やるの?やらないの?

猫枕

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さっそく出戻り

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 家政婦の制止を振り切って翌朝早々に実家に戻ったエリーを家人は朝食の席で驚きをもって迎え入れた。

『なんでオマエがいるんだ?』

 一体何があったのかと事情を聞きたくとも遠慮して聞けない家族の前でエリーはパンのおかわりまでして平然と朝食を平らげた。

「たった一日で離婚歴がついてしまって申し訳ありませんけど、これからは家業を手伝ってハイアー家をもり立てていくつもりですから、何卒宜しくお願いしますね」

 有無を言わせぬ威圧的な口調に一同は押し黙る。

「あ、・・え・・・まだ、書類は役所に提出していないから、正式には婚姻は結ばれていないが・・・」

 エリーの父ポールがおずおずと言うと、

「え?本当ですの?お父様。
 グッジョブですわ。
 いつもボヤボヤしてて仕事が遅いですけど、今回ばかりはそれが功を奏しましたわね」

エリーが輝くような笑顔を見せる。

「・・・あ、ああ、まあ、でも、これからのことは先方と話し合ってからじゃないと、・・・こちら側だけで勝手に決めるわけにはいかんだろうから」

「あー!心配事が一つ無くなってホッとしましたわ!

 お腹も満たされたことですし一眠りします」

 エリーが立ち上がって部屋に戻ろうとすると、

「ちょっと待て!」

 兄のニールセンが制止した。

「いきなり帰って来といてそれはないだろう?
 ちゃんと何があったか分かるように説明しろ!」

「はあ?」

 エリーは挑戦的な声色で兄に応戦した。

「大体誰のせいだと思ってんのよ?」

「なんだ兄に向かってその言い方は?!」

「はあっ?そもそもオマエがあんなクソ男を紹介したから私がこんな目にあってんだろうが!」

「オマエって、兄に向かってオマエって」

「オマエオマエオマエオマエー!」

「だから、ちゃんと説明しろって言ってんだろうが!」 

「はあ?はあ?はあっ?」

「口の利き方に気をつけろ!」

「は~あ?!」

 なんだコノヤロー!やんのかコラ!と掴み合いが勃発しそうになったところで、

「喧嘩は止めなさい」

 母親のマリーが割って入った。

「エリーも今は気が立っているんでしょう。
 とにかく一旦ゆっくり休ませてあげましょうよ。
 話はそれからでもいいでしょ?」

 「ありがとうママ」とマリーの頬にキスをしてエリーが食堂を去った後、ニールセンは


「午後にでもアベルの所に事情を聞きに行ってくる」

 と言ったが、ニールセンが出かける前に蒼白になったアベルがハイアー家を訪ねて来た。


 
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