー、カボチャの馬車のメリーゴーラウンドがあるんだけど、あれに乗って3周回ったところで告白されると幸せなカップルになれるんだってよ(噓)」
「ええ?エディが『一緒にメリーゴーラウンドに乗らない?』って言ってたのってそういう意味?」
「待て待て待て待て待て、待ってくれ」
慌てるアベル。
愚民兄妹がアベルに冷たい視線を向ける。
「お、お、俺が行く!俺が行くから、だから、他の人とは行かないでくれ!」
ニールセンがニヤニヤしながら言った。
「いいのか?オマエも愚民の仲間入りだぞ?」
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