26 / 59
26 キス泥棒。
しおりを挟む(このさき自分にいつ恋人ができるかだなんてわかんないし、いまのうちに堪能させてもらわないと)
哲也くんの胸に顔をぐりぐりして、あったかいよなぁとうっとりする。彼からはちょっと消毒の匂いがした。
俺は彼に抱きついたまま目を閉じると、未来の彼氏に抱きしめられている想像をしてみた。でもそれはうまくいかなくて、なんどやってみても想像の彼氏の姿は哲也くんになってしまう。
(哲也くん、ごめん。でもいまだけだから――)
哲也くんにぎゅっと抱きしめられて頭を撫でられてと、そこまで妄想をすすめたところでふと気がついた。
(そういえば哲也くんの手の感触って、ゆうくんに触られた感じと似てるよなぁ)
いまさっき美濃に手当をしてもらっている最中、美濃の手が触れる感じは哲也くんの手とはぜんぜん違うなと思ったのだ。でもゆうくんが俺に触ってくる感じと、哲也くんの手の感じはとても似ている。
試しに哲也くんの指で自分の頬とつんつんつついてみた。
(うん、ゆうくんに触られたときもこんな感じだった)
つづいてその指で、自分の唇をつついてみる。ふわっとしたぬくもりが伝わり、俺の唇がぷにっとたわんだ。とたんにズクンと下半身がうずく。めちゃくちゃ気持ちがいい。
(これもゆうくんに触られたときと似ている)
やばい、心臓がドキドキしてきた。だって俺はゆうくんとはもう最後まで全部体験している。なにがヤバいって、これ、ゆうくんとしたエッチのぜんぶを哲也くんに置き換えて想像できちゃうじゃないか。そしてそれよりもさきに俺はまずしておきたいことがあった。
すっかり調子に乗ってしまっている俺は、頭にすっぽり被っている掛け布団ごと彼の枕までずり上がってくると、ドキドキしながらそっと哲也くんの唇に自分の唇を押しつけてみた。
(あああああっ、なにこれ、なにこれ? 超気持ちいいんですけど?)
指よりも柔らかい肉同士がぶつかると、それらはふにゃんと溶けるようにして広がった。俺はいろいろ試してみたくなって、そのまま哲也くんの唇をハムッと齧ったり、上下片側だけの肉を自分の唇で挟んでひっぱったり、まるごとぜんぶ舐めちゃったりと、やりたい放題やってみた。
(はぁ、もう、キスって最高じゃない?)
カサカサしていた哲也くんの唇がしっとりとうるおいはじめるころ、俺の下半身はすっかり元気になっていた。
「おい、藤守、なにをやっている?」
「…………」
美濃のことは無視だが、このままつづけていたらとんでもないことになってしまうと俺は自分を戒めた。
(ちょっと休憩……)
はやく股間を沈めなきゃ、と俺はまたズリズリと掛け布団ごともとの位置にもどってきた。
ふたたび哲也くんの胸のなかに顔をよせ、ふぅと息をつくと張りつめたお股を彼の太ももにスリスリと擦りつける。じわんじわんと痺れてとても心地いい。
「あん」
「おいっ」
おっといけない、声がでちゃった。反省はしたが、それでもお年頃の性衝動は治めることはできない。そのまま俺は彼にすりすり、すりすりと腰をこすりつづけた。
「おい……、おいこらっ! お前っ、いい加減にしろっ! そりゃ犯罪だっ‼」
「ぎゃぁっ、やめろよっ!」
美濃にガバッと布団を剥がれた。
「先生、もう帰れよっ」
「帰るなら、お前も連れて帰る。自分の生徒が性犯罪者になるのも、寝ているあいだに性犯罪に巻き込まれるのも見逃せるかっ」
結局俺は美濃によってベッドから引きずりおろされ、彼の監視下のもと自分で作った夕食の弁当を食べ、面会時間が終わると彼に連行されるようにして家に送り届けられた。
美濃とたくさんの幽霊を乗せて走り去っていくタクシーに、「いいもんね。今から哲也くんおかずにしていっぱいオナニーしてやるんだから」と毒づいた俺は、しかし部屋に入るなり、すぐにドスケベ色情霊に捕まった。
そして学校のつづきだとばかりに、さんざんエッチなことをされてしまったのだ。それはもう頭のさきから足のさきまであますところなくエロエロともてあそばれて、これでもかってくらいにお尻のなかも気持ちよくされた。それはまるでかわいがられているってかんじのエッチで。
そんなによくしてくれるゆうくんには申し訳ないとは思ったけども、でも俺はずっとそれを哲也くんとしてるって想像しながら愉しんだんだ。だからもうホントにホントに気持ちよくなちゃって――、なんと俺はエッチの最中に気絶してしまったのだ。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる